新緑が眩しい季節になりました。

このところは天候にも恵まれていて、とても過ごしやすいですね。

5月も半ばということで、あと半月で今年も半分が終わろうとしています。

さて先日はFC主催ライヴが計3日間行われました。

連日たくさんの方々にお越し頂き、感謝致します。

この3日間はHIDE-ZOUプロデュースということで、ヒデゾウ君とセットリストをあれこれ見直しつつ組みました。

ヒデゾウ君のアイディアで僕はソロの衣装を着たのですが、それぞれの日をグレー、黒、白に合わせた内容になりました。

昨日セットリストをアップしたわけですが、中々レアな楽曲もあり、通常とは異なる世界を表現できたのではないでしょうか?

まず初日はグレーということで僕は「Seventh Sense」の衣装で、メンバーは「Tightrope」のものでした。

「Tightrope」の衣装はチャコールグレーのストライプでスタイリッシュさがあるから、相性よかったね!

退廃的な灰色の世界に染まってしまうのではなく、藻掻きながらも必死に空を目指す…。

そんな風に思える楽曲が続いた気がします。

改めて演奏、また歌ってみて思ったのは、自分で言うのもなんですが、Dの楽曲の完成度の高さでした。

根底にある伝えたいことは今も昔も不変なわけですが、その時にしか生み出せないメロディー、言葉…どれをとっても新鮮に感じました。

どの楽曲も大切な宝物のひとつなので、こうして歌う機会を作ることができて良かったです。

この日「EDEN」はやっていませんが、前日譚である「Dying message」から派生する物語、それにヴァンパイアストーリーからはジャスティスの生き様のようなものが多く選ばれました。

異なる世界観であれ、やはり物語の主軸は僕のアイデンティティから生まれるものです。

今、世の中ではあれが流行っていて評判がいいからやってみよう…とか、世界観をそういった観点で構築することはまずないのですが、だからこそ新旧交えた折々の楽曲を組み合わせても、なんら違和感を感じることがないのだと思います。

ソロではとりわけ大きく区別していますが、基本的には自分の中にある感情はこの通りです。

全てを根絶やし、終わらせてしまいたいという黒の感情。

自らを犠牲にし、自然に委ねて生きて行くという白の感情。

そして迷いながらも目の前にある壁と向き合うグレーの感情。

ひとつひとつ、その時に選択によって未来は大きく変化するものです。

内部での変化は勿論のこと、外部からの刺激によって変わっていく心境もあるでしょう。

例えるならば酸性、中性、アルカリ性というようなpHみたいなものでしょうね。

基本的には中性(グレー)であるわけですが、気持ちが左右した時に酸性やアルカリ性よりになるという意味です。

実際に人もストレスの有無(自律神経の関係)で体液のpHが変化するといいますからね。

摂取する食べ物によっても変化します。

お肉や卵などは酸性、野菜や果物はアルカリ性。

健康を維持するには、ややアルカリ性が良いとされていますので、なるべくであればクロギ(酸性)ではなく、シロギ(アルカリ性)よりのグレギ(中性)がお勧めです(笑)。

そして2日目は漆黒のドレスの裾を翻しながらの屍の王者衣装!

メンバーみんなはビシッと決めたブラックスーツでした。

SEと共に「屍の王者」スタート!

今回のソロ曲で唯一激しさが引き立つ曲でもあります。

ヴァンパイアストーリーのドライツェンがヴァンパイアの始祖となる以前に存在した、不死者なる存在「Null」の物語。

Nullはヴァンパイアではないので太陽で焼かれることはありません。

またその血はあらゆる可能性を秘めています。

現在予定はありませんが、また何かの機会に別の話を書けたら良いなと思っています。

ヴァンパイアストーリー自体、まだまだ間の物語があって未知の部分がたくさんあるのですが、プロット自体は頭に色々とあるので、こちらもまたタイミングが合えば書き下ろしたいですね!

やりたいことがたくさんあることに対し、時間が比例しない物悲しさ…。

とはいえ書きたいことがなにもない!浮かばない!ではアーティストとしてはいただけないなので、どんどん浮かんで来ることは幸せなことなのです。

この日はやはりNullからのDreizehnという流れでヴァンパイアストーリー(王の楽曲)が多かったですね。

また10年前の作品である「Corvinus」、それからライヴでは初披露となった「Unknown」も演奏しました。

今回のソロワークスが10年ぶりということも感慨深いのですが、「Unknown」は唯一、生で歌ったことがなかったので、この機会に歌えてとても嬉しかったです。

生を求め空へと飛び立つ鴉、そして太古より姿を変えぬまま、海底で死を待つシーラカンス。

対称的な2曲ですが、どちらも「自ずから然り」であることには変わりません。

孤独でありながらも、決して自分を見失うことはない。

大きな決断にはすべて理由がある。

これが僕における「黒の意思」の真髄です。

「Corvinus」の後にはDの楽曲ですが繋がりのある「Rebellion」。
ひとつの曲がまた別の曲を生み出す…これが僕のソロやDの楽曲の強みのひとつでもありますね。

アンコールでは黒の中でも一風変わった「黒竜」そして「皇帝~闇に生まれた報い~」。

黒といってもこのシリーズは黒の中にアクセントとして目映い金色を感じるような楽曲達です。

Dの楽曲一?男らしい人物像でありながら、報われぬ想いとバイオレンスな世界の狭間を描いた作品で、時折無性に続編を描きたくなるシリーズでもあります(笑)。

僕自身、ヒデゾウ君の密使というキャラが板についていてお気に入りです!

この日もとても濃厚なセットリストでしたね。

ファンのみんなの次はどんな曲が来るんだろう?というキラキラして食い入るような視線にドキドキしつつ(笑)とても楽むことができました!

