綾瀬はるかと坂口健太郎が初共演となる映画『今夜、ロマンス劇場で』が2月10日(土)から公開される。本作は、『のだめカンタービレ』シリーズや『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹監督による完全オリジナル映画で、映画監督になることを夢見る青年・健司(坂口健太郎)とモノクロ映画のスクリーンから現れたお姫様・美雪(綾瀬はるか)のラブストーリー。次第に惹かれあっていく二人だが、美雪は現実の世界に来る代償として人のぬくもりに触れたら消えてしまうという秘密を抱えていた……。

 

作中でもボケとツッコミのような息のあった掛け合いを見せる綾瀬と坂口だが、インタビュー中もそのコンビっぷりは健在。第一印象からだいぶ変わったというお互いの印象、そして作品の魅力について聞いてきた。

 

 

■坂口健太郎、綾瀬はるかの印象は「しっかりした芯のあるチャーミングな人」

 

ーーがっつりとした共演は今回が初めてとのことですが、お互いに会うまでに抱いていたイメージと、実際に共演されて感じた印象に変化はありましたか?

 

綾瀬:『海街diary』でも出演していたんですけど、すれ違いでして。その時は交流が全然なかったので、割とツーンとした人なのかなっていう印象がありました。でも今回共演して、すごく優しくて柔らかい感じの人なんだなと思いました。

 

坂口:そんなクールでしたかね、僕(笑)。

 

綾瀬:だいぶ。「話し掛けないで」みたいな(笑)。

 

坂口:いや、それは緊張していたんですよ(笑)。綾瀬さんとは『海街diary』の他に『高台家の人々』でも共演していますね。あの時は、ほぼ会ってないんですけど。だから、やっぱり僕は綾瀬さんに対してテレビなどで見るイメージが強かったです。ふわっとしていそうだなとか。でも、実際に会ってみたら、美雪役の綾瀬さんに会っているからかもしれませんが、しっかりした芯がある女性だと感じました。女性としてもそうだし、役者さんとしても。綾瀬さんはよく「天然」って言われていますけど、天然というよりはチャーミングな人だと思います。

 

 

 

ーーいい意味でイメージが裏切られたというか、新たな面を発見されたのですね。お二人の掛け合いがとても印象的な作品でしたが、役の関係性はすんなりと入っていかれましたか?

 

坂口:そうですね。意外とカメラが回ってない所でも、演じているときとの乖離は感じていなかったです。僕がふざけていたら綾瀬さんがツッコんでくれたり。

 

綾瀬:「でたでた」みたいなね(笑)。いろんな現場でも、そんな感じ?

 

坂口:大体、そうですかね(笑)。でもこの前、取材日のときに綾瀬さんから「ちゃんとしてるんだね」と言ってもらえて。僕って意外とちゃんとしてるんだって思いました(笑)。

 

 

綾瀬:いや、お話が上手。

 

坂口:ありがとうございます。

 

綾瀬:インタビューの受け答えを聞いてると、まとめて言葉に出すのがすごく上手な方だなと思います。

 

坂口:自分でも思います(笑)。

 

 

■北村一輝は役のまんま?共演者の印象は

 

ーーどなたの役も最後の最後までとても気持ちのいいキャラクターで感動しました。本田翼さん、北村一輝さん、中尾明慶さんはどのような方でしたか?

 

坂口:皆さん、役に近い感じがしましたね。北村さんは、もう俊藤さんのまんまだったし。

 

©️2018映画「今夜、ロマンス劇場で」製作委員会

 

綾瀬:北村さんはすごく面白い人でしたね。中尾さんも憎めない、かわいらしい感じでした。本田さんは今までのイメージとは違う感じの役でしたね。

 

坂口:そうですね。(本田が演じた)塔子という役は、普通の映画だと「嫌な女」のポジションで作られることのほうが多いと思うんです。だけど塔子が健司を思う気持ちにもすごくグッとくる。塔子に対して感情移入する人も多いだろうと思います。本田さんは、塔子のようなおしとやかな感じではなく、ハッピーな感じ。元気いっぱいな方です。

 

©️2018映画「今夜、ロマンス劇場で」製作委員会

 

 

■美幸に愛しさを感じたシーン「健司からすると悲しい気持ちになるんですけど…」

 

ーー60年代風の撮影所のセットや「足利東映プラザ」を改装した映画館など、雰囲気が出ていてとても素敵でした。印象に残っている撮影場所はありますか?

