これも、母がまだひとりでお風呂に入れた頃のこと。

母は毎日お風呂に入るのに、1週間も下着を替えないことがよくあった。

あてているパットだけを取り換えた。

洗濯物を出してね、と言ってあるのに、パンツはお風呂で自分で洗ったりした。

 

これは、ただでさえ長い母のお風呂の時間が長引くし(母は深夜までテレビを観るので、お風呂に入る時間が遅かった)、新しいお湯を流しっぱなしで洗うので、なんとも勿体なかった。

 

ある日には、母のベッドを見にいくと、ベッドの下にパジャマとズボンが置いてあった。

「これ、どうするの?」

と訊くと、

「洗濯してもらおうと思って・・・」

と言う。

 

「それなら、お風呂の時に出せばよかったのに」

と言ってみるけれど、お風呂ではない時に履き替えたのは分かっていた。

 

洗濯はとっくに終わっている。洗っても干して乾くような時間ではない。

仕方なく、ひとかたまりの洗濯物を持っていって、洗濯機を回した。

 

もともと家族に配慮なんてある人ではなかったけれど、もうすっかり、他人のことなんて考えられず、自分のことしか考えられない頭になってしまっているのだろう。

 

せめて、「ごめんね」とか、「悪いわね」とでも言ってもらえたら、気分は全然違うんだけど。