俳優の山﨑賢人がドラマ初主演を務める『トドメの接吻(キス)』(日本テレビ)は、欲しいものは金と権力という人気ホスト・堂島旺太郎が、謎の女・宰子にキスをされると一度死に、タイムリープしてしまうという奇抜な設定が人気を集めているドラマだ。
本作で、宰子役を演じているのが女優の門脇麦。学生やOL役からカリスマシンガーなど様々な役柄を見事に演じ、ミステリアスな雰囲気が魅力的な門脇に、話題となっているキスシーンや、同世代の共演者たちへの想いなどを聞いてきた。
■奇抜な設定に「ハラハラしながら観ちゃいました」
ーー『トドメの接吻』は放送前から話題で、放送が始まってからはさらに盛り上がりを見せていますね。門脇さんが最初にお話を読んだときの感想を教えてください。
門脇:設定が奇抜ですし、タイムリープを繰り返すので、文章で読むだけでは「この人どうなったんだっけ」「さっきどんな事があったんだっけ」と頭が混乱するなと思っていました。でも、いざ出来上がったものを観ると、映像になることで立体的になってセリフが音になる分すごく分かりやすくなっているなと。完全オリジナルストーリーで、今後の展開が演じる私たちにも分からないので、一視聴者としてハラハラしながら観させていただきました。
ーー演じているときは、とても混乱しそうですが…。
門脇:現場ではこんがらがりましたね。賢人くんも大変だったと思います。なので、監督と都度「ここは何回目のキスで、何回目のタイムリープだよ」と状況を確認しながら進めました。
ーー改めてすごい設定のお話だなあと思います。
門脇:私もSFの作品が好きなので、こういう設定って物語ならではですよね。今回の『トドメの接吻』は、何かをやり直したいからタイムリープするのではなくて、人生成り上がるためにタイムリープするというのが珍しくて面白いなと思いました。タイムリープ作品ってたくさん作られていますけど、キスして時間が戻る、しかも一度死んでしまうというのは新しいなと思いました。
ーー門脇さんがお好きなタイムリープ作品ってありますか?
門脇:ド定番ですけど『時をかける少女』は何度観ても号泣しちゃいます。あとは、時かけのように何度もタイムリープするわけではないのですが、『Big』(1988)は、小学生の男の子が朝目覚めると大人になって大人の女性と恋をするというストーリーで、ラストが切なくてすごく好きです。
■「うちらの世代も十分いける」確信した同世代の可能性
ーー絶賛撮影中かと思うのですが、撮影中に印象的だった事があれば教えてください。
門脇:連続ドラマって大体スタジオで一気に撮影しちゃうことが多いんですけど、今回はほぼロケスタイルで。スケジュールのシーン数も映画並みに贅沢な使い方をしていて、すごく丁寧に撮っているなと感動しました。ドラマってすごいスピードで撮影していくので、頭が追いつかないうちに終わって「大丈夫だったかな?今のシーン」って思う事もあるんですけど、今回は粘ってこだわって撮れたので。撮影のときから、絶対面白いドラマになるという安心感がありました。
(c)日本テレビ
ーーいまもっとも勢いのある同世代の役者さんたちが集まっているのも、このドラマの魅力です。
門脇:同世代の俳優さんって素敵な人ももちろんたくさんいますけど、実は、今の30代の俳優さん達が20代の時よりも勢いや力強さが無いなというのは私自身感じていて。でも第1話を観たときに「わ、大丈夫だ。うちらの世代も十分いける」って心の底から思えました。素直に嬉しかったです。演技力も人間性も優れている皆さんが集まっているから、どれも個性的なキャラクターなのにきちんと厚みを感じたんですよね。
ーーそれぞれのキャラクターが、しっかりと際立っていますよね。
門脇:賢人くんも「クズのNo.1ホスト」ってキャラクターにも関わらず、ちゃんと悲しいし、哀愁もあるし。真剣祐くんもあの美しい顔で全身真っ白のお金持ちというキャラクターなのに、葛藤とか心の内で考えていることがあるというのがすごく表現されていて。みんながみんな、自分のシーンでキャラクターの奥行きを表現できていることに感動しました。
■キスシーンは麻痺するほど!?「ドキドキする暇もありませんでした(笑)」
(c)日本テレビ
ーー今回は『トドメの接吻』という題名通り、山﨑さんとのキスシーンが何度もありますね。バラエティ番組などでは、「キスシーンを何度もやって麻痺してしまった」とおっしゃっていましたが(笑)。
門脇:なんでそんな事言っちゃったんだろう、賢人くんのファンが聞いたら嫌だよなーって反省しました。これもよくないなあと思うのですが、この仕事しているとキスシーンって慣れてしまう部分もあるんですね。自分がキスすることにドキドキしてたら演じることができないので。
ーー今回は、本当にドキドキする暇もなさそうです(笑)。
門脇:それにしても……してますよね(笑)。1話につき3回とかあって、リハーサルもあるので。しかも恋してドキドキしてするキスじゃなくて殺すためにしているので、今回はとくに緊張している暇もありませんでした。
ーー山崎さんとはNHK連続テレビ小説『まれ』や映画『オオカミ少女と黒王子』でも共演していますが、久々に共演して成長を感じた部分はありますか?
門脇:賢人くんとは『オオカミ少女と黒王子』以来、2年ぶりくらいです。賢人くんとは『オオカミ少女と黒王子』以来、2年ぶりくらいです。もちろん彼のこの2年間の成長と変化はものすごく感じるし、お互いに感じているのではないかと。でも賢人くんは、屈託が無くて誰に対してもフラット。そこは変わってなくて一緒にいてとても安心します。でも、仕事への取り組み方はすごく変わったなと思っていて。
(c)日本テレビ
ーー例えば、どのようなときに感じましたか?
門脇:すごく印象的だったのが、賢人くんがキスをされて死ぬシーンで「こう動きたいんですけど良いですか?」と監督に提案していたこと。カットがかかると走ってモニターの前に行って、自分のシーンを真剣に確認していて。主演として作品を良いものにしようという気持ちが伝わってきましたし、すごいなぁと思いました。
ーー昔から知っている同世代の役者さんたちの成長を見ると、良い刺激をもらえそうですね。
門脇:周りのことをすごくよく見ているし、自分のこともよく見えてるなと思いました。賢人くんはすごく個性的なキャラクターを演じることが多いですけど、良い意味で我がなくて、監督が言ったことに一直線に染まれるから、どれも魅力的に感じられるのだと思います。
Photography=Mayuko Yamaguchi
Interview=Ameba
『トドメの接吻』は、日曜よる10:30〜絶賛放送中