 

綾瀬:映画館は本当に素敵でした。昔のまま残っていて、でも廊下とかには美術さんによってカラフルなタイルが敷き詰められていたり、すっごく可愛かったです。どこを撮っても絵になる。

 

©️2018映画「今夜、ロマンス劇場で」製作委員会

 

坂口:印象に残っているのは試写室です。冒頭に健司がフィルムをセットして、昔のやり方で流すというシーンがあるのですが、実際に僕の手で撮ったりもしたので練習しました。映像を通して美雪と出会った始まりのシーンでもありますし。あとは……崖ですね。

あそこはすごく印象に残っています。マジックアワーを待っている瞬間があって、そのときに監督が崖ギリギリに立っている綾瀬さんの写真を撮っていたんです。それがすごく綺麗で、空気や風だったり全部がすごく綺麗で、あのシーンを撮るための日のような感じがしました。

 

 

ーーお二人のお気に入りのシーンを教えてください。

 

綾瀬:後半のほうの二人がお弁当を持っていくシーンが好きです。

 

坂口:あそこ、いいですよね。僕は、意外と演じているときは気づかなかったのですが、いざ完成したものを観たときに蛍の川のシーンが素敵だと思いました。「触れられない」という事実を知るシーンで、健司からすると悲しい気持ちになるんですけど、改めて観客としてそのシーンを観たときに、「だから美雪は前半、ああいった行動だったり距離の取り方をしていたのか」って気づけて。美雪のことを愛しいなと思えました。

 

 

■『今夜、ロマンス劇場で』は、家族でも楽しめる映画

 

 

ーー『今夜、ロマンス劇場で』は過去の名作のオマージュ的なシーンも多く、改めて「映画っていいな」と思える作品だと思います。映画館に行きたいと思わせる。お二人は映画や映画館に対して何か思い出がありますか。

 

綾瀬:子どもの頃は映画館に行くのが「ちょっと特別」って感じでしたね。遊園地に行く感覚に似ているというか。すごくワクワクして「大きなスクリーンの所に行ける」って。

 

坂口:(質問を受けて)今、いつから一人で観に行くようになったんだろうと考えていました。昔は家族でテーマパークに行く感覚で、みんなで観に行く楽しみがあったんですけど、今は一人ですね……。

 

綾瀬:私は東京に来てからだな。家族と行っていた?

 

坂口:行っていました。友達とも行きましたね。でもいつの間にか一人で行くものになっていました。誰かと行きたくないというわけではないですけど、なるべく自分の中で完結させたいという意識になっています。

 

綾瀬:職業もあるのかな。

 

坂口:それはあるかもしれないですね。多分、見た後に全部を解釈できてないまま、人に話すのが苦手なのだと。作品によっては何人かで観て、後から「ここがこうよかったよね」とか話すのもいいと思うんですけれど。『今夜、ロマンス劇場で』は家族でも観に来て欲しいと思います。お子さんとお父さん、お母さんで来ても、とても楽しめる映画だと思います。

 

 

Photography=Mayuko Yamaguchi
Interview=Ameba

 

 

【作品情報】

 

 

<STORY>

 

モノクロ映画の中のヒロインと、現実世界に生きる青年。

出逢うはずのない二人が出逢ったら―。それはロマンティックで切ない恋のはじまり。

映画監督を夢見る青年・健司はスクリーンの中の美雪に恋をして、何度もくり返しその映画を観ていた。そんなある日、美雪が健司の目の前に現れる。

モノクロの世界しか知らない美雪にカラフルな現実世界を案内する健司。2人は次第に惹かれ合っていく。

けれど、美雪には秘密があった。それは彼女が人のぬくもりに触れたら消えてしまうこと。

好きだから触れたい、でも、好きだから、触れられない。この切ない真実に2人はどう向き合い、どんな答えを出すのか……。

 

 

映画『今夜、ロマンス劇場で』は、2月10日(土)全国ロードショー。