1992年から1995年にかけて月刊少女マンガ雑誌「りぼん」で連載され、当時TVアニメ化もされ今もなお幅広い世代から愛される大ヒット少女コミック「ママレード・ボーイ」が待望の実写映画化。両親がパートナー交換をし、2家族が一緒に住むという衝撃的な出来事からはじまる、甘くてほろ苦い胸キュンラブストーリーだ。

 

W主演で、元気で少し子供っぽいヒロイン“小石川光希”を演じるのは、みずみずしい可愛らしさが弾けるような桜井日奈子。本作が映画初主演となる。美男子・頭脳明晰・スポーツ万能と、一見、王子様を絵に描いたような“松浦遊”は、この人以外演じることはできなかったのでは?というほど見た目から役にぴったりの吉沢亮が、ともに主演を務める。2人に撮影でのエピソードやお互いの印象など話を聞いた。

 

 

■女子が求める男子がわかる

 

――大ヒット少女コミックが原作ですが、演じてみて魅力はどんなところだと思いましたか?

 

桜井:やっぱり突拍子もない設定ですね。両親がパートナー交換して、というのは、読んでいて逆に新しいなと思いました。今までにないな、と感じたので、20年以上前の作品とは思えなかったし、どこに感情移入しても楽しめるような、いろいろな恋の形があるなと感じました。

共感できるところがたくさんあって、“遊”と(光希の幼馴染の)“銀太”との間で揺れる光希の気持ちもそうだし、親友の“茗子”を大切に思う気持ちも。最初設定は「え~!」って思っちゃうけど、見ている人が共感できる部分がたくさんあると思います。

 

吉沢:設定が憧れますよね。同世代のキラキラしたイケメンといきなり一緒に住むことになるとか、(光希の親友)“茗子”と先生との恋愛もそうだし、“銀太”みたいな爽やかなイケメンから好意を寄せられたり、女子からしたら、どこの恋愛を取っても憧れるシチュエーションがあるんじゃないかなと思います。あとは、恋愛の部分に関しては全部ピュア。設定だけちょっとぶっ飛んでいるけど、恋愛の部分は本当に真っ直ぐで不純物が何も入っていません!みたいな恋愛なので、そういった部分はやっぱりストレートに心にくるものがあるんじゃないかなという気はしました。

 

――桜井さんは、どんな光希を目指し、監督からはどんな指示がありましたか?

 

桜井:光希は素直で一途で何事にも一生懸命で、思ったことを全部口に出してしまうような女の子。その部分は大事にしつつも、監督の演出で「ナチュラルに演じてくれ」ということはずっと言われていました。漫画作品の実写化は、デフォルメされたお芝居をした方がいいのかな?と思っていて、少しオーバーリアクションなイメージで最初の本読みをしたんです。そうしたら監督に「全然伝わってこない」と言われてしまって(笑)。今までそういったお芝居しかしてこなかったから、監督の「ナチュラルに」という演出は、私の中では初めてだったので、結構ついていくのに必死でした。

 

 

――でも、自然な雰囲気で光希そのものでした! 見た目の部分でこだわったところは?

 

桜井:光希は三つ編みやポニーテールなど、髪型がころころ変わるんですけど、メイクさんと相談して、それを少し今っぽく変えようとお話ししました。だから、三つ編みもちょっと今っぽくゆるくしたり、アレンジしてもらっています。あと光希は、ショートパンツが印象的だなと思っていました。衣装は全部監督が決められているので、監督の前で衣装合わせをして、「これ違う」「この色の組み合わせが良い」など、すごくこだわっていただきました。監督の感覚が若いなというのは感じました(笑)

 

 ©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

 

©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

 

――吉沢さんは少女漫画原作の作品にこれまでも多く出演していますが、読んでいて感じる面白さはどこでしたか?

 

吉沢:「ああ、女子が求める男子はこういう感じなんだ。なるほど」みたいに楽しんでいます(笑)。

 

――どんな遊をイメージして演じられましたか?

