blogを書けと言われたので、今回は「素麺」の話。

 いや、ゴールデンウィークなので、blog更新しろや、って言われました。はい。

 私、素麺が苦手です。
 特にコシがなくなってふやけたような素麺は、口に入れても飲み込むのに往生します。
 何故、素麺が苦手か?
 それは多分、風味です。
 乾麺独特の、というより、素麺独特の香りが厳しい。
 小麦の香りとも違いますし、鄙びた風の渋い香りでもない。
 もちろん、流水でしっかり洗ってヌメリや乾麺臭さも取っていますよ?
 それでも確実に素麺独特の匂いは感じ取れます。
 上口蓋の奥にへばり付くような匂いが、何だかキビシー! っていうか。
 でも、蕎麦・饂飩・ラーメンなんかの乾麺は好きです。
 パスタ類も同様。ってか生パスタ以外乾麺じゃね?
 素麺だけが苦手っていうのは、製法か素材に理由があるのかも知れません。

 なので素麺について調べて見ようと思った次第。
 夏を迎えたら素麺の季節ですしね。
 江戸時代には〈七夕に素麺を備える〉風習も御座います。多分旧暦の七夕。
 おお。季節を先取りした雑文だ!


 ○素麺とは何か?
  歴史的な側面は置いておいて。
  簡単に言えば「小麦粉を塩水で練って、細く伸ばし、食用油を塗りながら乾燥。そこから更に熟成させたもの」になります。
  手作業で作られ、長期間熟成された素麺はとても美味しいとか。
  素麺苦手な私でも、このクラスの素麺は美味しく感じます。三口くらいなら。

  しかしうどんの乾麺も似た製法のはず。
  小麦粉を塩水で練って、製麺して乾燥させるのですから。
  それでも乾麺のうどんは美味しい。
  やはり素麺と違いがある――とすれば、多分、油の塗布の有無でしょう。
  この一工程で、素麺とうどんが変わるようです。

 ○素麺のゆで方
  素麺のゆで方は、その素麺に付いている指定通りにやれば問題ありません。
  端を縛って等の一手間はやってもよいですし、やらなくてもよいですが。
  また差し水を云々もございますが、メーカーさんではこの行程なしのことも。
  差し水=びっくり水ですけれど、現在は不要という流れです。
  差し水をすることにより、鍋の中の温度が急激に下がり、麺に火が通らない状態になる、とか。料理の世界は日進月歩です。

  また〈沸騰したお湯に素麺を入れ、再沸騰したら火を止め、蓋をして五分放置。その後麺を丁寧に洗う〉っていう方法をネットで見ました。
  余熱で火を通し、デンプンの糊化(α化)させる、ってことですね。
  これもまたひとつの方法でしょう。
 
  あ。
  経験上、素麺及び乾麺のゆで方でこれだけは守るべし、という点があります。
  それは「出来るだけ沢山のお湯で茹でること」。
  茹でるためのお湯が少ないと、お湯そのものに粘りが出て、上手く湯がき上がりません。
  更に、麺全体の食感も風味も悪くなります。
  乾麺を茹でる際はとにかく、お湯だけは多すぎるくらいでよいと思います。

  また、茹で上がったら即冷水にとって洗うこと。
  少しでも早いほうが良い結果を生みます。

  ・たっぷりのお湯で茹でる
  ・茹で上がったら間髪入れず冷水で洗う


  これだけは守りましょう。

 ○素麺つゆ
  素麺つゆは淡い色で、甘味が薄いもの。
  そばつゆは濃い色で、甘味が強いもの。
  それぞれ違うので、つゆも使い分けます。

  で。
  市販の素麺つゆでもよいのですが、自作もお勧め。
  鰹昆布出汁を取ったら、あとは楽。
  大体〈出汁5:濃い口醤油:1みりん:1〉程度で混合し、ひと煮立ち。
  あとは冷やせば完成です(冷蔵庫で一晩寝かせると更に美味しい)。
  ぶっかけつゆなら、出汁の割合をもう少し増やすだけで良いです。
  にゅうめんにする場合は、更に出汁を増やして下さい。
  素麺そのものに塩分があるので、味加減は大事です。

