「だってできないンだもん」なぁ~んちゃって、、、
こんにちは。カウンセリングサービス
のみずがきひろみ
です。
岡崎陽子
と交替で水曜日のキャリアアップのテーマを担当しています。
今日は、「できない」自分との折り合い方を考えてみたいと思います。
ここで私が言う「できない」というのは、やる気が出ない、燃え尽きてしまった、というよりも、文字通り、知識・技術などの能力不足で仕事が「できない」ことを指します。
新年度に入ってしばらくしたこの時期、新しい職場に配置されたものの、慣れない仕事に手間取り、凹む日々を過ごしている方もおられるでしょう。好きな仕事であるなしに関わらず、あるレベルの知識や技術を身につけるまでというものは、ダメ出しをされたり、周りに迷惑をかけたりで、何かと肩身の狭い思いをするものです。
はじめのうちこそ、「何でも聞いて下さい」とにこやかに言ってくれていた先輩・上司の視線がだんだんと冷たく、険しく感じられると、自己嫌悪で消えてなくなりたいと思うこともあるかもしれませんね。「仕事を身につけるプロセスも楽しんで」と頭では思っても、「じゃあ、どうやって?」とまじめな方ほど思われるようです。
そんな「まじめ」さんの心の中には、とても厳しい「できなくちゃダメ!」と叱る人が大きな位置を占めていることが多いようです。この「できなくちゃダメ!」さんは超まじめな頑張りやさんで、いつも「できない」部分を見逃さず、完璧をめざしてちょっとのミスでも「ダメ出し」します。
「ホラ、あなたがトロいから、また××さんに、睨まれたじゃない!このバカ!」と追い打ちをかけるのです。
困ったことに、「できなくちゃダメ!」さんは自分の中にいるので、逃げようがありません。しかも、他人と違って、まったく容赦がなく、他人が見逃してくれたところまで、逐一、責め立てたりもします。
人から何か言われるたびに頭の中が真っ白になったり、人の顔を見るだけで緊張してしまうと職場に行くことすら辛くなりますが、本当は、相手が怖い、というよりも、自分の中の「できなくちゃダメ!」さんにおびえていることの方が多いようです。
仕事なんて、できることばかりではないのです。
むしろ、できないことの方が多いのです。
叱られながら、文句を言われながら、できることを増やしていって、「ありがとう」と言ってもらえるようになればいいのです。
「できない」自分を知り、「できる」ように努力を重ねることが大事なのであって、「できない」自分をこてんぱにやっつける必要はないのですが、ついつい、自分を痛めつけていませんか?それを続けていては、どんなにタフな人でもいつかは燃え尽きてしまいます。
では、どうやってこの自分を責めるパターンを手放して、「できない」自分を受け容れることができるでしょうか?
実は、「できなくちゃダメ!」さんがいるのと同様に、私たちの心の中には、「だってできないンだもん」さんもいるのですが、自己嫌悪のパターンが強い人は、この「だってできないンだもん」さんの言い分を聞こうとしません。
「だって、まだはじめたばかりだし、、、」
「だって、私は不器用だし、、、」
「だって、みんなが同時に勝手なことばかり言うから、、、」
「だって、できない私にやらせる方が悪いじゃない、、、」などなど。
「できる」仕事ばかりじゃないからこそ、仕事を続けていくためには、
「だって、できないンだもん、仕方ないじゃない」と開き直れる「あなた」もとても大事です。
でも、多くの場合、私たちは、開き直ることを「好」とはしません。
言い訳をするのは潔くないし、「できない」ことはまわりに迷惑なのでよくない。それを「だって、できないンだもん」と開き直るなんて「図々しい以外の何ものでもない!」とそれこそ「できなくちゃダメ!」さんに叱り飛ばされそうで、とても怖くて思えません。
確かに、この「開き直る」というのは危険な感じがします。
言い訳を「好」としたら、なんでも言い訳ばかりでごまかしてしまいそうだし、
まわりに迷惑をかけてばかりいたら、「やる気のないヤツ」と思われてしまいそうです。
それより何より、「だって、できないンだもん」がまかり通るのであれば、「できなくちゃダメ!」と思って一生懸命に努力した「頑張りやの私」の立つ瀬がなくなってしまう!
そこで、きょうのタイトルのしっぽ、「なぁ~んちゃって」さんが必要になります。
「なぁ~んちゃって」って、何もかもを「冗談」にする力です。
苦いホンネを「なぁ~んちゃって(ウソだよ~)」とオブラートにくるんでやさしくのみ込み易くする「愛あるユーモア」です。
人の心の中では、脇役の中でも脇役ですが、受け容れにくい自分を笑い飛ばすのを助けてくれる、何とも頼りがいのあるヤツだったりします。
「『だって、だって、できないンだもん』なぁ~んちゃってね(ウソだよ~)」
(「できないンだもん、仕方ないじゃない。でも、そう言っちゃいけないのよね、それもわかっているよ。また頑張るから許してね。」)
「できなくちゃダメ!」と普段頑張っている自分を認めつつ、「だって、できないンだもん」とちょっとだけ開き直りながら、「できない」自分を育ててみませんか。
「開き直る」ことが、向上心や責任感を軽んじることにはならないとわかれば、前向きに「できない」自分を受け容れることもできそうです。
上手に「開き直る」力は、いずれ知識や技術がついて決断を期待されるようになったときも、いたずらに人の言葉に振り回されずにリーダーシップをとるためにとても役に立ちます。
「なぁ~んちゃってね」って言いながら、ダメな自分をちょっとだけ許す、そんなコワザも案外効力があるんです。