10月2日(月)より放送がスタートしたNHK連続テレビ小説『わろてんか』は、明治後期から昭和初めの大阪を舞台に、主人公・藤岡てん(葵わかな)が小さな寄席経営を夫婦ではじめ、日本で初めて「笑い」をビジネスにした女性と言われるまでになる姿を描いた物語。

 

Ameba Official Pressでは、出演者のインタビューを掲載。第1回は、てんの父親・藤岡儀兵衛役を演じる遠藤憲一に話を聞いた。

 

 

ーー『わろてんか』に出演することが決まった時のお気持ちはいかがでしたか?

 

遠藤:俺、こんないかつい雰囲気ですけど、“朝ドラ”が大好きなんですよ。まず15分という時間枠も好きだし、全体に流れている空気感というか、ほんわかした題材が大好き。でも、自分は朝の顔じゃないんだろうなぁと思っていたら、連続テレビ小説『てっぱん』で呼んでいただいて。その時に、“朝ドラ”を見るだけじゃなく参加するのも好きになって、またいつか呼ばれるといいなと思っていたのが、『わろてんか』で実現しました。本当にうれしかったですね。

 

 

ーーご自身の役柄についての印象や、演じるうえで意識していることなどは?

 

遠藤:儀兵衛という人物は、仕事にまっすぐな堅物の男。『わろてんか』という番組タイトルとは真逆で、天真らんまんな娘のてんが笑うのを注意するくらい、ほとんど笑わないコワモテのお父さんです。子どもたちから「ぎょろ目の鬼さん」と呼ばれたりもして。だけど、ずっとおっかない顔ばっかりしていても人間味が出てこないので、話が進むにつれてだんだんと崩していこうと思っています。一生懸命すぎるがゆえに、おっちょこちょいもするし、やりすぎて後悔したり......。そういう人間的な味わいを、微妙なさじ加減で表現できるように考えています。

 

 

ーー現場での印象的なエピソードはありますか?

 

遠藤:儀兵衛の初登場シーンで、台本上では大きなくしゃみをするだけなんですけど、監督のアイデアで、通行人みんながズッコケるという演出が入って。いきなり振り切っちゃったんです(笑)。「え、そこまでやるんだ!?」って思ったけれど、同時に「この作品はいけるな」って確信しました。儀兵衛として表現できる幅が広がった気がしましたね。

 

 

ーー儀兵衛のここに注目してほしいというポイントは?

 

遠藤:キャラクターの表現は自由にやらせてもらっています。ずっとムツッとしているだけだと難しいけれど、やっぱり人間だから、おかしい時はふっと笑ってみたり。決してゲラゲラ笑う人じゃないけれど、その奥に垣間見られる人間らしさを感じてもらいたいですね。

 

 

ーー現場の印象はいかがですか?

 

遠藤:最初は子ども時代のてんちゃん(新井美羽)と風太くん(鈴木福)と一緒にやってきましたが、 第2週からとたんに子どもたちも大きく成長して、演じながらも別世界のようですね。とにかく展開が早いな、と。きっと視聴者の方にとっても、ぐいぐい引っ張られる感覚でおもしろいと思いますよ。

 

 

ーー第1週は、美羽ちゃんと福くんとご一緒のシーンが多いと思いますが、お二人はどんな方ですか?

 

遠藤:子どものてんを演じる美羽ちゃんは、天真らんまんで、表情も何もかもがおもしろい。あの世代での表現力はピカイチだと思いますね。てんちゃんの泣きのシーンがあった日、いつもは待ち時間に福くんと遊んでいるんだけど、その撮影前にふと見ると、福くんはセットの仏壇前にじっと座っていて、美羽ちゃんはぐるぐるとひとりで歩いていて…。「なんで仏壇の前にいるの?」って聞いたら「心を落ち着かせてる」と福くん。「じゃあ、美羽ちゃんが歩いてるのはなんで?」と聞けば「集中してる」って。それで本番になると、美羽ちゃんは見事な泣きの芝居を見せるんですよ。すごいでしょ?俺がぐるぐる歩いても、そんな感情は湧いてこないもんね(笑)。子どもの感性ってすばらしいなと改めて思いました。

 

 

ーー大きくなったてんを演じている葵さんの印象はいかがでしょう?

 

遠藤:成長したてんを演じる葵わかなちゃんは、透明感がとっても素晴らしい女優さん。これは作ろうとして作れるものじゃないですからね。共演が始まったばかりなのでまだまだ知らない面がたくさんあると思いますが、今の時代にはなかなかいない存在感のある女優さんです。生まれ持った最大の武器だと思いますよ。

 

 

ーー最後に放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。

 

遠藤:この作品は、大阪ならではの笑いを物語にドン!とぶち込んでいるので、「朝から笑っていいんだな」ってス

トレートに楽しんでもらえると思います。例えば、大人同士で真面目に話し合うシリアスなシーンがあるんですけど、儀兵衛としず(鈴木保奈美)が部屋を出た後に、ハツさん(竹下景子)がぽろっとこぼすセリフで、風太(濱田岳)が思いっきりズッコケてたり。それがコントなら分かるけれど、ドラマにこういう笑いを持ち込むって新しい表現だと思うんですよ。いきなり急展開の笑いがやってくるので、ときには「あれ?」ってなるかもしれないけれど、ぜひついてきてほしいですね(笑)。そこを楽しんでもらえると、毎日の生活が、またひとつ明るくなるんじゃないかなと思います。

 

画像提供:NHK

 

■『わろてんか』公式サイト

■葵わかなインタビュー

■松坂桃李インタビュー