そして最終日は「アンプサイ」の衣装で、メンバーは予想通り!?「名もなき森の夢語り」衣装でした。

この日は「アンプサイ」始まりではなく、すべての事柄が起こる前の物語…「ZERO」からのスタート。

胎児にははっきりとした意思はないように思われますが、母体と繋がっているわけですから当然母親が摂取するものによって影響がでますし、外部からの刺激は波動によって感じられるのではないでしょうか。

受精した時点で命の誕生ですからね、仮になんらかの理由で母体から生まれて来れなかったとしても「命」は「命」であるのだと思います。

たとえそこに愛がなかったのだとしても…。

小さな命が選んだ選択…それが「ZERO」の世界。

今回のソロワークスの楽曲に関する詳しいライナーノーツは、また別の機会にどこかで書きますね。

色で言うのであれば「ZERO」は透明です。

だからMVも存在しない通常盤に収録されています。

その後「アンプサイ」「光の庭」「名もなき森の夢語り」と続きましたね。

「Seventh Sense」から「アンプサイ」と「屍の王者」に分岐するので、しろろの世界にヴァンパイアは存在せず、またヴァンパイアストーリーにはしろろは存在しません。(獣人は存在しますが)

現在、日本では人が亡くなると火葬が中心ですが(法律的に土葬を禁じているわけではないようですが、説明が難しいので割愛します)、海外では宗教観などもあって(当然土地の広さもあると思いますが)その国々によって埋葬法が異なります。

地球上に存在する生きものの中で仲間の死を理解する生物は人間以外にもいますが(特に象)。

動物(人を含む)が生きて行くということは、菜食主義者であれ、草食動物であれ、何かしらの命を奪う可能性があります。

たとえ目に見える大きさの命を奪わなくとも、顕微鏡サイズの生きものを知らず知らずのうちに殺めているということです。

水を飲むにしても殺菌、パンや乳製品を食べるにしても酵母や乳酸菌が入っていますからね。

道を歩けばそこには小さな虫もいることでしょう。

ちなみに麒麟という中国の伝説上の生きものは殺生を嫌い、虫さえも殺さないために宙を駈けると言われていますよね。

食べるということは生きる為に備わった行為のひとつなので、故意的に殺めるのでなければそれは自然の一部なのでしょう。

食物連鎖が崩れれば、それはまた別の種の滅亡に繋がりますからね。

悲しいですが命はまた新たな命を生む為に犠牲となるのです。

「アンプサイ」は自然と共に生きることを選び、のちに木と融合します。

石榴に似た実とはかつての心臓。

熟れた甘い香り、風によって誘い出された鹿は思わずその実を口にするのでした。

それが「名もなき森の夢語り」に出て来るしろろです。

双方共に白い衣装であり、どこかしら同じ風情を感じるのは、しろろがアンプサイの実を齧ったことによって受け継がれたものなのです。

その後しろろは森の番人となり、通常の鹿よりもずっと長く生きることになりますが、やはり人から派生したものは完全な無垢にはなりきれません。

ですので森を穢す者への怒りの感情が芽生えた時には、黒々しいくろろへと変貌してしまうのです。

逆をいえばNullも全てを滅ぼそうと決断したにも関わらず、腹違いの義弟を目の前にして殺めることができませんでした。

これはNullの心が完全なる黒に染まっているわけではなく、僅かに残っていた人間性の部分でもあります。

衣装も真っ黒ではない(腰から流れるドレープ部分はヌードカラーに黒を被せています)というのが実はポイントだったりします。

話を白に戻しますね。

そしてこの日は白を彷彿させる柔らかな楽曲と共に、ヒデゾウ君が以前から認めていた「母なるセクション」を中心にセットリストが組み込まれました。

当初のセットリストには「Independent Queen」もあったのですが、これは母ではないですし(よくダリエの曲と組ませてましたが(笑))白さとはかけ離れていたのでやめました(笑)。

セットリストを見直すと、意外と母性を感じる楽曲が多いのですよね。

「無垢なる薔薇の祈り」や「My unborn baby」は言わずもがな、失った子をいつまでも想う「狐塚」。

「花摘みの乙女」は祖母、母、娘と三代に渡るストーリーですしね。

またカーバンクルの母である「赤き羊による晩餐会」ではドラムソロを挟んで、赤いマントを羽織っての再登場!

白いドレスに赤いマントの組み合わせは新鮮に感じました。

また「鳥籠御殿」のシリーズや「Marine Snow」などは青いイメージですが、白と青は空や海を彷彿させて相性が良いのでセレクトした部分が大きいと思います。

3日間とも何度もセットリストを見直して、前日や当日になって変更した部分もありました。

(ソロ含め)僕らだからこそできる世界を、この3日間で表現できたと思います。

勿論、グレー、黒、白の枠には入れられない曲もたくさんあります。

この先の未来でまたこういったコンセプチュアルなライヴ構成をする時があれば、その時にはまた新たな曲も増え、さらに世界は広がっているのだと思います。

先日ツイッターにも書きましたが、Dを13年、音楽活動を20年やってきた僕ですが、まだまだ描きたい世界も音楽も溢れ続けています。

そしてそれを楽しみに待っていてくれる皆さんがいてくれること。

それが本当に嬉しいですし、何より糧になるのです。

Dの13周年、そしてソロの10周年を祝した活動はこれで一旦締め括りとなりますが、僕はもっともっとやりたいこともあるし、何かを諦めて惰性で音楽を続けているわけではありません。

みんなに見せたい、いや、一緒に見たい景色もあります。

ただ優しいだけじゃ生きて行けないし、何も守れない。

強く、逞しく、風を切って前へ進むよ!

みんなありがとう、愛しています。





ASAGI