夢中。
熱中して我を忘れるさま。
夢中になったことは、幾つかあります。
子供の頃から今に至るまで、いろいろなことに熱中しました。
まあ、だいたいその時の流行り物なんですけどね!
この辺り、まあわたくしって俗物だわと自覚する要因でもあります。
ではそれらは今も続いているか?
っていえば全くそんなことはなく。あっという間に飽きます。
倉庫にはその残滓がたっぷりも収納されておりますよね。とあるスポーツの道具とか、スケボーとか、諸々。
飽きっぽい俗物。オウ……。最悪じゃネェか。
でも、今の仕事〈作家・物書き〉の一部に繋がることにも夢中だったんですよ。
それは、怖い/不思議な話・興味のあることを聞き回ること。
そもそもね、私を因果な体質にしたのはどんな連中だったか、っちゅう話ですよ。
まあその辺りのエピソードはおいおい公開するとして(っていうか、どっかから本で出した報がいいかもしれない。それくらいいろいろあったので)。
例えば、親戚やそれ以外の大人に「ねぇ、なんかさー、ホントにあった不思議な話知ってるぅ?」って訊ねるわけですよ。
ここでのポイントは
・ホントにあった
・不思議な
の二点+大人に訊くことでしょう。
大人の方が行動範囲が広く、また、人生経験が豊富なため、自分と同年代の子供の話とも違う〈よりガツン!〉と来るものが耳に出来ることを本能で嗅ぎ分けていた、のかも知れません。
って、やなガキだね、全く。
実際、大人達の話は具体性に富んでいました。
いつ、どこで、だれが、なにが、どうした、という基本的な情報から、それに追随する噂や裏付け的な事柄までじっくりと聞き取れるのですから。
可能な限り聞き取ってもメモに取ることはなかったと思います。
あ。地図は描いて貰ったかも。
その地図や出てきた名前を元にして、出来る限り自分の足で調べに行くような子供でもありましたね。
○○さんチの裏手にある川には……。
集合住宅の北側にある小さな家には……。
どこそこのお墓から下る坂に下には……。
元○○に勤めていた人が亡くなった家には……。
とにかく、大人達が語った話の舞台をキチンと見る、という行動をしてたのですよ。
そして、第三者にも話を聞いたこともありました。
ホンマにやなガキだよ、救えないくらい。
こうして確かめた不思議な話の中でも、「これは!」と言う物は頭に残ります。
何故なら、話を数名から聞いて現地に足を運んでいる分、印象深いからです。
そしてそれを友人や大人達に教えるわけですが……。
いや、この辺り我ながら阿呆だなぁと思うのが、テレビやラジオなどのような話し方をしないかったことでしょう。
こう、なんてーんですか?
雰囲気出して、今から不思議で怖い話するぜ、的なのをやんないんです。
ポンポーンって話しちゃう。
これだけ調べ上げたことを「ゴリゴリに演出してでも人を怖がらせる、引き込む」のがある意味正解のはずなんですがね。
そんなことする知恵が、まるでない。備わっていない。
まあボンクラなガキでしたな。え? 今もお前の書く物・話すことはそうだって?
その通り過ぎて、ぐうの音も出ない。
あとね。
いろんなとこのおじいちゃんやおばあちゃんたち、資料館の職員の方々、他諸々の人たちから「その人だけが持っている知識」を聞くのも大好きでした。
「ここには○○っちゅう分限者がおったんや」とか「あそこの山の麓には遺跡があってね」とか「この木を切り出したときにはな」とか。
これは何処かで披露すると言うより、ただ自分が知りたかったからですよね。
自分がどんなにモノを知らないバカかを自覚するので、へこむことも多かったですけれど、それもまた必要なことだったように思います。
この「専門家が知り得る知識をお礼もなく図々しく訊いては、その度に自らの脳みそのダメっぷりを思い知る」ことは今も続いています。
でも、止められない。
それこそ、僧職・神職の方から博物館の学芸員氏、職人さん、河童さんが出る川の畔に住むおばあさん、他たくさんの人たち、誰にでも、何でも訊きます。
皆様お優しいので、いろいろ教えて下さいまして……。
えー、この場を借りてお礼を。いつもありがとうございます!
こんな風にいろいろやって来て、夢中になったことは数知れず。
幾つかは今も大好きで続けています。
その中でも、「人に話を聞く」「調べに行く」は今、とても役立っている、かもしんない。
聞き回る = 取材する、っていう作家・物書きにとって必要な行動を幼少時から刷り込まれたのは実に幸運だったと思います。
ホーント、生きていると何が役に立つか分かんないね! でしょ?
え? 今、夢中なものって?
うーん。いろいろあるんですよ。お。またか、って言わないで。
あ。ここ数ヶ月ハマっていることがありますよ!
〈仕事机の椅子に座って、両腕を脱力し、だらりと下げる。そして電源を入れないモニターを見る。んだけど、視点は画面に合わさず、全体をボンヤリ見たまま何にもしない〉
気がつくと一時間くらいあっという間に過ぎます。
たまに黒歴史を思い出して「うぁあああぉぉぉぉおおおお!」と呻くとかなり楽しい。
暇をもてあましている人におススメ!
夢中になれます、きっと。