大阪の盛夏を象徴する祭りが「天神祭」だ。
各地からわんさかと天満橋方面に人が集まってくる。
川沿いには少しの隙間もなく屋台がまるで龍の如く埋め尽くす。
そこに人が集まると、先に進むこともままならない。
暑いから団扇で扇ぐ、すると密集した人だかりより大量の汗の匂いが飛び交う。
そこに祭りのよさがあるのかもしれないが、今年はこの人だかりに入って行く事に迷いがあった。
そこで、大きな祭りの後の祇園に出向く事にした。
四条大橋は案の定ガラガラだ。
祇園祭りの余韻すらなく、浴衣を着た若者は大阪方面を目指す。
今日は何も口にしていないので、先斗町にある店に予約の電話を入れ、お気に入りの7番テーブルをキープする。
何時もならお店に近付くと、わいわいとにぎわいの声が窓の隙間から漏れているこの店、今日はまったくの無音の玄関をくぐる。
誰もいない・・・・良いのか悪いのか?
丁寧に焼いてくれる鉄板焼きを腹いっぱい楽しみ店を出た。
しかし食べすぎだ。
横の公園の芝生の上で小休止。
川風が心地よい。
蚊も居ない。
自然と仰向けになり、大雨警報が出ている東の空を眺める。
なんと贅沢な時間だ。
カメラを取り出し、何も考えずにシャッターを切る。
職業病だろうか?こんな時にまでカメラ!
最近ハマっている正方形構図にモノクロ使用、使えば使うほど味のある画が撮れる。
表現の仕方が難しいと思っていたが、今と成っては一番潰しの利く構図だ。
今回はコントラストだけで何枚か撮ることにした。
何時もの等間隔の座っているカップルの姿はここにはなかった。
やがて日が落ち床の灯りがまぶしく感じたので、重い腰を上げることにした。
公園横のお店と街灯の雰囲気が良かった、そこに猫が登場したのでワンカット!
何時もなら平行目線で歩く先斗町界隈、少し上を見ながら歩くと、根性の曲がった電柱を見つけた。
実際根性が曲がっているかは不明だが、少なくともこのような電柱は初めてだ。
細く暗い路地が誘っている。
何も考えずにワンショット!
有ろう事か、偶然にも割腹の良い紳士をセンターに納める事が出来た。
ではなく、偶然の産物だ。
だから写真は面白い。
歩くと喉が渇く、丁度良い場所に行きつけの粋なバーがある。
手が勝手に重たいドアを押す。
うなぎの寝床のような店の作り。
入るとカウンターがあり、その奥はボックス席と成り、現シーズンは川床を持つバーだ。
店長も顔を見るなり床に案内する。
今にも泣き出しそうな空の下、川風を感じながら「ソルブル」をオーダーする。
ランプの明かりだけで飲む酒も、これもまた乙なものだ。
乙と言えば流石京都と言うべきなのか?衣を着たお坊さんがバーで会話を楽しんでいる。
そんなことはさておき、目の前のサーバーが気に成る。
もともと男はこの手の光ものに弱いものだ。
結果は正解でも不正解でもないような気がする。
所詮どちらでもよい事だ。
しかし床に張られたカウンター、写真だと屋内に見えてくる。
当たり前の事だが、客の雰囲気に応じて言葉を出す。
くだらない話にも耳を傾け、こちらの要望にこたえてくれる。
僅か30分のバータイムを心地よく過ごし、花火の終わった大阪へ戻る事にした。