  ところが「出汁取るの面倒!」ってこともありますね。
  そんなときは市販の出汁粉などを使って出汁を作り、後は割合通りに。
  顆粒出汁の場合、元々塩分が入っているのでその分醤油は減らします。

  更に味を少し工夫したい場合。
  例えば、みりんを減らし、三温糖や酒を加える。
  濃い口醤油に薄口醤油を足す。
  味わいが変わりますし、ある種コクが出ます。
  出汁も焼きアゴや海老、干し椎茸など好きなものに変えてみてもOKです。

  檀一雄氏のレシピを真似してもよいですね。


  1)基本の素麺つゆ(鰹昆布出汁、みりん、醤油)


  2)基本つゆで戻した干し椎茸を煮る。椎茸を抜いてつゆにする(+椎茸出汁)
    
椎茸は具にする


  3)基本つゆで鶏挽肉を煮る。挽肉を漉してつゆにする(+鳥出汁)
    鶏挽肉は具になる上、そぼろとしてご飯にかけても


  4)基本つゆに裏ごしした梅を混ぜる、輪切りにした柑橘類を漬け込む
    酸味のあるつけつゆになる(※梅干しは塩味があるので、つゆを更に出汁で割る)


  これらのつゆに大量の薬味を準備します。
  ※厚揚げや油揚げを油抜きし、基本のつゆで煮込んで冷やしたものもアリです。
   そのときは小さめに切るのがいいかも。
   厚揚げとか油揚げって出汁が出るんですよね。
   厚揚げ・油揚げはそのまま残しても良いですし、つゆから取って具にしても。
  ネギ、胡麻、ミョウガ、青じそ、ショウガ、わさび、などなど。
  具は錦糸卵や季節の野菜の細切り、海苔、揚げたまはいかがでしょう?
  あとは好き放題に組み合わせて素麺をすするだけです。

 ○でも素麺が苦手なの
  私、具だくさんの素麺でもそんなに食べられません。
  むう。
 
  そんな私でもたくさん食べられる「素麺の癖をなくす」方法が幾つかあります。
  1)市販の豚骨ラーメンスープ辺りに入れてラーメンにする
  2)ツナやトマト、しそをぶっかけにする
  3)甘めの肉味噌をかけ、レタスの千切ったものや白髪ネギと和える
  4)出汁粉、自家製ラー油(ニンニク入り)、醤油で和える
  5)梅干しを漉したものに鰹節とつゆ少しで和える

  などなど。

  ソーミンチャンプルー的に炒めても美味しい。
  また、茹でた麺を胡麻油に醤油、出汁粉だけで和えてもオッケーです。
  或いは「ひとくち分ずつ猪口に取り、肉味噌などを乗せて食べる」。
  要するに、素麺の匂いは強い香りで打ち消すのですね。

  あと、鍋の締めにいかがでしょ?
  よい出汁が出た鍋スープに、乾麺のままの素麺を入れます。
  ゆで時間が来たら小鉢にとって、小ネギなどで食べます。
  素麺の塩気があるので、スープの塩味は調整下さい。

  あとは、高温の油できつね色に揚げて、食べる。
  すぐに焦げるので注意ですよ。塩味付いているのでこのままで大丈夫。
  ……中華あんをかけると堅揚げ焼きそばに。


 ってことで素麺についていろいろ書きました。
 でもね。
 私が素麺を苦手は理由って、本当の素麺を食べたことがないからかもしれない。
 そんな私に山岡さんが言うんだ。
 「可哀想に。本当の素麺を食べたことがないんだな」
 「いや。素麺そのものはよいものだ。料理法が何もかも、紛い物だ」
 「明日ここに来て下さい。本当の素麺をお目にかけましょう」
 って。

 ちゅうか、ここまで書いてみて思ったのは
〈おめえ、ホントに素麺苦手か?〉っちゅうね。
 本当は、私、素麺好きなのかもしらん。うへへへ。