治癒。

 病気や怪我が治ること。

 はい。

 昨今、病に対する〈治癒〉や〈疫病避け〉などが話題となっております。

 そこに熊本県の妖怪「アマビエ」さんが希望の星の如くフューチャーされました。

〈疫病退散に効く!〉という名目です。

 イラスト、お菓子やパン、ぬいぐるみ、着ぐるみなどなど、どんどん広がっています。

 

 とはいえ!

 他にも疫病退散にご利益のあるご神仏もいらっしゃるわけですから、アマビエさん以外もチェックしてみたらどうかなぁと思った次第。

 牛頭天王(お名前の通り、牛の角と頭を持った神。薬師如来を本地〈正体・本来の姿〉としている。素戔嗚尊〈スサノオノミコト〉や蘇民将来の武塔神らと同一の存在とも)さんは、厄除け・疫避け・病気快癒とかご利益が。

 また、天台宗 延暦寺中興の祖である僧・良源(元三大師)さんの〈角大師〉さんとか。

 この角大師、良源さんが「夜叉の姿をして疫病を追っ払った」伝説が御座います。

 角大師のお札を御覧になった方も多くいらっしゃると思いますが、確かに夜叉や悪魔のようなイメージのお姿が刷り込まれております。

 ただし!

 人事を尽くして天命を待つ、が基本です。

 まず、私たちが出来ることを行い、後は天(ご神仏)に任せる、祈る、拝む、が大切なことだと思います。もちろん、そのときは他者に対する思いやりを忘れずに。

 

 ってことで、アマビエさんに話を戻します。

 アマビエさんは、正体があやふや、というか、名前すら間違えて記載されて定着したんじゃないの? という妖怪です。

 アマビコ が アマビエ に誤記されたとかなんとか。

 これを知ったとき、何となく妄想してしまったんですよ。

 ちょっとその妄想におつきあい下さい。

 

 さて、アマビエさんは何処から来たのか。

 江戸時代後期 熊本県の妖怪とありますが、元になった存在があるのではないでしょうか?

 熊本県からほど近い福岡県 宗像市 北九州市 門司には〈海御前〉の伝承が残ります。

 読み方は うみごぜん と 「あまごぜ」。

 平家が壇ノ浦で海へ投身した後、武将・平教経の奥方(或いは母親)が福岡まで流れ着き、河童に変じた、と言われる存在で、河童さんの女親分になったとか()ビジュアル的にも髪の長いアマビエさんと被る……かも知れません。

 ここでいう「あま」は海や尼からなのでしょう。

 壇ノ浦の合戦の時代は平安時代ですから、アマビエより前の誕生になります。

 この海御前さんのお墓がある神社さんは「大積天疫神社」。

 祭神は素戔嗚尊さんとその妻である奇稲田姫さんです。

 ……あれ? 素戔嗚尊さんと言えば、疫病退散の神様ですね。

 更に水天宮さんでもあります。水天宮といえば、福岡県を総本社。更に河童さんとも関係が深い神社さんです。

 なら、アマビエさんはアマゴゼさんが転じたもの?

 

 いえいえ。もう少し妄想してみましょう。

 アマビエさんはアマビコであった、は前述しました。

 ビコはヒコで、男性を表すことが多いですよね。

 実は「アマテルカミ」という神様の話があります。

 太陽神で男性だった、とか。

 これは「ヲシテ文献」「ホツマツタヱ」「ミカサフミ」という古史古伝に出ている話です。偽書である、と言われているものですね。

 この「アマテル」ですが「アマヒ(太陽・天の日)から分けられたヒト、という意味のようです。太陽の化身みたいなものでしょうか。

 アマヒ。アマヒコ。うーん。

 えっと。少し思い出してみましょう。

 アマビエさんは、「毎夜、海中に光る物体が出没していたため、役人が赴いたところ、それが姿を現した」という部分を。

 夜の海。光る。姿を現す。なんとなく、朝日を思わせます。

 だとすれば、アマビエ = アマビコ は太陽神の眷属であった……?

 ちょっと飛躍した妄想ですねぇ。

 しかし、アマビエさんは三本足だとか。

 三本足と言えば、ヤタガラスさん。

 ヤタガラスさんと言えば、太陽の化身。

 そして賀茂建角身命さんでもあります。

 賀茂建角身命さんは天日鷲神とも同一とか。

 天日鷲神は天照大神の岩戸隠れで暗闇となった世界に現れた「世の中を明るくする吉祥を表す鳥」、天日鷲命……。

 天日鷲の読み方は〈あめのひわし〉。天日で あめのひ?

 

 さあ、ここまで書いてきて、アマビエさんの正体に、更に妄想爆発です。

 アマビエさんの正体、あなたはどう妄想しますか?