 

吉沢:見た目で言うと、こだわったのはやっぱり髪型ですね。原作だと帰国子女みたいな感じじゃないですか。髪はサラッとして、地毛で金髪ですくらいの(笑)。でも日本人でそれをやるのはさすがに無理で、だからもう金髪に染めているという設定でやりました。けれど、それがあまり嫌らしくならないように、きっちり髪型をセットしてとかではなく、サラッとナチュラルに見えるように意識していました。

 

©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

 

――遊は笑顔が印象的なキャラクターですね。

 

吉沢:今回、僕はめっちゃ笑って、意識的に笑顔多めでやっていましたね。というのも、遊の表面だけ良い顔して他人とあまり深く関わろうとしない感じ、よくある人間のちょっと困ったときとかにすぐヘラっとする感じが出ればいいなと思っていました。そういう部分に、彼の良い意味での柔らかさみたいなものが出ている。そんな男の子になればいいなと思って、今回僕はいちいち笑っていました(笑)。

 

 

 

――遊の他人との距離感みたいなものがその笑顔に表れているのですね。

 

吉沢:遊は、とても気を遣う男で周りをすごく見ていて、何を考えているかわからないところがある。作品の中では、光希が遊を見ているシーンがとても多いんですけど、遊は逆に周りを見ている人間で。ママレード・ボーイと言われるくらい、表面はみんなに優しいけど内面は絶対に他人に見せない、みたいな、影のような部分が出せればいいかなと思っていました。廣木監督の作品に参加するのは2回目だったので、監督がやりたい雰囲気はなんとなくわかっていたから、僕は割りとやりやすく演じさせていただきましたね。

 

©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

 

■廣木監督の撮影方法にビビった!

 

本作を手がけた廣木隆一監督は、長回しで一連のシーンを撮る独特の撮影方法が特徴。今回、撮影のために両家が一緒に住む一軒家を実際に建てるこだわりぶりで、家の外から中へ一連での撮影や、2人の重要な場面での長時間の長回しで、リアルで緊張感あふれるシーンが登場する。

 

――撮影現場はいかがでしたか?印象に残っていることや独特だなと感じた部分はありましたか?

 

桜井:やっぱり圧倒的に長回しかな。今までシーンは割るものだと思っていたのに、5分くらいカメラを回しているシーンがあって、ビビっていました(笑)。

 

吉沢:そうだよね(笑)。

 

――ずっとカットがかからないと緊張しちゃいますよね。

 

吉沢:僕は逆に、表情を撮る“寄り”はすごく緊張する。なんか廣木組においての“寄り”って、めっちゃ緊張するんですよね。(被写体から離れて遠目から風景を入れ込んだり全景を映す)カメラの引きの画でとても美しい画を撮る方なので、引きの画ばかりのイメージが前からあって。どのタイミングで監督が“寄り”を欲しているのか全然わからないから、いきなり「じゃあ、ここ寄り撮るよ」とか言われると、「あ、これ寄り撮るの!?」みたいな(笑)。廣木監督の時だけなんですど、本当にものすごく緊張しちゃうんですよね。あと、引きの画の中でけっこう動きを付けますね。それこそ、遊が告白する海での2人のシーンは、光希がバーって走っていったり、監督がいろいろ動きを付けていて、「けっこう動きを付けるんだな」と思って、それは意外でした。

 

©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

 

――完成版を見て、いかがでしたか?

 

桜井:私はシチューのシーンが一番好き。ずっと長回しで5分くらいあって、ビビったと言ったのはこのシーンだったんですけど、出来上がったものを観ると、遊と光希がまだ仲良くなくて、だけどお互いを意識しているのが雰囲気でわかる。そこにキュンとして、良いシーンだなと感じました。

 

吉沢:僕は意外と切ないシーンが印象に残っています。キュンキュンする部分もあるんですけど、これは切ない物語なんだなとも思いました。そういう意味で、電車のシーンは2人で電車を待っている微妙な距離感とか、お互いまだ好き同士なんだけど踏み出せなくて微妙な会話をしている感じも切ないし、良いなと思いました。あと茗子が先生を追いかける電車のシーンも好きで、電車関連良かったですね(笑)。

 

――電車のシーンは撮影されている時はどのような心情だったんでしょうか?

 

吉沢:もう心臓バクバクでした。電車が来るのが10本に1本くらいで、そこで撮らなければいけなかったので、めちゃくちゃ緊張しました。

 

――今回、テニスをするシーンもありましたが、練習は大変でした?

