職罪怪談の話、その2です。
 今回はまず、タイトルについて。

 タイトルは 職罪怪談――しょくざいかいだん です。

 が、これはいろいろな意味が含まれています。 本編をご覧頂くとその辺りは分かってくるはずです。ただ、漢字のままの意味だと「職の罪」みたいになりますが、元々職業に罪などないと、わたしは考えています。
「職業に貴賎なし。されど、職に就いた人間に貴賤あり」との言葉を何かで見かけたことがありますが、個人的な見解だと〈職業それぞれは繋がり、循環している。相互作用し、助け合っているからこそ貴賤などない〉のではないかなぁと。

 おっと堅い話になりました。
 ともかく、本編をご覧頂けるとタイトルの意味が見えてきます。

 さて、このタイトルですが、途中までワーキングタイトルすらありませんでした。
 例えば、黒碕薫先生、佐々原史緒先生、葉月弥生先生(五十音順)へ、お仕事の話をするときには「あの実録怪異譚の本の」「あの話」「あの仕事」「あれは」みたいに話していました。或いはメールですらそんな感じだった記憶が。
 で、具体的な時期になってから、やっとこさワーキングタイトルが付きます。
 このタイトルは企画段階で付けていたものです。
 ちょっと長かったのですが、一時期そのタイトルを使っていました。
 例えば、この本の仕様などを纏めたテキストでしょうか。
 このテキストに、とても大事なひと言を入れていました。
〈ポイントさえ守って頂けたら、あとはご自由にお書き下さい〉と。
 だから、他のお三方に好き放題書いて頂いた方が新しく、面白く、型にとらわれない本になるだろう、と思ったからです。

 さて。
 このテキストをお渡しした後、本格的にお仕事が始まってからある程度経って、正式タイトルが付きます。
〈職罪怪談〉です。
 やあやあ、やっとタイトルが付いたぞ!

 その後、著者の皆様に「ゲンコー、ゲンコー」と原稿催促を開始しました。

 債鬼の如きわたくしの無慈悲なせっつきの後、全ての原稿が集まったところで、お三方の全原稿のリスト化を開始するわたくし。

 隠すことでもないのでお教え致しますが、今回のリスト化っちゅうのはね、一話一話管理用のナンバリングして、それぞれの「タイトル、ページ数、著者名、概要、その他」を表に入力していく作業です。
 当然一話一話チェックしながらになりますが、一話読む度に「うひひひ。これはエエぞエエぞ!」ってほくそ笑む訳ですよ。ええ。

 そしてカチャカチャ打ち込んでいきます。※全原稿をリスト化する理由はいろいろあります。
 でもね、その時期になってもわたしね、自分の原稿全部上げてなかった、という。
 え? 忙しかったの? ですって?
 アア イソガシカッタヨ。ウン。イソガシカッタ。チョウ イソガシカッタ。ネルジカン ナンテ マイニチ ハチジカン クライ シカ ナカッタヨ。 オチャ ノ ジカン ハ イチニチ サンカイ クライ ダッタシ。ダカラ ゲンコウ オクレタノ。

 嘘です……ッ。
 お三方の原稿が揃ってからも、まだ書いていた。ただ単に仕事が遅かった……ッ!

 そう。鈍間な愚図なんですよッ。久田樹生という人間はッ!

 多分、本書で一緒にお仕事したお三方にはこの盆暗ッぷりはバレてる……ッ!

 こんな鈍間で愚図が、賑やかしの如く参加している〈職罪怪談〉ですが、メインのお三方が紡ぐ実録怪異譚はたいへん興味深いものばかりです。
 是非、ご一読あれ。

〈職罪怪談〉は書店様、各ネット書店様で予約開始されております。

 

 

 2022年1月31日発売。是非、予約されることをお勧めします。

                                             久田樹生