メイド・イン。
英語だと made in であり、「~製」を指す。
ってーことで。
私は、メイド・イン・USA! ではなくて、ジャパンです。
この辺りもちょっとしたエピソードがあるのですが、割愛。
あ。以前本のために大分県へ取材に行ったとき、宇佐市にあった「宇佐 USA」の立て看板の前で写真を撮りまくり、「USA! USA!]と声を上げたのはナイショだ!
この事柄から分かるように、実に日本人的行動を取る私。やはりメイド・イン・ジャパンなのですねえ。そこ。型ハマり臭いとか言わない。
メイド・イン・ジャパンと言えば、海外バンドが日本で行ったライブをアルバムとしてリリース。それがきっかけで本国でもブレークしたという逸話も良く聞きますね。
ライブ・アルバムのタイトルを「メイド・イン・ジャパン」とか、ともかくジャパンで録った・撮ったぜ! 的なタイトルを冠しているのがポイント。
またブドーカン……武道館で収録されるパターンも多いように思います。
っていうか、ビートルズも武道館でやってましたもんね。
今でこそ、武道館で演ることに冠しハードルが下がっていますが、当時は国内外のバンドのステータスを指すハコ(?)であったわけですよ。
まさに彼らにとって聖地。
記憶違いかも知れませんが、「日本のブドーカンで演奏し、ライブ盤を出せば売れる!」みたいな験担ぎをしている人たちもいたような気もしないでもありません。
ともかく、このように日本で収録されたライブ盤で人生が変わったバントの人たちは口を揃えて言います。
「日本人は僕らがまだデビューしたてだった頃から応援してくれた」
「日本でのライブは特別だ」
リップサービスが多分に含まれているとしても、やはりどこか「ジャパンは特別だ」なんて少しは感じてくれているのでしょう。嬉しい限りです。
あ。因みに武道館は音漏れが凄くて、中に入らなくても演奏だけは聴けたりとか。
かのLED ZEPPELINのときなんか、外で聞いていたファンがドラム・ボンゾのバスドラ一発でドンガラガッシャン的にぶっ飛んだみたい。直に聞いてみたかったな……。
でも音響そのものは「音がグルグル回って」最悪なため演奏する側には辛いようで。今でこそ音響技術が上がっていますからある程度は外音・内音のコントロールが効くようですが、ずっと前は酷かったみたい。あの構造だとそうだろうなぁ。
十数人が前に座るだけで演奏の音が吸収されて、自分の音が聞こえなくなるという最悪な音響を知る身としては、グルグル回る音はまさに災難だろうなぁと思いマスです。はい。
え? そんときモニターとか使わなかったのかって? って? そんなもんあるか! 十数人やぞ! PAすらないんじゃ! ボゲェ(影山)! 百五十人以上入った披露宴会場の方が内音がマシだったわ! 外音は知らん!
ええ。……十数名レベル、狭いから行けると思った儂らが悪いんですけんど。
あ。某所のクラブは低音が効き過ぎて内蔵がひっくり返るかと思いました。
おっと、話題がどんどんそれていく。
でもついでにウチの機材を見てみますと、日本製が多……あれ?
えっと。日本製はこれ。
他には、ブラジル製、アメリカ製、イギリス製……あれぇ?
思ったより日本製が少ないぞ?
ウチはワールドワイドな機材だらけ、っちゅうことで。
儂、いつかはあそこ(武道館)で演るんだ。
何か演るかは……何が良いのか。うむ。何か演る。いまんとこそれだけ決めた。
考えてみればさー、私も一応何かを「メイド」する仕事をしているわけですよ。
言わば「メイド・イン・久田樹生」なものを送り出している、と。
作家・物書きであるので。
……って書いていたらどこからともなく「はははは! アンタが?」っていう声が聞こえてきて、視界の端では白いコビトさん達がラインダンスを踊りながら「さっかー、ものかきー、おまえごときがー?」と歌い出して困る。
一応、デビュー後、短編小説とか書いているのよ?
めっちゃマイナーだけど。
あのときのオーダーはホラーだったけど、全く違うの書いて「これはホラーです!」と押し切ったけどさ。
〈……うとこだぞ〉
何? コビトさん?
〈そういうとこだぞ。おまえがダメなところは〉
わわわわ、わかっとるわい! いいいい、言われんでもわかっとるわい!
えーっと。
これからもメイド・イン・久田樹生なものたちをご愛顧下さい。
よし。テーマに沿って綺麗に締めた。流石や、儂。
〈……うとこだぞ〉
は。
〈そういうことだぞ。お前が駄目なところは〉
ええー……。
〈大体、めいど なら 冥土とか冥途にせえや。一応そういうのも書いとるんやろ?〉
は。なんやコビトさん、饒舌になってますがな。
〈それをなんや、気取ってからに。メイド・イン? もうダメ。そういうとこがダメ〉
白いコビトさんが私を容赦なく責め苛む。ゴンゲレゲー。