頭の回転が速く手先も器用で弱者に優しい、オロチョン族
50オロチョン族
内蒙古自治区と黒竜江省の接するところにある大小興安嶺、
特に内蒙古自治区フルンベル盟オロチョン族自治旗に住むツングース系少数民族の1つ。
「オロチョン」とは、ユーモラスな名前だが、この民族の人達の自称であり、
オロチョン語の意味は
「トナカイを駆使する人々」、「トナカイを飼育している人達」あるいは
「森に住む人々」「連峰の上に住む人たち」と言われている。
この呼称は清朝初期の史料の中に記録が残っている。
オロチョン族は、呉、孟、関、魏、葛、莫、林、陳などの苗字が多い。
同一の氏族は婚姻を結ばず、婚姻は両親が決めることが一般的だ。
----中国語名 :鄂倫春族(オロチョン族)
----英 語 名 :Oroqen
----人 口 : 8,196 人(2000年)→ ?人(2010年)
----言葉文字 :アルタイ諸語系のオロチョン語。文字はなく漢字を用いる。
----代表的姓 :呉、孟、関、魏、葛、莫、林、陳などの漢族の苗字が多い。
----宗 教 :原始宗教。祖先崇拝。シャーマニズムを信奉し万物の魂を信じている。
----居 住 地 :内モンゴル自治区と黒龍江省の接点・大小興安嶺など。
オロチョン族の人びとは長期にわたって狩猟の生活を主とし、
採集と魚をとることを補助的なものとしてきた。
ほとんどすべての男子が優れた騎手と百発百中の射手であり、
いろいろな野獣の習性と生態の法則をよく知り、豊富な狩猟の経験をもち、
1940年代頃までは、まだ原始共同体の形を残す狩猟民族であった。
獲物は部族の内部で平均的に割り当て、原始社会の共同消費と平均割当の習慣を残し、
老人・虚弱者・負傷者・身障者は1人前に与えるだけではなく、
更に少し多く与える優しさを持つ民族だった。
新中国成立後、オロチョン族の人たちは一挙に社会主義に入ることになった。
現在は、定住の生活を実現し、狩猟に別れを告げ、森林と野生動物の保護者となっている。
(黒竜江省民族博物館。文廟の建物を利用。満族、蒙古族、オロチョン族、朝鮮族など
東北地方の少数民族の衣装や日常生活用具が展示されている。)
オロチョン族の人びとは頭の回転が速く、手先も器用である。
シラカバの木の皮を利用して美しい手芸品(衣服、靴、かご、桶、箱)を作る。
これらのものは小さいけれど丈夫で、美しい図案が施され、精巧で上品である。
[地獄耳]
1.札幌の「オロチョンラーメン」は語呂合わせであり、味噌ラーメンを唐辛子等で
辛く味付けしたもので、この民族とは関係がない(爆笑)。
2.満州国時代の1930年代後半に、日本の特務機関が工作して軍事訓練をほどこし、
対ソ情報収集の任務を与えた。オロチョン族はソ連領内にも同族がおり、
ロシア語と中国語に通じていたため、その種の任務に適していた。
当時日本の特務機関は常に、少数民族宣撫工作に阿片(アヘン)を用いたため、
オロチョン族の間に麻薬中毒が広がり、戦後もしばらくの間弊害が続いた。
出典:中生勝美「オロチョン族をアヘン漬けにした日本軍」、『世界』第674号、2000年5月。
3.異説だが、「オロチ」が「オロチョン」と関係があるとして、
「八岐の大蛇(ヤマタノオロチ)」をオロチョン族と結びつける説がある。
(出雲神話の神々が中国大陸や朝鮮半島からの渡来人で、その中に金属鋳造技術を持つ、
於漏知族=オロチ族がオロチョン族という説)。これについては現在未解明だ。