車で20分かかる距離をわずか3分に短縮し

た季節を利用した大規模なトリックが「氷

の橋」だった。

ヒントはまいた水が一瞬で凍りつく寒さ、

明石が握っていた飼い葉だった。

加納りえが殺される前の晩、はじめ達が寝静まったのを見計らって綾辻はワゴン車に乗り、この谷が一番狭くなっている場所にやって来た。彼女はガードレールの支柱から谷間にロープを何本も渡した。

次にあらかじめ隠しておいた木の枝や飼い葉をロープの上に敷き詰め、さらにその上に雪をのせながら川の水を汲み上げてかけていく。水がかかった雪は氷点下20℃の凄まじい寒さで凍りつき硬い氷となってしまう。

こうした作業を延々と繰り返し、氷の橋が

向こう岸に達して十分な強度になったら両岸に結んだロープを切る。

だがここで計算外のハプニングが起きてしまう。綾辻を追ってきた明石が氷の橋を見つけてしまい、綾辻は手に持っていたスコップで明石を殴り殺した。


ドッキリ撮影決行時、水沼のコーヒーに睡眠薬を入れたはずだとはじめ。水沼を眠らせることで、彼のアリバイをあやふやにするために。

撮影が始まる5分前、彼女はワゴン車で本

館を出発した。トランシーバーの電源を切り、車で氷の橋を一気に渡った。

橋を渡り終えた後、残りの飼い葉や木の枝

を橋の上に積み上げる。ガソリンを導火線

状にたらし、残りのガソリンを飼い葉にか

ける。火をつけて引火することで橋が火の

熱で溶けて崩れ落ちていく。

これが「鬼火」の正体だった。

橋を始末した後、カメラの死角となる場所

にワゴン車をとめ、夜叉に着替えて加納を

殺害した。

なぜあの4人を殺さなければならなかった

のか、はじめが綾辻に問いかけると彼女

は殺されて当然よと言い放つ。

綾辻「金田一くん、地獄の夢って見たこと

ある?」