住野よる原作の大ヒットベストセラー小説を実写映画化した『君の膵臓をたべたい』は、重い膵臓の病気を患う女子高生・桜良(浜辺美波)と桜良の病気を唯一知ることになるクラスメイトの「僕」(北村匠海)が織りなす切なくも美しい青春ストーリー。

 

本作で、ダブル主演を務めるのがいま注目の若手俳優である浜辺美波と北村匠海。フレッシュな2人が、多くの人に感動を与えた小説を実写化するにあたって肌で感じたこと、表現したこと、そして映画オリジナルである12年後の「僕」を演じた小栗旬の印象などを語ってくれた。

 

 

■キミスイは「前向きで美しい言葉が詰まっている」

 

ーー『君の膵臓をたべたい』というインパクトのあるタイトルですが、この小説を手に取ったとき、どのような印象を受けましたか?

 

浜辺:本屋さんで見かけたことがあったんですけど、タイトルと表紙の美しさのギャップが凄くて、忘れられない本でした。その先にどんなお話が広がっているのか全く予想できなくて。でも、読ませていただいたら、前向きで美しい言葉がたくさん詰まっていて…とても素敵な物語だなと感じました。

 

北村:僕も最初タイトルを聞いた時は、どんなホラー小説なんだろうと思っていたんですけど(笑)、実際に読んでみると、タイトルになった理由からも儚さや愁いが感じられて。それに、「僕」の名前の表記の仕方や、セリフにも印象的なものが多く、言葉の力というものに改めて気づかされました。

 

©︎2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 ©住野よる/双葉社

 

ーー浜辺さんは、病気を抱えながらも笑顔で居続けるヒロインの桜良を演じていらっしゃいます。演じることが決まったときはどのようなお気持ちでしたか?

 

浜辺:小説を読んで、桜良ちゃんの前向きな考え方や明るい性格、人のために笑うというところにとても魅力を感じて、桜良ちゃんのことが大好きになっていったんです。お話をいただいてからは、お芝居をするのが楽しみで仕方なかったですね。

 

 

ーー桜良は本当に魅力的で、愛されるキャラクターですよね。

 

浜辺:桜良ちゃんは男の子にも女の子にも人気で、本当に眩しい女の子なんです。教室のシーンなんかは、みんなから愛されていることが特に分かる瞬間で、演じていても不思議な感覚になったり。ただ、その中でも死と向き合う少女だということは忘れないように意識はしていました。ふとしたときに恐怖心だったり、孤独感を感じることがあるということを忘れずに。

 

©︎2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 ©住野よる/双葉社

 

ーーそんな桜良の秘密を知る唯一のクラスメイト「僕」を演じられた北村さんは、オーディションでこの役に選ばれたそうですね。「僕」という役の印象は?

 

北村:中学生時代の僕も、他人に壁を作ってしまうタイプだったので、「僕」という人間が人と距離を取ってしまったり、狭い自分だけの世界で生きているところにすごく共感できました。演じることが決まって原作・脚本を読んだときも、やっぱり自分と似ているなと。

 

 

ーー音楽活動もされている北村さんが、「僕」のように壁を作ってしまうタイプだったというのは意外です。

 

北村:この映画の中で描かれている「僕」と桜良との出会いというのは、僕と音楽との出会いに似ていて。僕が本格的に音楽と向き合ったのが中学後半のころで、そこから自分の中で何かが開けていったんです。なので、まるで自分の過去を追体験しているような気持ちで演じさせていただきました。

 

 

 

 

■ぶっつけ本番で挑んだ涙のシーン

 

ーー演じる中で、特に難しかったシーンはありますか?

 

北村:初めてデートに行くときの待ち合わせのシーンは何度もリハーサルを重ねました。初めて2人っきりで出かけるということで、作品の中でも一番曖昧な距離感というか。

 

浜辺:私も待ち合わせのシーンはすごく難しかった思い出があります。撮影の最初のほうだったこともあって、桜良ちゃんの距離感やテンポ感にもまだ慣れていなくて…。

 

北村:僕は視界に桜良を入れないようにする、でも桜良は僕が外した視線の中に入ってくる。

 

浜辺:視界に入っていく桜良ちゃんの動きは大変でしたね。でも、それが最初にあったおかげで、距離感を掴むことができました。「次からはもっといこう」という感じで。

 

 

ーーそうだったのですね。とても自然だったので、苦労されたシーンだとは思いませんでした。個人的には「僕」が初めて涙するシーンも、とても印象的でした。

 

北村:ありがとうございます。あそこは物語の肝でもあったんですけど、逆に意識しないようにしていたんです。意識してしまうと、そこに向かって行ってしまう感覚があったので、前日まで監督ともこのシーンについては話さず、桜良の共病文庫にも目を通さないようにして。そしたら本番では自然と涙が溢れてきて…自然なお芝居ができたんじゃないかなと思います。

 

 

ーーリハーサルなどもしなかったのですか?

