お麩の研究(4):「お麩研究部」 

 

 

これまでお麩じぃが見たことがあるお麩に関する研究のいくつかを整理しています。小難しい内容が続いて恐縮ですが・・・。

 

★シラサカアサコさんほか「お麩研究部」

 

お麩に関する研究と言えば、忘れてはならないものがありました。

2012年11月に発足した「お麩研究部」(部長:シラサカアサコさん)です。「お麩をつかったお料理やお菓子づくりを通じて、もっとお麩の素晴らしさを広めよう!という思いから」できたそうです。

 

シラサカさんといえば、以前のブログで書いたことがある『お麩ごはん。お麩おやつ。』(2014.3.10 主婦の友社)の著者でもあります。(参照:お麩の「教科書」(3):シラサカアサコさん『お麩ごはん。お麩おやつ。』)

 

「お麩研究部」の活動内容は、「日本の伝統食品を見なおしお麸を現代風に楽しく広めていきたい! そして、お麩をつくっている方々もお麸研究部員もみんながほっこりしあわせで楽しい気分になってほしい!というのが、お麩研究部のコンセプト」「お麩レシピや全国のお麩の紹介、お店情報、お麩をつかっての料理やお菓子の披露の場や料理教室などもやっていけたらと考えております」「お麩料理を作りたいのにお麩が売っていない!なんて声も多数あるので、お麩をもっと身近に感じていただくために、全国のお麩を集めてネットでの販売も視野に入れています」「お麩ってとても奥が深くて、ワクワク。たくさんの方とお麩でワクワクできたらうれしいです」

お麩研究部のfacebookページ、(旧)Twitterアカウントもあって、それらを通じてもお麩の情報やお麩活の様子を投稿していきたいとのことでした。

https://twitter.com/i/flow/login?redirect_after_login=%2Fofuken

 

具体的には、「お麩のこと」というページでは、

「一部地域ではおなじみのお麩ですがあまり食べないという人も多いのでは?」:

「たんぱく質が豊富でローカロリーなお麩は、食生活が乱れている方やダイエット中の方 に最適です!」「お麩が誕生したのは中国。日本に入ってきたのは、室町時代という説と奈良時代 という説があります」「最初は仏教と結びつき、肉食を禁じられていた修行僧たちの貴重なたん ぱく源として、精進料理で盛んに用いられていたが、その後一般の人にも広まりました」

「昔、中国では小麦のことを「麺(めん)」と呼んでいて、グルテンは「麺(めん)の筋」で「麺筋(めんちん)」と呼ばれていました」「台湾では、今でも味付けしたグルテンを食材として普通に買うことができます」

「お麩って……栄養あるの?」:

「味がないからといって、栄養がないと思っていませんか?」「ふわふわのお麩にはたくさんのメリットがあります! お麩の主な栄養素はたんぱく質。その他、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、 リン、鉄、亜鉛などのミネラルがギュッとつまっています」「お麩は高齢者、幼児、病人の食事にもおすすめ。離乳食にも使われています」
「肌や髪の毛、筋肉を作るたんぱく質は、健康を維持するうえで欠かせない栄養素です」「良質なたんぱく源であるお肉は脂肪も多い…そこで、お麩なら、ダイエット中でも心配せず食べられます」「お麩は保水性にも優れていて、満腹感を得やすいので、ダイエット中に食事の量を減らせるメリットもあります」「お麩すごい!」

「グルテンの健康効果」:

「お麩の主原料、グルテンにも優れた効果」「グルテンは、水の中で小麦粉をもみほぐ すうちに、でんぷんが洗い流され、最後に残るチューインガムのようなもの」「サプリメントに使われるグルテンを加水分解させたグルテンペプチドは、痛みを和らげたり、血圧を下げる、胃液の分泌の抑 制、食後に血中インスリンを増加させるなどの作用があるといわれています」「食品として摂取した場合の効果は、まだ未知数で、今後の検証が期待されています」
「グルテンに含まれるグルタミン酸は、知能を高めたり、アルコール依存症を改善する、潰瘍の 治癒を早めるなどの作用があります」「摂り過ぎると神経が高ぶって眠れなくなるなどの恐れもあります。なにごとももほどほどにですね」

「お麸の種類は 90 種類以上!」:

「小麦粉に水を加えてよく練り、熟成させ水洗いを繰り返しながら、でん粉を分離させることで、小麦粉からたんぱく質(いわゆるグルテン)だけを取り出します。これに小麦粉やもち粉を加えて加工すると、お麩ができあがります」「大きく分けると、形を整え焼いたものが焼き麩、蒸したり茹でたりする生麩、油で揚げる揚げ麩の3種類があります」「全国各地には、その3種類だけでは当てはまらない独特の品種、形態の麩が90種類以上あるといわれています」
「もち麸:グルテンにもち粉を加えて作る生麩/よもぎ麩 あわ麸:もち麸によもぎやあわを加えた生麩/もみじ麩・うめ麸・さくら麸:もみじ・うめ・さくらの形に作り着色した、季節を彩る生麩/てまり麩:糸状にした生麩を巻きつけて、てまりのようにした生麩。お祝い事の重詰や吸い物に使われています/車麩(新潟、石川 、沖縄):麩の生地を棒に巻きつけて何重にも重ねて焼いた焼き麩。越後地方では、行事の際の煮しめに使います/板麩(山形):直火で焼いて板状にした焼き麩。湿らせながら切ったものを、汁の実にしたり、魚のすり身を包んで蒸したり揚げたりします/ 
まつたけ麩:マツタケの形に作り、傘の部分を着色してマツタケの香りをつけた焼き麩。吸い物、茶碗蒸しに使う/あぶら麸(宮城):油で揚げてあるのが特徴。煮て卵とじや丼に、戻してきゅうりやワカメと酢のもの、炒めたり鍋の具に使う/すだれ麸
(石川):すだれに巻きこんでつくる麸。金沢の郷土料理「治部煮」やすき焼き、酢の物などに使う/丁子(ちょうじ)麩(滋賀・京都):一粒づつ生地を整形し焼き上げた長方形の焼き麩。荷崩れしにくく煮炊き物に適しています/安平(あんぺい)麩
(山口):丸餅のように大きくふっくら作り焼いた焼き麩」
 

