先日、私の親しい不動産業者が


実際にあった話。


古い連棟住宅を購入して


建物を隣家と切り離し、解体して


分譲住宅を建築予定。


その連棟住宅はもともと4戸1棟


だったらしいが、既に2戸分は


解体されていて2戸1棟となっていた。


まず、その不動産業者は



隣家に切り離しと解体の


承諾を貰いに行ったのだが


隣家の人から


「切り離したら耐震強度が現状より下がる


可能性があるのでやめてくれ」


と言われた。


その不動産業者も


「元々、耐震強度など極めて低い


はずなので、同じ」と反論。



双方、折り合わず



結局、プロの建築士による耐震診断を


受けることになり、切り離しにより


耐震強度が下がる場合は


屋根瓦を軽量のものに葺き直すとか


耐力壁を設けるなどの措置を取る


ことをその不動産業者は約束した。



耐震診断の結果は恐るべきものだった。


法的に充たす耐震強度を「1」とすると


現状の耐震強度は「0.06」ビックリマーク


何と6%しかない。


建物を切り離し、一戸建になると


その耐震強度は「0.07」と


なぜか、0.01ポイント上がるアップ



とのこと。


解説を聞くと木造住宅の耐震強度は


主に耐力壁が重要。


耐力壁とは筋交いの入った壁や


構造用合板を張った壁のこと。


当該住宅は築後50年以上


経っている為、壁は全て土壁。


よって基本的には耐震強度は「0」


なぜ、0.06ポイント加算されたのかは


不明だが、築後50年クラスの建物は


ほぼ耐震強度は無いことが判明。



何となくは分かっていたが


数字で示されると、結構、衝撃的叫び


この結果を受け、切り離しによる



耐震強度の低下は無い、とのことで



隣家の人は切り離し、解体を



了承してくれた、とのこと。


しかし、裁判の判例では



切り離しにより倒壊の危険性がある場合は


隣家の承諾なしに切り話すことは違法


というものもある。



今回は結果、


「隣の人がイイ人で良かった」


ということになるのだが、



連棟住宅の切り離し、建替えを



考えている場合は購入前に



隣家と話し合う必要がある。



古い連棟住宅を購入したものの


解体、建替えできない



となると、我々不動産業者には



かなりの痛手になる。


弁護士のなかには


連棟住宅でも柱と界壁以外は


専有的なものなので


隣家との壁と柱を残した状態で


解体するのは勝手だ。


という解釈もあるが


判例をみていると


連棟住宅は区分所有建物で


建替えには区分所有者の


4/5の賛成が必要。


という区分所有法の適用に


傾いているカンジだ。



もちろん、今回のように



区分所有者が2人の場合は



2人ともの承諾が必要だ


ということになる。


インターネットの普及で


情報が溢れている為



一般の方もある程度の知識が


得られる時代。


今回のような問題も


あまり軽く考えない方がいい


かもしれない。