 

北村:特にリハーサルはなかったですね。でも、現場で監督が僕にとって演じやすい環境を作ってくださって。本当に感謝しています。

 

©︎2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 ©住野よる/双葉社

 

ーー浜辺さんは、そのシーンを見てどのような気持ちになりましたか?

 

浜辺:私はその場にはいなかったので、出来上がった作品で拝見したのですが、桜良ちゃんの思いを受け止めてくださっていたことが伝わってきて、ホッとしました。桜良ちゃんとしても、嬉しかったですね。


 

ーー他にご自身のお気に入りのシーンなんかはありますか?

 

北村:矢本悠馬くんが演じる"ガムくん"とのシーンです。矢本くんとは、3作品連続で共演していて、いろいろ喋れる仲だったので、その空気感もでていたかなと。後半になっていくにつれて、桜良の終わりが見えてくる中で、矢本くんとのシーンは見ていても心が安らぐというか。監督も毎回「すごいいいね、2人」とおっしゃってくださって、楽しく撮影できました。特に蝦夷桜の場所を探してくれるシーンがお気に入りです。

 

 

ーー徐々に2人の距離が縮まっていく感じが素敵ですよね。

 

北村:ガム君との終盤にかけてのシーンはアドリブなんですよ。よそよそしかった口調も最後には男友達っぽくしてみたり。後半は結構アドリブが使われているので注目してほしいです。

 

 

ーー浜辺さんはいかがでしょうか?

 

浜辺:予告にも使われている屋上のシーンが印象的でした。私は撮影が終わると、役が抜けきって撮影期間のことを忘れてしまうことが多いのですが(笑)、あそこから見た景色は今までにないくらい覚えていて。

 

 

ーーそれは、景色をですか?それとも、気持ちも?

 

浜辺:桜良ちゃんの気持ちと一緒に覚えていますね。なぜだか忘れられないんです。

 

 

 

■桜良と「僕」のような正反対なタイプには惹かれる?

 

ーー桜良と「僕」は正反対のキャラクターなのに、惹かれあっているのがわかりました。お二人は自分と正反対の方はいかがですか?

 

北村:僕は多分、こじ開けてもらわないとダメなタイプなので、自分と正反対とまではいかなくても、ちょっと引っ張ってくれるような人が良いかもしれません(笑)。あとは、自分の趣味を一緒に楽しんでくれる人が良いですね。

 

 

ーーデートも一緒に趣味を楽しんだり?

 

北村:そうですね。服や音楽、写真が好きなので、それを共有できるといいな。写真を撮りに出かけるデートとか。

 

©︎2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 ©住野よる/双葉社

 

ーー素敵ですね。浜辺さんはどのような方が好みでしょう?

 

浜辺:私は、本当に自由なので、正反対の方には好かれないと思います(笑)。自由なのを許容してくださる方が良いです。

 

 

ーー自由というのは?

 

浜辺:好きなときは喋るけど、喋らないときもあったり(笑)。勝手に過ごしていることが多いので、それを許してくれる人が理想です。

 

 

ーー1人の時間も大切にしたいタイプなんですね。

 

浜辺:はい。1人の時間は、読書をしていることが多いですね。本屋さんいくのもすごく好きで、出かけるときは本屋さんかコンビニくらいです(笑)。

 

 

 

■小栗旬は「追いかけるべき背中」

 

ーーお二人は本作が初共演ですね。お互いの印象を教えてください。

 

北村:美波ちゃんはどちらかというと、「僕」に近いタイプなんじゃないかな〜と思っていたので、「桜良をどう演じるんだろう?」と楽しみな反面、(普段の性格と逆のタイプを演じるので)大変じゃないかなと思っていたんです。仮に僕が桜良のようなキャラクターを演じるとしたら、すごく苦労すると思ったので。

でも、いざ撮影に入ったら桜良そのものでした。特に笑顔が印象的で、弱いときもあれば強いときもある、前向きだったり、たまに後ろ向きな笑顔も見せてくれて。「僕」という人間として、桜良の笑顔に引き出された感情はたくさんありましたね。

 

浜辺:北村さんは服装が印象的だったので、最初は「僕」と真反対の方なのかなと感じていました。私とも真逆の人なのかなと。

 

 

ーー服装が印象的とは?