 

桜井:みんなたぶん1ヶ月前くらいから練習していて、私も何回か練習して挑んだんですけど、ボールは実際の物とCGの部分もあるので、出来上がった映像を観たときに「すごくカッコよく打ててる!」と衝撃でした(笑)。でも銀太役の佐藤大樹くんは、本当にラリーが出来るようになっていて、とても練習されたんだなというのが見えて、それもカッコよかったです。


©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

 

■相手の印象は「あ、ちゃんと人間なんだ(笑)」
 

――お二人は映画『ラストコップ THE MOVIE』では共演されていましたが、しっかりと共演されるのは今回が初めてで、撮影を通して印象が変わったところはありますか?

 

桜井:私は、最初は吉沢さんのことをあまり喋らない人なんだろうな、と勝手に思っていて。やっぱりこれだけ顔が美しいと、黙っているだけでもオーラが出るというか、1人でも大丈夫な人なんだろうな、と勝手に思っていたんですけど、撮影が始まったらけっこうたくさん話しかけてくださいました。私のたまにポロッと出る岡山弁をマネしてくださったりして、和んだしノリがいいなと感じて。すごく柔らかい雰囲気を持っていて素敵な人だなと180度印象が変わりました(笑)。

 

吉沢:僕はあまり印象は変わっていないかもしれないです。『ラストコップ THE MOVIE』の頃から、可愛らしい部分もありつつ、現場ではすごくどっしり構えるというか、スッと入っていて、しっかりした方なんだなというのは、なんとなく思っていました。今回一緒に共演して、それはより強く感じました。あ、でも意外とめっちゃノリがいいんだなとは思いました。彼女ってこの可愛らしさとか雰囲気がちょっと精霊感あるじゃないですか(笑)。だから、良い意味で「あ、ちゃんと人間なんだ」って感じました。岡山弁とか聞くと可愛いと思うし、何かあるとすぐ寄り目する(笑)。寄り目をしたがりなんですよ。

 

桜井:語弊がある!(笑)でも、無意識だったら怖いですよね(笑)。

 

吉沢:写真を撮るのが現場で流行っていたというか、プロデューサーさんがカメラを現場に置いていて、僕はよくそれを使って撮っていたんです。彼女にカメラを向けると、8割型寄り目なんです(笑)。

 

――決め顔だったのでしょうか?(笑)

 

桜井:違います、決めてないです(笑)。ふざけたがりなんです(笑)。

 

吉沢:意外とふざけたがりでいいなと思いました。

 

――甘くて苦いママレードにちなんで、甘い出来事か苦い出来事を教えてください。

 

桜井:私はバレンタインのときに友チョコを作っていたら、1つ年下の弟が、「僕も作る」って言って一緒に作り出したんですよ。「あ、男の子も友チョコをあげる時代なんだ」と思って。小学校5年生くらいから中学3年生くらいまでずっと一緒に作っていました。弟は、それをきっかけに料理をするようになって。私は料理があまりできないんですけど、それからよくパスタを作ってくれたりするようになったのが甘い出来事です。

 

吉沢:めっちゃ良い話!

 

――甘いですね! でも、料理が出来る男子なんて弟さんモテちゃいますね。

 

桜井:そう、モテちゃうんですよ! それが心配(笑)。弟とはすごく仲が良くて、この間も上野動物園に遊びに行ったり、人力車に乗ったりしました。すごく良いやつだから、地元に帰ると、私が顔バレしないように弟が前を歩いて見回してくれるんですよ。「下向いていて」とか言って、可愛くないですか?本当に良い弟で。今年20歳なので、良い男性に育っています。

 

――吉沢さんも教えていただけますか?

 

吉沢:苦い出来事は……、バラエティが難しい(笑)。出ると何を喋っていいのかわからなくて、焦っちゃうんです。今後は克服して甘い出来事に変えたいです。

 

Photography=Mayuko Yamaguchi

Interview=Ameba

 

 

映画『ママレード・ボーイ』4月27日(金)全国公開

映画『ママレード・ボーイ』公式サイト

©吉住渉/集英社©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会

【STORY】

突然、両親がパートナーチェンジをして再婚すると言い出して、2家族が一つの家に住むことに!それぞれの娘と息子である光希と遊は同じ年。同じ高校に通うことになり…。光希は、一度自分を振ったはずの幼馴染の銀太からの告白や、親友の茗子のある事件など、思いがけない出来事が起こる日々の中で、反発しながらも次第に遊に惹かれていく。しかし、ある日、遊は光希と自分の二人の秘密を知ってしまう。二人の恋の行方は!?