10月2日(月)より放送がスタートしたNHK連続テレビ小説『わろてんか』は、明治後期から昭和初めの大阪を舞台に、主人公・藤岡てん(葵わかな)が小さな寄席経営を夫婦ではじめ、日本で初めて「笑い」をビジネスにした女性と言われるまでになる姿を描いた物語。

 

Ameba Official Pressでは、出演者のインタビューを掲載。第5回は、てんの祖母・藤岡ハツ役を演じる竹下景子に話を聞いた。

 

 

ーー今回「わろてんか」に出演する事が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?

 

竹下:大阪放送局での“朝ドラ”出演は、1994年の連続テレビ小説『ぴあの』以来になります。20年以上たって再び大阪で撮影できるとなって、まず懐かしい思いが湧いてきました。どういう現場になるのかなと、楽しみにやってきました。こちらの撮影現場は、とにかく人があったかい。東京だと大きなスタジオがいくつもあっていろんな方が出入りしておられますが、こちらはひとつのドラマを作る大きな家族みたいな感覚です。スタッフさんは夜何時になっても元気ですし、明るい現場です(笑)。

 

 

ーーご自身が演じられているハツはどういう役柄だと思いますか?

 

竹下:ハツさんのご主人がどんな人だったのかは描かれていないんですが、元禄時代から続いている大店の家付き娘として育ち、婿入りしたご主人と二人三脚で藤岡家を守ってきたんだろうなぁと想像しています。だからこそ、ハツさんはおうちがとても大事。ここで生活している家族、奉公人も含めて大切で、ハツさんなりの役割を果たそうと考えているんです。まるで漬け物石のようにドンと構えて、ハツさんがいるだけで何となくこの家が落ち着くような存在になれればいいなと思っています。

 

 

ーー演じるうえで意識していることなどはありますか?

 

竹下:演じるうえで気を配っているのは、伝統を背負う女性の「品格と説得力」でしょうか。あの「ぎょろ目の鬼さん」と呼ばれる儀兵衛さん(遠藤憲一)にビシッと厳しく物申すのは、決して簡単ではないですね(笑)。ですが、この立派なお着物や日本髪、品のある京ことばに、助けられているところがすごくあります。京ことばは難しいですけど、ちょっとでも違うとすぐにご指導の先生が飛んできてくださるので、そこは大船に乗ったつもりでやらせていただいているんです。

ハツさんは厳しいだけの女性かと思えば、意外とおちゃめな部分もあるんですよ。てんちゃんから見れば、甘えられるおばあちゃんでもあります。年ごろに育ったてんの縁談相手に「ええ男はんやなぁ」とほほ笑んでみたり、意外と面食いな一面もあります(笑)。そういう、決してひと色ではないハツの魅力も表現できるといいですね。

 

 

ーー現場の印象はいかがでしょう?

 

竹下:いつもかわいい孫たちに囲まれて撮影しております。子役さんの時代から始まりましたが、てんちゃん(新井美羽)、りんちゃん(中川江奈)、風太くん(鈴木福)が本当に天真らんまんでかわいくて。あの子たちがいるだけで和んだり、場が明るくなったり。おかげで自然と家族になってきた感じがありますね。

 

 

ーー注目してほしい部分などはありますか?

 

竹下:お話はどんどん進んでいて、最近は、スタジオの藤岡家セットが夏仕様になりました。ふすまや障子が涼やかな簾戸よしずに替え変えられたり、夏のお花もこまやかに生けられていて、季節感のあるしつらえに惚れ惚れします。これは、しず役の鈴木保奈美さんと気づいたことですが、「蚊やり」ひとつとっても、いろんな種類があるんです。定番のブタさんだけじゃなくて、布袋さんだったり、おうちの形をしいていたり。ぜひ注目してみてください。

 

 

ーー最後に、放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。

 

竹下:『わろてんか』はヒロイン・てんちゃんの「笑い」に満ちた人生の物語ですが、彼女が娘さんになるまでの、いちばん多感な時期を私はご一緒しています。てんには幼いながらもハラハラするような行動力があったり、家族ならではのエピソードもいろいろ描かれていて、私自身ここにいて思うのは、「家族っていいなぁ」ということ。きっと、みなさんにも感じていただけると思います。

 

「笑い」とは楽しさの感情表現だけじゃなく、「つらいことも笑って吹き飛ばそう」というような、人間の前向きなしぶとさや力強さでもあるように思います。ドラマのエピソードひとつひとつに、そういう「生きるエネルギー」がまぶされているような気がします。てんは波乱万丈な人生を送るのでしょうけれど、さまざまな出会いがあって、個性豊かなひとたちが彼女の人生を彩っていくんでしょうね。これからの展開がとても楽しみです。

 

 

画像提供:NHK

 

■『わろてんか』公式サイト

■葵わかなインタビュー

■松坂桃李インタビュー