これまでお麩じぃが調べてきたことと、けっこう重なっていますね。

 

「お麩レシピ」:

「トマトのうまみをすったお麸は新食感!お麩トマトの洋風煮/生麩とさつまいもとベーコンの豆乳グラタン/おもてなしにもぴったり!鶏肉の生麩巻き/サクサクお麩ドーナッツのつくり方/かんたんお麩ラスクのつくり方/お肉なしのお麩じゃが/鶏唐揚げにも負けない美味しさ、車麸から揚げ!」
「お麩粉100%のメイプルナッツの麩ァウンドケーキ/言われなければお麩だとは気がつかないかも!エビなしのお麩チリ/お麩deナポリタン(な麩ぉりたん!)/見た目も食感もお肉っぽい!お肉なしのお麩バーグ/ふっくらやわらか食感!和風煮込みお麩ハンバーグ/お麩はお味噌汁だけではもったいない!麩チャンプルー/車麩の巣ごもり煮/車麸でもっちり、麸レンチトースト!/バレンタインにかんたん!サクかる食感!焼きショコラフ/ダイエットおやつ!レンジdeもち麸みたらし団子」

「ホームパーティーにもぴったり!お麩ラザニアのつくり方/さっぱり酸味がきいた赤い色のお麩じゃが、トマトお麩じゃが/ほうれん草+豆腐+お麩、お味噌汁でおなじみの組み合わせをポタージュに「ほうれん草と豆腐のポター麩」/お麩のみ焼き(お麩のお好み焼き)/[麩レンチトースト日和]みかん麩レンチトースト/[麩レンチトースト日和]きんぴら麩レンチトースト/やさしいとろみ、かぼちゃのポター麩(お麩のポタージュ)/もち麩のからし酢味噌和え/火を使わないポター麩!紫色「ブルーベリーポター麩」/火を使わないポター麩!赤色「トマトポター麩」のつくり方」
 

美味しそうなレシピがたくさんあります。

 

「お麩ブログ」:

活動内容や、テレビ、雑誌などで紹介されたことなどがいろいろ紹介されています。

 

とても素晴らしい「お麩研究部」なのですが、残念ながらその活動は2010年代半ばで止まってしまっているようです。ブログは2014年9月、Facebookは2015年4月がそれぞれ最後の投稿になっていますね。

お麩じぃの勝手な推測なのですが、グルテンフリーへの過度な礼賛が影響しているのではないでしょうか。もしそうであれば、グルテンフリー礼賛が科学的に否定されている昨今、「お麩研究部」活動を復活していただけるといいですね。

 

ご参考までに、以前のブログで書きましたが、

「お麩じぃが大胆に整理すれば、多くの文献・記事などは、①グルテンフリーを礼賛(誰にでも、いろいろなメリット)、②グルテンフリーの効果に疑問(セリアック病などの特定の症状の人だけに有効。それ以外はマイナス面が多い)、③グルテンフリー食品・メニューやレシピの開発を推進に大別できると思います。複数の内容を併せ持ったものもあります。」

「年次別では、初期には①が圧倒的ですが、次第に②や③が増えてきて、最近では②がほとんどになっています。2010年代前半に大きな注目を浴びた①のグルテンフリー礼賛ですが、後半以降は②の医学、栄養学などの科学的な反論が相次いで世に出て、その後の再反論は見つけることができませんでした。

ただ、都市伝説の類によくあるように、科学的には否定されても、なんとなく人々の意識から消えていかないという状況がしばらくは続くのだろうと推測しています。」

「2010年代後半、自然食やベジタリアン食をはじめとする、いわゆる「意識高い系」のレストランの一部で、お麩メニュー(例えば、車麩のカツ)などの提供をやめる動きがあったことを記憶しています。あるお店の方からは「今は、グルテンフリーでないと・・・」という理由もお聞きしました。それだけが理由ではなかったかもしれませんが、当時と違ってグルテンフリーに関する理解が広がってきた昨今、可能であれば復活していただけたら嬉しいです。お麩じぃはもちろん食べに行きます。」(参照:「グルテンフリーとは(13):暫定まとめ」)

 

お麩の研究について、お麩じぃがこれまで見たことがある4点を整理できたので、ひとまず終了です。また何か見つけたら随時取り上げていくことにします。