
グリーンブック
アカデミー賞受賞作
1960年代まだまだ黒人差別が色濃く残るアメリカ南部(ディープサウス)を黒人の天才ピアニストと主人公が車で8週間のコンサートツアーに出かけるという実話モノ。
キャラクター
主人公トニーバレロンガ(愛称:トニーリップ。口がうまいから。)は頭は悪いが度胸とハッタリを武器に裕福とは言えないながらいろんな人に頼られて生きてきた。
対して黒人ピアニストのドンシャーリー(愛称:ドク)は稀代の天才で3歳から既にさまざまな場所でピアノを披露していたくらい。お金持ちでカーネギーホールの上に住んでいるが、白人のような暮らしをしている黒人という表現を感じた。
お互い様々なところが正反対。
頭が悪く粗暴だが、いざと言う時に頼りになる強さ、家族や自分の周りを守るという優しさを持っているトニー。
逆に頭が良く様々な博士号や教養を持ち、天才ピアニストとして有名かつお金持ちだが、繊細で線が細く、精神的に脆い部分があるドク。
ストーリー
最初は黒人を差別している主人公だが、ドクの天才的なピアノの音を聞いたことをキッカケに徐々にドクを尊敬し、受け入れていく。
ここで大事なのはトニーがドクを「受け入れた」というところ。受け入れたら家族だから守るんです彼は。
また粗暴ながら頼りがいのあるトニーに自分の繊細な心の内を少しずつ明かしていくドク。
2人にはどこに行ってもディープサウナの苛烈な差別が襲いかかる。2人の旅はどうなっていくのか?
演出
ヤバイと思わせる演出が沢山あってその度に、やめたげて〜逃げて〜と叫びたくなる。
でも最後はハッピーエンド。しかもとてもユーモアがあって素晴らしい最後でした。
補足
途中YMCAという場所でのシーンがあるが、これは日本人は知らない人が多いと思うので、その後のドクのセリフが掴めなくなってしまう。
YMCAとは(ヤング メンズ・クリスチャン・アソーシエイション)というもので、表向き、クリスチャンの若者が集う、ソーシャル・クラブらしいのですが、その実、男性の同性愛者が出会う、“発展場”として有名だそうです。
感想
とにかく2人の距離感が抜群で、それを可能にしているのがドクの笑顔の演技。
仮面のようなものとそうでないものがしっかり分けられている。ちょいあざとくも見えるのだが、それがより苛烈な差別の中を生きてきたということを感じさせて、私はむしろプラスで良かったと思います。