6日目
5日目からつづく。
今でも女の家の外観は何となく覚えている。
海沿いにある古い平屋の一軒家だった。
そこに女と父は居た。
私達がここに来る事を知っていたのか、
父は申し訳なさそうに私達に背を向けたままあぐらで座っていた。
その背中に駆け寄り、父を抱きしめ、
私と妹は泣いた。
「どこかに連れて行ってとか言わないから、何もしてくれなくてもいいから、帰ってきて。」
こんなセリフが何度も口から出てきた。
でも父が大好きで帰ってきて欲しかったんじゃなかった。
父の浮気で離婚した、可哀想な子。と思われたくなかっただけだった。
小学生の私はそう考えていた。
久々に父に会い、色々な感情から涙が出た事は事実だか、
とりあえず何でもいいから帰ってきてもらわないと、と思っていた事もまた事実であった。
もちろん別れたくないと思っている母の為でもあったと思う。
でもほぼ自分の為。
この時から私はプライドが高かったんだと思う。
人から、
可哀想。
大変そう。
気の毒。
ついてない。
そんな風にみられる事を嫌ったのだった。
つづく。