 

北村:ちょうどその頃、『仰げば尊し』というドラマの撮影でヤンキー役を演じていたんです。僕はその時の役によって私服のニュアンスが少し変わることもあって(笑)、その頃はアロハシャツに袴パンツに雪駄を履いて、丸いサングラスをかけて…というファッションで生活していたんですよ。かなり不安感を与えたと思います(笑)。

 

浜辺:(笑)。でも、一緒にお芝居をしていく中で、北村さんの「僕」に近いところも見えてきて、私にも近い部分がある方なんだなと気づけて安心しました。

 

 

ーーいまは、映画のキャンペーンなどで一緒に各地を回ったりしていると思いますが、撮影のときには気づけなかったお互いの発見した部分などはありますか?

 

北村:とにかくご飯が大好きなんだということです。「唐揚げが好きです」と話すときの笑顔がすごく輝いていて(笑)。

 

浜辺:私も、北村さんは食べることが好きなんだなぁって感じていました。撮影の合間にご飯を食べていたときも、時間内にどれだけ食べられるかというのを隣で見ていて、頑張ってるなぁと(笑)。

 

 

ーーそういうときは、話かけずに頑張ってるなぁと見ているのですね(笑)。

 

浜辺:そうですね、私も必死に食べていたので。食べながら心の中で思っていました(笑)。


 

ーー頼もしいですね(笑)。ちなみに、12年後の「僕」を演じられた小栗旬さんとの共演で、何か刺激を受けたことなどはありましたか?

 

北村:僕は、同じ役ということで共演するシーンはなかったんですけど、作品を見終わったあとに小栗さんに「すごく良い意味で、お前がナチュラルでいてくれたからよかった」とおっしゃっていただいたのが嬉しかったです。

 

 

ーー「僕」について2人で話し合ったりも?

 

北村:話し合う機会はありませんでした。でも、小栗さんは左利きを右利きに変えてくださったり、僕と同じ箇所にほくろを書いてくださったり、外見的な面でも内面的な面でも歩み寄ってくださって。小栗さんは「僕」のことを理解しがたいキャラクターとおっしゃっていたんですけど、映画で見たら本当に同一人物のように思えて。一役者として改めて追いかけるべき背中だなと思いました。

 

©︎2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 ©住野よる/双葉社

 

ーー浜辺さんは小栗さんとご一緒するシーンもあったかと思いますが。

 

浜辺:私は今回、初めて間近で小栗さんのお芝居を見させていただいたんですけど、「僕」に変わる瞬間というのを目の当たりにしました。空気の重さだったり、色というものが変わる瞬間だったりを、肌で感じることができて、「こうやってお芝居をしたいな」とこれから先もずっと思い続けるんだろうなと、刺激を受けました。

 

 

■観る人にとっても、一歩を踏み出す作品に

 

 

ーー最後にお二人にとって、『君の膵臓をたべたい』という作品はどういったものになりましたか?

 

浜辺:桜良という役を演じたことで、私自身も成長することができて、一歩踏み出す作品になっていたのかなと思います。一日の価値を映画を通して感じられたし、そのおかげで毎日がこれまで以上に濃いものになっているので、そういった意味でも、私にとって大切な作品になりました。

 

北村:監督やスタッフさんが作ってくださる現場の空気感のおかげで、撮影中はリラックスしていたのですが、公開が近づいてくると改めて自分たちが主演なんだということを実感して少し緊張しています。でも、そんな中でも自信を持って素晴らしい映画だと言えるものになりましたし、僕が役者を続けていく中で、また1つ心に残る作品が増えました。

 

 

ーー映画を観る人に、どのようなことを感じてほしいですか?

 

浜辺:私自身が感じた思うことの強さ、思いあうことの尊さを感じていただけたらと思います。人は強いわけじゃないけど、大切な人を思うことで強くなることができる、その人のためになにかできるということを感じていただけたら嬉しいです。

 

北村:桜良のセリフは心に響くものがたくさんあります。「偶然じゃない。私達は自分の意志で出会ったんだよ。」など、余命わずかな彼女が発するセリフを受け止めてほしいですし、いまここに生きていることが素晴らしいことなんだということを感じてほしいです。一歩を踏み出すということはすごく勇気がいることだとは思うんですけど、「僕」という人間がそうであったように、現実でも観る人の一歩踏み出すきっかけになるような映画になってほしいと思います。

 

Photography=Mayuko Yamaguchi
Interview=Ameba

 

 

映画『君の膵臓をたべたい』は7月28日(金)より全国ロードショー。

 

 

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