人気アニメ「プリキュア」シリーズの劇場版最新作『映画プリキュアスーパースターズ!』が3月17日より公開となる。シリーズ15周年を迎える記念すべき最新映画は“約束”をテーマに、12人のプリキュアが活躍する見所満載の一本。

 

本作で世界中をウソばかりにすることを目論み、嘘泣きなどの技でプリキュアを翻ろうする怪物「ウソバーッカ」を演じるのは、声優初挑戦となる俳優の北村一輝。今年に入って公開された映画で、本作が4本目の作品とますまず活躍の幅を広げる北村一輝に役作りや好きなアニメについてなど、色々と話を聞いた。

 

 

■友達の子供と“プリキュアごっこ”をしていたのでオファーは嬉しかったです

 

ーー北村さんがプリキュアの敵役を演じるということで、キャスト発表時には大変な話題となりました。まずオファーが来たときのお気持ちを教えてください。

 

北村:オファーが来たときは嬉しかったですね。40代後半になり、歳を重ねるたびに、もっと色々な役柄に挑戦してみたいと思い、去年から準備を進めていました。声優の仕事にも興味がありましたので、そんな時にこのお話をいただいて、『プリキュア』というとても大きな作品ですし、光栄で、すぐに引き受けました。

 

 

ーー北村さん的にも嬉しいオファーだったということですね。

 

北村:普段はあまり新しい仕事について周りに話しませんが、今回は、友達の子供が女の子でプリキュアの大ファンでしたので、話しましたね。家に遊びに来た時にプリキュアごっこをしていた事を思い出し、声優をすること話したら「えっ!すごい!グッズとか無いんですか?!」ってすごく興奮していました(笑)。

 

(c)2018映画プリキュアスーパースターズ!製作委員会

 

ーーではプリキュアのこともご存知だったと。アニメはもちろん人気ですが、映画版は子供達がペンライト(入場者特典)を持ってプリキュアを応援する、すごい盛り上がりですよね。

 

北村:子供たちが一生懸命ライトを振って応援している映像をスタッフさんが見せてくれて、本当に楽しそうだなと思いました。大人になって好きなスターやアイドルにキャーッ!とやるのとは、また全然違うわけじゃないですか。本気で「がんばれー!」って応援している。そういう子供の純粋な気持ちというのは何よりも強いと思います。だけど僕は適役ですから、最後に倒れる時にはプリキュア達だけじゃなくて、子供たちにも倒されている気持ちをこめて、全力で「グワアアア〜!」って叫びました。

 

 

 

■念願の声優初挑戦!「いつもと違う脳を使っている感じ」

 

ーー本作で声優初挑戦ということですが、意外でした。

 

北村:随分、待っていたんですよ!日本のアニメはもちろん、海外作品の吹替もぜひやらせていただきたいと思っていて。でも全然オファーは来ず。舞台だけでなく、映画やドラマでももっと滑舌良くしないとダメかな、なんて思ってたんですけど(笑)。これをきっかけにもしかしたら増えるかも……。なんて期待しています。ますます興味が出てきました。

 

 

ーー実際に声優をやってみていかがでしたか?

 

北村:表現することが好きでこの仕事をしていますが、声だけの演技は、ゲームに縛りをつけている感覚ですね。声だけでどう伝えよう、といつもとは違う脳を使う感じ。色々な角度で演じることができたので、これからの仕事の参考にもなるなと思いましたし、何よりやっていて楽しかったです。今後は、声優の仕事も自ら進んで勉強していきたいと思っています。

 

(c)2018映画プリキュアスーパースターズ!製作委員会

 

ーーなるほど。「ウソバーッカ」というキャラクターを演じるにあたって工夫したことを教えてください。

 

北村:プリキュアの敵役ですが、たくさんの子供たちが観ると思いますので、悪に振り切らない、いたずら坊主のような、どこか憎めないキャラクターとして演じたいなと思いました。映画を観たあとにプリキュアごっこをしても、ウソバーッカの役をやりたいって子がいるくらいにはなってほしいなと。

 

 

ーー敵でありながら、圧倒的な悪ではないというか。

 

