皆さん、こんにちは。白鳥哲です。


先日、東京のあきる野市にある禅道場に行ってました。その禅道場の奥には、以前杉の山が延々と続いていたのですが、2005年当時都知事だった石原都知事が多摩地区を視察をした際に、酷い花粉症になったことから伐採することになり、今、東京の奥多摩に広がる杉の山が伐採され続けています。
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戦後、高度経済成長期に高まる木材需要から、拡大造林政策と言う林野庁の方針で、全国津々浦々まで杉、ヒノキ、カラマツを植えました。


その影響で、日本全体で山が持つ保水能力が落ち、戦前の十分の一以下まで水量が落ちました。そして、間隔を狭めて植えることで、下草が生えなくなり、微生物や生き物たちの少ない「緑の砂漠」状態になったのです。

土壌に微生物や生き物が少なくなり土の力が落ち崖くずれし易くなりました。
また、間隔を狭めて植えることで、杉のストレスが強くなり、花粉が大量に飛び散るようになったと言われています。
人間の都合で間隔を空けずに杉の木を大量に植えたことが、「花粉症」と言う形で私たち人間が受け取ることになったと言えるのです。
そして、その杉の木を伐採したところにまた、新たな杉の木を植えているのです。
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今回、水源の場所まで登り、近辺は禿山のように伐採されていたのですが、そこの山で作業をしている方と話をしました。



「先日、東京都の役人がボランティアの人たちを連れて、杉の苗木を植えていったよ。
 
また、杉だよ!
 
何のために伐採したのか…わからないよね。本当は落葉樹とか、常緑広葉樹を植えないと水量が落ちるのにね~。杉の山になる前、川の水…この10倍は流れてたんだよ。現場の人間がいくら言っても耳を貸そうともしない。役人は机の上の考えだけで、頭の中は金勘定しかない。」



沢山の外材が入ってきている中、伐採した胸高直径30センチと呼ばれている樹齢30年の杉の木も一本2000円にも満たないお金で取り引きされています。

お金でみたら価値がほとんどないというのです。

山を貨幣価値で計る考えは浅はかで、山によって育まれる、空気、水…生態系全体を観る視点が大切です。
山は水を生み出す「緑のダム」でもあるのです。






今、世界は水不足の方向に向かっています。





世界第4位の広さの湖アラル海では、50年前の半分以下にまで水はなくなり、漁獲高はゼロとなりました。今年、五月に行ってきたイスラエルの死海などは年間1メートルずつ水位が下がり続けていて、中国長江、黄河の水量も減ってきています。


水不足になってきている理由は、食料を増産するために水の消費が50年前の3倍となっていることや、途上国や新興国の生活の向上に伴って、生活水の使用量が3倍になっていること、そして、人口増加によって、人口の2倍の割合で水消費が増えていることがあげられます。

また、六カ国が所有しているメコン川では、上流の中国がダムを造ったため、タイ、ラオス国境地帯の水量が減り、漁獲高が減り、下流のベトナムのメコン川流域に海水が逆流して魚が大量死し、農作物が枯れるという被害が起きました。
そもそも、メコン川をはじめ、長江、黄河、インダス川などの川は、ヒマラヤ山系の山が蓄えた水が流れてきています。
しかし、地球全体の気温が上がっていることで、そのヒマラヤの永久凍土が溶け、下流の国々の水量が減って来ているのです。



このまま行くと、2025年までに世界人口の3分の2が水不足になると言われています。そして、水面下では水を巡っての争いが深刻化してきています。


以下は現在も続く水を巡る争いが起きている国のほんの一例です。


米国ーメキシコ
ヨルダンーサウジアラビア
イスラエルーレバノン
南アフリカ
インド 
フィリピンー米国
ウズベキスタンーサウジアラビア
インド局地
タイ局地


そんな中、日本の水源の山は、管理出来なくなり荒らされ、タダ同然で外資に取り引きされています。
昨年2014年3月27日に「水循環基本法」と言う法律が施行されました。
水源の山を「国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いもの」と言うことが明記され、水源の森を守る為の第1歩がようやく始まった段階ですが、具体的には何も進んでいません。

今や、水源地域の山の所有者の46%は所有者が不明で、801ヘクタールの山が外資のものになっています。
日本の水源の山の多くは今、外国に居住地を持つ資本のものになっているのです。



そもそも水は、植えた木々が育むものです。


その木々の成長は50年、100年、千年先を見越した視点が大切です。木々を植え、山を守ることは私たちの子孫を守ることになるのです。


日本では、古来、「水分り(みくまり)」と呼んで水は分かち合うものであり、全ての生命が共有するものとして大切にし、分かち合うことをしてきました。そして、水を生み出す山の木々、生き物たちを、それぞれに神が宿り、それを敬ってきました。

実際、生産者である木々が、酸素を産出し、毛根に水を蓄え、私たちの命を支える水を生み出していきます。
木々を敬い、山を敬い、生きとし生けるものを敬うことは私たちの命を守ることに他ならないのです。

しかし、私たちの命にとって大切な山を経済的価値ではかり、お金にならないものは意味がないと切り捨ててしまっています。
そのツケは、私たち、そして、子孫が受けることになるのです。

その土地本来の植生の常緑広葉樹を植え、日光が土まで届く自然の生態系に近い、自然植生を植える必要があります。
例えば、太平洋側の岩手県上関伊群大槌町北部から関東以西の海抜800mまでの潜在自然植生は、タブノキ、シイノキ、カシ類などです。ちなみに北海道はミズナラ、トチノキ、ナナカマド、カシワなどです。

自然植生の木々は、やがて人の管理が要らなくなり、虫や微生物の多い命溢れる森に成長していきます。また、自然植生の木々は、災害に強く、火事や津波、大きな災害でも生き残ることが報告されています。






「タブノキ一本。消防車一台」





と昔から言われているように、太平洋側、岩手以南の自然植生であるタブノキは、火災に強いことが知られています。東日本大震災の時に、津波の被害を食い止めたのも潜在自然植生の木々でした。
そして、豊かな水源となっていきます。
後から続く子孫たちの未来の為にも命を守る森作りが必要になってきているのです。

東京都で進む、花粉症対策の伐採事業をきっかけに、今までのような杉、ヒノキ中心の植林ではなく、タブノキ、シイノキ、カシなど潜在自然植生の常緑広葉樹の自然林に戻し、人の管理の要らない豊かな水源の森づくりが、今こそ必要なのです。

ネイティヴアメリカンのホピ族は7代先を考えて行動したと言われています。

7代先の子どもたちのことまで考え、今こそ、地球蘇生に向けて行動が求められているのです。
 
 
 
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