グルテンフリーとは(13):暫定まとめ                   

 

 

これまで、「お麩じぃは、これからもお麩を食べ続けて大丈夫でしょうか?」という問題意識を持って、数多くの図書館巡りの際に、グルテンフリーに関する書籍・雑誌記事など検索してみました。入手できた文献・記事などをお麩じぃなりに整理して、少しずつ書き出してみました。

また、食品やその安全性を担当してる(と思われる)関係省庁や機関のウェブサイトも閲覧して、グルテンフリーについての問題意識や見解などを調べてみました。

そろそろ、暫定的ながらまとめてみることにします。

 

1.グルテンフリーに関する文献・記事など

 

お麩じぃが大胆に整理すれば、多くの文献・記事などは、①グルテンフリーを礼賛(誰にでも、いろいろなメリット)、②グルテンフリーの効果に疑問(セリアック病などの特定の症状の人だけに有効。それ以外はマイナス面が多い)、③グルテンフリー食品・メニューやレシピの開発を推進に大別できると思います。複数の内容を併せ持ったものもあります。

 

年次別では、初期には①が圧倒的ですが、次第に②や③が増えてきて、最近では②がほとんどになっています。2010年代前半に大きな注目を浴びた①のグルテンフリー礼賛ですが、後半以降は②の医学、栄養学などの科学的な反論が相次いで世に出て、その後の再反論は見つけることができませんでした。

ただ、都市伝説の類によくあるように、科学的には否定されても、なんとなく人々の意識から消えていかないという状況がしばらくは続くのだろうと推測しています。

 

一方、③のグルテンフリー食品・メニューやレシピの開発については、①と②の”勝負”の帰趨にかかわらず、必ずしも否定されていないという印象です。

 

 

参考: エリカ・アンギャル『グルテンフリーダイエット』(2013.4 ポプラ社)、ノバク・ジョコビッチ『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(2015.4 三五館)、森拓郎『食事10割で代謝を上げる』(2015.9 ワニブックス)、大西睦子「グルテンフリーダイエットって誰が必要なの?」(「日経Goody」2015.11.29)、ジーン・ソバージュ『おいしい!グルテンフリー』(2016.3 徳間書店)、ケリー・ヘンゼル「代償を伴わないグルテンフリー」(「月刊フードケミカル」2016.11)、「米粉使って「脱・グルテン」」(読売新聞 2017.2.28)、「流行りの「グルテンフリーダイエット」 本当に痩せるのか?」(「週刊現代」2017.3.18)、松永和紀『効かない健康食品 危ない自然・天然』(2017.5 光文社)、マイケル・グレガーほか『食事のせいで、死なないために[食材別編]』(2017.8 NHK出版)、牧田善二『医者が教える食事術 最強の教科書』(2017.9 ダイヤモンド社)、溝口徹・大柳珠美『2週間で体が変わる グルテンフリーの毎日ごはん』(2018.1 青春出版社)、津川友介『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(2018.4 東洋経済新報社)、久保村喜代子「グルテンフリーは世界で最も注目される市場トレンド」(「月刊フードケミカル」2018.5)、ケイト・ドワイヤー「落とし穴もあるから要注意! “グルテンフリーダイエット”について知っておくべき4つの基本」(「VOGUE GIRL」  2019.1.30)、「病気・死亡リスクを上げる「食べ方」」(「週刊ポスト」2019.12.13)、アーロン・キャロル『科学が暴く「食べてはいけない」の嘘』(2020.3 白揚社)、アラン・レヴィノヴィッツ『さらば健康食神話』(2020.5 地人書館)、ティム・スペクター『歪められた食の常識』(2021.3 白揚社)、「「大谷翔平」が好物オムレツを断った「グルテンフリー」のご利益」(「週刊新潮」2021.5.6・13)

 

(注)当然ながら、グルテンフリーに関する資料すべてを網羅したものではなく、ここに挙げたもの以外の多くの関連資料があると思います。勉強不足と能力の限界をご容赦ください。

 

2.関係省庁や機関の問題意識・見解など

 

食品やその安全性を担当してる(と思われる)関係省庁や機関のウェブサイトでは、グルテンフリー礼賛の情報は見つけられませんでした。総じて、1に書いたような状況を背景に、セリアック病、小麦アレルギーなどの症状のある方が誤ってグルテンを摂取することを防ぐといった方向での政策が、それぞれの担当領域で展開されている印象でした。

 

3.お麩じぃは、これからもお麩を食べ続けて大丈夫でしょうか?

 

グルテン(小麦たん白)が主要な原材料となっているお麩。このブログの「いろいろな「お麩料理」アーカイブ」や「一週間の「お麩、いただきました。」で書いているとおり、お麩じぃはこれまでたくさんのいろいろなお麩を食べてきました。ここまで、特に健康上の問題が出ているわけではないので、セリアック病、グルテン不耐(過敏)症、小麦アレルギーではないと考えて間違いではないと考えています。

これからも、安心してお麩を食べ続けていきたいと思います。

 

2010年代後半、自然食やベジタリアン食をはじめとする、いわゆる「意識高い系」のレストランの一部で、お麩メニュー(例えば、車麩のカツ)などの提供をやめる動きがあったことを記憶しています。あるお店の方からは「今は、グルテンフリーでないと・・・」という理由もお聞きしました。それだけが理由ではなかったかもしれませんが、当時と違ってグルテンフリーに関する理解が広がってきた昨今、可能であれば復活していただけたら嬉しいです。お麩じぃはもちろん食べに行きます。

 

一方、グルテンフリー食品やメニュー、レシピなどの開発については、少数とはいえ一定数のセリアック病、グルテン不耐(過敏)症、小麦アレルギーの方がいらっしゃることを考えれば必要ことだと思います。家族や友人たちと同じものを食べたいという希望を叶えるのはとても大事なことですし、指摘されているような栄養の過不足がなく、もちろん美味しいことやお値段にも配慮した開発の努力にはエールを送りたいですね。

 

グルテンフリーについて、これからも新しい研究成果や検査技術の進化に基づく、これまでとは違った知見が出てくる可能性はあると思います。今後もずっと関連情報に敏感でいたいと思います。