ルール。
 守らなくてはならない社会の決まり。
 公正に行うための規則。

 生きていると、ルールが身近にあることに気付きます。
 人と人が快適に、お互いに尊重し合って生きていくのにルールは必要です。
 あ。合理的ではない後付けマナーをルールのように振りかざす向きもありますが、あれはルールではございません。礼儀って、人に対する思いを表す物ですからね。尊敬する人や敬いたい方には自然に礼と義が滲み出ます。

 んで、オメェはルールを守って生きているのか? と問われれば、「してません!」と声高に答えましょう。
 儂がルールじゃあ! ボゲェ! 的な傍若無人な人間なので、ルールに従うっちゅうのがニガテ。人が普通に出来ることすら出来ないことを「儂はルールを破る、言わば選ばれし人間……」的に言い換えて、エセ無頼を気取るのが大好きなのです。
 あ、それアレじゃん。思春期の気の迷いを未だ引きずってる人だ!

 最近破ったルールは〈現実逃避をして畳の目を数えない〉です。

 畳の目、数えました。現実逃避、しました。
 だってさー、PS5が予約できなかったんだよ? 抽選、全部外れるしさぁ。そらやさぐれて畳の目も数えますわ。あ。PS5買ったら、十三機兵防衛圏とペルソナ5、Ghost of Tsushima(3D酔いするかもしれんが)がやりてぇっす。……全部PS4で遊べるやんけ。

 でも、ゲームにもルールってありますよね。
 あ。テレビゲームだけではなくて、遊び全般です。
 カードゲームも、ボードゲームも、果ては鬼ごっこやかくれんぼも。
 ルールというのは、物事を楽しくする側面もあるのですな。
 ルールなき遊びは、実につまらないものですしね。

 そう言えば、ルールと言えば……。
 学生時代のクラスメートに不良・ヤンキーという人々がおりまして。
 話せば気の良い面白い人が多かったのですが、それこそツッパッて生きておりましたね、あの人達。
 彼らは学校や社会のルールを破ることで、自己を確立するわけでありまして。
 例えば、髪を染めない。そり込みも入れず、制服もノーマル。異様に長いスカートや短いスカートにしない。授業も真面目に出て……なんて不良・ヤンキーのアイデンティティがまるでなくなります。
 彼らは不良やヤンキーであるために、ルールを破るのです。
 でも、不良・ヤンキーの世界にも、ルールがあります。
 守らなければ、パイセンにボッコボコにされますし、グループ内で降格されて、これまで下だった人間に従わざる得ないことも。いや、厳しい。
 これこそ、「守らなくてはならない(不良)社会の決まり」なのです。
 人間が集まればそこに社会が生まれますからね。
 どんな人間にも、ルールが生じるっちゅうわけですな。うひ。

 不良……ってえと、ちょいと意外だったこともあります。
 不良グループで中堅くらいのクラスメート三人が、担任にとっ捕まって〈指導室〉で説教されていたときのことです。あ、何故か私も四人目で居たりして。陰キャなのに!
 そんでね。担任から説教カマされるわけ-。
「お前ら! ルールを守れ!」的な。
 不良の三人は、ちらっとこちらを見て、そのまま目を伏せて、だんまり。
 そこは「うぉおおおおい! クソセンコーよおおお! オメェのクンロクはもうあきたんじゃあああ! ハルァアケボノォー!」じゃろがい。それに期待していたんだよお! 意外以外の何物でもないわッ!

 ツッパらかした生徒がのれんに腕押し、糠に釘なのことに対しヒートアップした担任が「今からビンタかまして、気合い注入しちゃうぞ!」的に、そこ並べぇッ! とね(当時はまだ体罰上等だったんすよ。マジで)。
 いや、不良の皆様がね、立ってられないくらいのビンタなのよ。素直に受けちゃうから。
 ぶっ飛ぶって言うか。場合によっちゃ、鼓膜逝くよね?
 小心者の私の順番は最後でしたから、担任の間合いがなんとなく分かりまして。
 ……はい、予想通り避けました。ビンタ。後ろに反って。痛いの嫌いだし。
 したっけ、担任の目が変わりまして、ネ!
「……よし。お前」
 ってことで、指導室で正座からの鉄拳制裁&鳩尾キック(革靴ver.)でしたヨ。あ、鳩尾に来たときブロックしたら「腕退けろぉ!」ってノーガードにさせられました。その前に鳩尾キックを素直に食らった不良クラスメートたちは先に教室に帰らされてたなぁ……。
 担任の体罰で上手いなぁと思ったのは、めっさ痛いのに、痣とか傷が僅かにしか出なかったこと。あれは技術ですよ、技術。

 げんなりして教室戻ったら、件の不良達が眉間に皺を寄せながら言いました。
「オメェよォ。あそこは空気読んでビンタとキックされなきゃ駄目だべ?」
「アイツはそういうので、すぐキレるから」
 なななな。何と。君らの方が大人だった……。スマヌ。子供で。

 以来、この担任には目を付けられて色々な罰則をさんざん喰らいましたとさ。
 陰キャの真面目ちゃんだったのに! 制服もノーマルだったのに! クラスメート以外のヤンキーと擦れ違うときは、目を伏せていたのに! 金出せ! って言われて「もももも、持ってませぇん!」って1オクターブ高い声で歌うように答えるくらいだったのに!
 え? 罰則を喰らうようなルール破りをしたお前が悪い?
 ルールっちゅうのは破ってこそナンボでねぇ、それでこそ無頼って言うかねぇ……(以下、エセ無頼の泣き言が続く)。