マジック。

 奇術。手品。魔法・妖術を指す。

 

 なんて言いつつ。

 マジックって言葉、他にもいろいろな場面で用いられますよね。

 マジックが点灯! とか。

 他、「限られた時間にのみ表れる素敵な景色が見られるとき」を指すときにも使います。

 マジックアワー、マジックタイム、という風に。

 夜明けとか日暮れの一瞬に訪れる、様々な色と光の世界です。

 まさにマジックで特別な時間。

 取材先で良く遭遇しますが、どれも特別な風景ですよね。

 暗い青が解ける空の向こう、山の端から覗き始める白き輝き。

 菫色と朱色が曖昧に溶け合う広い空にたなびく、黄金の雲。

 どれも目に焼き付いていて、忘れられません。

 

 また、マジックには「不思議な力がある」等を意味する事もあります。

 個人的には「魔法のような素晴らしい何か」を現すときによく聞くような気がします。

「今、マジックが起こった」と。

 そうですね。例えば、某海外のバンドのライブを見たときです。

 場内を流れる音楽が止み、突然暗転。

 各楽器の前にバンドメンバーが位置取るのがシルエットで見えて。

 そして微かなカウントが聞こえて、そして――。

 いや、あれは凄かった。

 まず楽曲の素晴らしさ。ライブ映えするアルバム収録曲の魅力を再発見しました。

 が、何より凄まじいのは「レコーディング音源以上の魅力を付加しつつ、更にライブならではのアレンジをスリリングに決めながらも、全編安定して聞かせるバンド」って部分ですねぇ。

 恐ろしいのは、それらを笑顔で、ステージを駆け巡りながらこなしちゃう辺り。

 度肝を抜かれるとはこのこと。

 オーディオに凝ってレコードやCDをよい音響で聞く、とは全く意味が違うサウンドです。

 まさに別次元の音楽体験でした。

 一緒に行った人たちは「マジックが起こっていた……」と呻いていましたねぇ。

 それくらいの感動があったのです。

 あと、某ジャズバンドやらジャズロックバンド、プログレバンドやら、ほんとに顎が外れそうなライブをかましてくれますので……ぐえええ、マジック!

 

 また「奇跡」を現すときにもマジックを使うことがあります。

人と人との出会いもマジックです。

 生まれてから、様々な人々と顔を合わせてきました。

 考えてみれば、どれも僥倖だったように思います。

 もし、この人たちに出会わなかったら今の自分はないでしょう。

 また、会いたいと思った人に会えたこともまた、マジックです。

 それこそ、自分の人生で交わることがない、と憧れていた人とか。

 これらの出会いが偶然なのか、必然なのかは分かりません。

 でも、なんだかんだで、やはりそこにはマジックが働いたように思います。

 

 このように、生きていると日常でもマジックは沢山あります。

 例えば、雨が降る朝、遠くに煙る建物の姿に感情が動いたり。

 或いは、良く晴れた暑い日に飲んだ、冷たい水の味が心に染みいったり。

 または、深夜、誰も歩いていない歩道の上から見上げた空に安堵したり。

 そして、日々出会った人たちに大きな刺激を受けていったり。

 

 生きていると沢山のマジックに出会います。

 これからももっとマジカルな何かに出会えると良いなぁと思いつつ、締め。