北村:ウソバーッカがどうしてウソばかりつくようになってしまったのか、そこには放ったらかしにされていた寂しさがあり、現実の子供たちの中にも同じような境遇の子もいるかなと。大人にとっての1時間は子供にとって10時間にも感じるくらいに寂しいことかもしれない。でも、子供の中にはもともと優しさがあり、ウソバーッカもそういうキャラクターなのかなと僕は受け止めていました。アニメは世の中の問題を代弁している部分があると思っていて、そこが素晴らしいですよね。でも、劇中のセリフは「ウッソーン」ばっかりなので、どこで僕の役作りが活かされているのかは分かりづらいと思いますけどね(笑)。

 

(c)2018映画プリキュアスーパースターズ!製作委員会

 

ーー演じるのは大変だったのではないでしょうか?

 

北村:人間ではありませんので、キャラクターは何パターンか作りやすいなとは思いました。声優のお仕事は今回が初めてですから、何パターンが自分で作っていき、監督の前で演じてみて「それでいきましょう」といった感じ。ウソバーッカはセリフが数パターンしかなく、そういう演技は「一番難しいですよね。「な!」「な?」「…な」では同じ「な。」というセリフでも全て違う。監督に直してもらい、アドバイスもらいながら、何とか自分なりのウソバーッカができたと思っています。

 

 

■アニメはシンプルにストレートに大切な事を教えてくれる

 

ーー声優経験のある俳優さんにアドバイスをもらったりしましたか?

 

北村:それが……。携帯が壊れて、機種変更したら電話番号がほぼ消えちゃったんです。高木渉さんに色々聞いてみようと思ったのにタイミングが悪かったです。この記事をもしご覧になっていたら、高木さん連絡ください(笑)!

 

 

ーー先ほどからお話を聞いていると、北村さんのアニメ愛を感じます。特に好きなアニメは何ですか?

 

北村:たくさんありすぎて、本当困っちゃうんですよね。でも結果、やっぱり『ガンダム』。大人になってからは携帯の着信音も全部ガンダム関連にしていて、友達5人くらいでキャラクターを演じてみたり、ちょっと暗いでしょ(笑)。僕が子供の頃はシンプルなアニメが多かったと思います。『トムソーヤの冒険』とか『キャシャーン』、『てんとう虫の歌』とか。『ドラえもん』もそうですが、アニメはシンプルなお話でもすごく大切なことを教えてくれますよね。子供から大人まで安心して一緒に楽しめる、そういうところが僕は大好きです。

 

 

ーー『プリキュア』という作品を通して、子供たちに伝えたい事があれば教えてください。

 

北村:僕の子供が小さい頃は「大人が10人いたら10人違うことを言うから、僕の言うことだけを信じないほうがいい」という話をしていました。国や環境が違えば、そこでまた違う考え方があるわけですから。子供には、思ったらすぐやってみな、違ったら僕がフォローするから、と常に言っていました。子供よりも長く歳を重ねている大人目線には立てるけれども、子供より大人の方が上という考えはありません。アニメ作品でも僕が普段よく出ている作品、例えば堤幸彦監督の『SPEC』とか『TRICK』では、子供が観ても楽しめるようにすごく分かりやすく強調して役柄を演じていました。僕たちがもっと、未来のために子供たちのことを考えて作品を作る必要があるなと思っています。

 

 

ーー最後にウソバーッカにまつわる質問なのですが、北村さんご自身はウソってつきますか?

 

北村:ウソを全くつかないと言ったらそれがウソだと思います。もちろん人を傷つけるウソはダメです。でも、必要なウソもあるんだなと大人になってからは特に思います。大人は大概、ウソバーッカですよね(笑)。でも、僕のウソはすごく下手らしくて、歴代のマネージャー全員に言われましたね。うちのチーフマネージャーが女性で「これ言ったら怒られるな」というときはやっぱウソついて隠しちゃいますね。だから、自分の子供が「ママに怒られるかも……」と悩んでいたときは、「その気持ち分かるよ」って共感していました。どんな男も母親の子供ですから、女性に怒られるのってすごく緊張するんですよね。なので、ときには多めに見てください(笑)。

 

Interview=Ameba

 

 

『映画プリキュアスーパースターズ!』は3月17日より全国ロードショー。