お麩の「教科書」(4):『ふでばこ 29号』

 

 

お麩じぃがお世話になっているお麩関連の本の中で、特にお麩についての「教科書」としてリスペクトしているものについて、その全体像を整理しています。

 

★『ふでばこ 29号』(2014.5.26 白鳳堂/DNPアートコミュニケーションズ)

 

国立国会図書館の書誌情報によると、

資料種別:雑誌
タイトル:ふでばこ : quality magazine
タイトルよみ:フデバコ : quality magazine
巻次・部編番号:29号 2014年 Spr.
著者標目:白鳳堂 ハクホウドウ ( 01006174 )典拠
出版事項:熊野町 (広島県) : 白鳳堂 (出版) 東京 : 丸善出版 (頒布)
出版年月日等:2014

とのことです。

 

㈱白鳳堂(会長:髙本和男さん)は1974年に創業、広島県安芸郡熊野町に本社を構え、筆(化粧筆・書道筆・面相筆・日本画筆・洋画筆・デザイン筆・工業用筆)を製造・販売されている会社です。月産約50万本にのぼる筆をすべて自社工場にて生産されていて、ものづくりに対するこだわりが評価され「第一回日本ものづくり大賞内閣総理大臣賞」を受賞されています。

 

そんな㈱白鳳堂が「ものづくりのあり方を、発信してゆく雑誌」として2004年から定期的に発行されているのが『ふでばこ』です。伝統工芸品や食材などを毎回のテーマに掲げ、真面目に丁寧に取材・執筆・編集していることがうかがえる雑誌だと思います。

 

『ふでばこ 29号』の特集が「麩 その正体」で、序文に当たるところには「麩という食べ物をご存じですか?」「知らない人は少ない、でも知っているようでじつは知らない食べ物ではないでしょうか」「何からどうやってつくられているのか どんな種類があるのか 日本ではどのように広まっていったのか」「それらをたどってゆくと 麩というものがこの国らしさを よく象徴していることがわかります」「今回の特集は、麩をさらに美味しく食べるための解体新書」と書かれていて、本当にワクワクします。

 

目次(抜粋)を紹介すると、「特集 麩」「さくさく甘い、さくら色の「さくら棒」」ほか、ととてもシンプルです。前者の方は130ページを超える大作なので、見出しを列記すると、

「利休と麩」から始まって、「それではあらためて麩とは何でしょうか。麩は小麦のグルテンを主原料にした食品です/生麩/焼麩」「基本的な製造方法」「さまざまな郷土の麩/各地に伝わる自慢の麩&麩料理」「小麦のこと」「グルテンのこと」「麩の美味しさと栄養機能」「麩の歴史」「生麩をつくる(麩嘉さん)」「利休と麩」「生麩と京の料理」「焼麩をつくる(宮田さん)」「加賀の麩を堪能する」「加賀藩伝統の「麩」料理」「グルテンをつくる(北国フード㈱さん)」「日本における小麦の現状(横山製粉㈱さん)」「車麩の伝播」「フーチャンプルー(辺銀愛理さん)」「乾物の豊かさを語り続けて(浅草 萬藤さん)」

となっており、原料から製造・販売、調理まで、お麩に関することが幅広く網羅されている印象です。

 

10年前の出版ですが、きれいな写真も豊富で、眺めているだけで楽しく、幸せな気持ちになれます。

あとがきに当たるところには「一粒の麦、一滴の水にこだわり大切につくられた「麩」」「この「麩」は、日本人が守ってきた、食に対する感謝の心に通じ、ひいては、大切に受け継がれてきた食文化の凝縮ともいえる」「こだわりの「麩」は、誇るべきものであり、称賛されるもの」「一粒が広大な田畑を形成し、一滴が大河となり、それによって美しい国ができる」「嫋やかな暮らしの土台となる」「「食」はその源となる大きな力」「だから今、一粒、一滴にこだわる「麩」に応えたい」と書かれていて、お麩じぃとしても重く受け止めたいと思います。

このブログも、微力ながらそんなことに貢献できるといいなと思いました。