10月2日(月)より放送がスタートしたNHK連続テレビ小説『わろてんか』は、明治後期から昭和初めの大阪を舞台に、主人公・藤岡てん(葵わかな)が小さな寄席経営を夫婦ではじめ、日本で初めて「笑い」をビジネスにした女性と言われるまでになる姿を描いた物語。

 

Ameba Official Pressでは、出演者のインタビューを掲載。第10回は、キース役を演じる大野拓朗に話を聞いた。

 

 

ーー今回『わろてんか』に出演することが決まったときのお気持ちはいかがでしたか?

 

大野:飛び上がるぐらい嬉しかったです!オーディションを受けたのですが、その場で監督が「(漫才師役の)キースは大野くんで」と思ってくださっていたと後から聞いて、さらに嬉しかったですね。同時に、やっぱり僕は三枚目路線の役なんだなって、改めて思いました(笑)。自分で言うのもなんですが、三枚目路線は得意 分野だと自覚していて、認めてもらえるようになってきたという喜びも感じています。

実は、前に出演した”朝ドラ”『とと姉ちゃん』のときは雑誌の編集者の話だと聞いて、面接のときに編集者をイメージした服装で行ったんです。実際に国立国会図書館に行って「暮しの手帖」も見て勉強したので、「今日は、編集マンぽい格好をしてきました」「国立国会図書館で勉強してきました」と面接の場で自慢したんですね(笑)。そしたら、(青柳)清という自慢ばかりしている役に決まったんです(笑)。その経験を活かし、今回は、お笑いの会社を作る話だから、会社員ぽい格好で行こうと思いつきました。それでスーツにネクタイをしめてビシッとした服装で行ったんですが、他にはそんな格好の人は居なかったという…(笑)。ですが、最終的には背広を着て漫才をするスタイルを作ったキース役に決まったので、今回も服装の戦略でオーディションに成功しました!……と、自分では思っています(笑)。

 

 

ーーご自身の役柄についての印象は?

 

大野:キースは、すごく頭の回転が速く、口から生まれてきたような男で、藤吉(松坂桃李)のことをよくイジっています。わがままなところもあるけれど愛情もあって、ちょっと不器用なのかもしれませんね。純粋に「お笑い芸」が大好きなので、熱い想いを込めながらまっすぐ芸道を突っ走っているという感じです。

 

 

旅芸人仲間の藤吉は年上ですが、「お笑い芸」の才能では恐らくキースが勝っているので、真剣に頑張って欲しいという応援の意味を込めて、藤吉の芸にツッコミを入れているんだろうと思っています。一方、藤吉はキースのことを、年下だけど「お笑い芸」に関しては一目を置いてくれているんだと思います。キースと藤吉の関係は、互いに兄でもあり弟でもありという不思議な関係かもしれません。てんちゃん(葵わかな)のことは、「かわいらしいお嬢ちゃんだな」と思っています。藤吉といい感じになっているのを見て、微笑ましいというよりも、面白いなぁと思ってイジっている感じでしょうか(笑)。

 

 

ーー大阪弁で演じるのはいかがでしょう?

 

大野:大阪ことばを話す役を演じるのは初めてなので、難しいです。単語のイントネーションがわからず、最初は外国語をしゃべっている気分でした。でも、このキース役を通じて、本気で大阪ことばをマスターして、テレビを見ている人にネイティブスピーカーだと思われるぐらいになりたいと思っています(笑)。実は借りていた東京の家を解約して、クランクインの一か月前から大阪に住所変更して住んでいるんです!完全に大阪に引っ越して住所変更までする出演者は珍しいそうですね(笑)。もう、留学生の気分です(笑)。でも、街中を歩いたり電車に乗ったりしながら周囲の人が話すのを聞いているだけでも刺激を受けますし、頭に思い浮かぶすべてのことを大阪ことばで考えてみたりして練習を重ねています。

 

他にもプライベートで、芸人さんたちと交流させていただいています。あたたかくて、面倒見がよくて、ご飯に連れていってくださいます。芸人さんの仕事ぶりを、舞台の袖から見せてもらったこともあります。舞台袖はどんな雰囲気で、そこから舞台に登場するまでのわずかな間に、どんな風に変わるのか……その空気を生で感じさせていただきました。一朝一夕で技術を盗めるわけではありませんが、身近に雰囲気を感じることで、いろいろな要素を吸収して僕なりの“芸人・キース”を表現できたらいいなと思っています。

 

 

ーー撮影現場の印象はいかがでしたか?

 

大野:大阪の現場は、あったかいなぁって思いましたね。持ち道具のスタッフさんから、NHK大阪放送局近辺の“おいしいご飯屋さん 20 選”をリストアップしたメモをいただいたんです。リストには店名だけでなく、何とおすすめメニューまで書いてあるんです!ぜひ参考にして行きたいと思っています。他にも、キースは丸いメガネをかけてハットをかぶっているので、“くいだおれ人形”みたいと言われているのですが、大阪ことば指導の先生が、“くいだおれ人形”が表紙になった フリーペーパーをどこかで見つけて、「キースくんが映ってたからあげる」って持ってきてくれたこともあります(笑)。

 

 

ーー放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。

 

大野:出演者の皆さんの衣裳が凄くかわいらしいので、そこに注目していただきたいと思います。世界に通ずる、超一流ブランドが衣裳監修しているかのような印象で、中でも藤吉・リリコ(広瀬アリス)・キースと芸人仲間三人が並んでいる時は、すごく格好いいんですよ!一見、ごちゃごちゃしているように見えるのですが、実は計算されているのできっと目で見て楽しめると思います。 また、『わろてんか』では、「笑い」だけではなく、沢山の失敗が描かれています。これは日常生活や人生も同じで、失敗することもあれば、うまくいくこともあるけれど、チャンスはきっと平等に皆に与えられているはずです。何度失敗しても諦めずに一生懸命挑戦し続けることで、新しい道が開けていく事が伝わればと思います。

あと、「笑う」って言うのは当たり前のようでいて、実はとても幸せなことですよね。毎日『わろてんか』を観ていただき、たくさん笑って、たくさん感動して、それが視聴者の皆さんの一日の活力になればいいなと思っています。

 

 

画像提供:NHK

 

■『わろてんか』公式サイト

■葵わかなインタビュー

■松坂桃李インタビュー