いきなり。突然。物事が急に起こる様。
世の中、急に起こった物事は、良きにつけ悪しきにつけ様々な衝撃を与えます。
多分、これを読んでいる人たちも、振り返ってみれば幾つか「いきなりな出来事」覚えがあるのではないでしょうか。
そんな枕からあれですが、今回「いきなり」というタイトルに決めました。
何故、いきなりにしたのか。いやね、いかす、とか、いりこ、とか、いい塩梅とかいろいろ考えたのですが、テレビを見ていたら「いきなり」って出てきたので、「これだ」と。安直ですが、こんなもんです。私の思考回路は。
で、テーマを決めてから直後からずっと頭に浮かんでいる懐かしい番組の名前があります。
それは「突然ガバチョ!」。
毎日放送で放送されていた、バラエティ番組です。
いや、あの、何故「いきなりで、突然ガバチョ! と思い出すのだ?」って疑問、湧きますよね? えっと、思い出したとき番組名を「いきなりガバチョ!」だと間違えておりまして。いきなりというテーマならこの番組について書こうと思い至り、ネットで調べたら「突然ガバチョ!」だったのですよ。
だから正確に言うと「いきなりというタイトルテーマで思い出した番組名は、いきなりガバチョ! であったが実は誤りで、突然ガバチョ! が正式名称だった」っていう。
回りくどいわ!
でも! いきなりじゃなかったけれども! 書きます。突然ガバチョ!
さてさて、この「突然ガバチョ!」ですが、基本的に公開バラエティ番組です。
観客を巻き込むタイプのものでしたが、その中でも大好きなコーナーがありました。
【テレビにらめっこ】と言います。
舞台からの「テレビにらめっこ!」コールの後、シンと静まりかえった観覧席。
コール以後は許しが出るまでクスリとも笑ってはいけません。
そこでおもむろに視聴者投稿のギャグが書かれたはがきを演者が読みあげます。
耐えきれず笑った観客は〈指摘マン(笑った事を指摘する人)〉に指摘されると、いきなりマッチョに抱え上げられ、場外へ強制退場!
そして一度「笑っちゃ駄目ルール」が解除され、会場は笑い声に包まれます。
少しの間を置いて、再び「テレビにらめっこ!」……というものです。
いやね、これがものすごく面白かった!
よく言われますが、人間って、笑っちゃ駄目なときこそ、笑っちゃうんですよね。
そんなシチュエーションに加え、視聴者投稿ギャグ、演者の間の取り方、読み上げ方などを立て続けにお見舞いしてくるわけですから、笑っちゃうってものですよ。
おまけに〈指摘マン〉もバリエーション豊かでした。
いろいろなキャラクターがいましたが、中でも「ワシもそう思う博士」が大好きだったなぁ……。この博士、複数いて、どれも着ぐるみなのですが、笑った人に向かって「わしもそーおもう」「わしもそーおもう」と甲高い声で指摘しながら迫ってきます。
いや、何故かこれがツボでして、ネ!
それにほら、笑ったあとのペナルティもインパクトがありました。少し吹き出しただけで、マッチョたちに連れ去られるんですよ? 非日常ここに極まるですよ。
更にいえば、この「笑っちゃ駄目」ルールは演者やスタッフにも及びます。
ディレクターだろうが演者だろうがなんだろうが、笑えば退場。
情け容赦ないシステムなのです。
でも、こんなに笑ってしまう状況なのに、全く笑えない視聴者投稿があったりもしました。もういたたまれないほど、会場が水を打ったようにシーンって。
あれはあれでレアで凄かったなぁ……。
で。もし私、トークショウやるなら、この【テレビにらめっこ】がやりたいのです。
ライブなので、【ライブにらめっこ!】とか。
眩い壇上から私がね、おもむろに「ライブにらめっこ!」と叫ぶわけです。
呼応するようにシンと静まりかえる薄暗い会場。
固唾を呑んで(どんなギャグが来るんだ!?)と身構えた観客の皆様。
そこにお見舞いされる私の渾身のギャグ。
その声は客席の凹凸にすっ、と飲み込まれ、再び静寂がやって来る。
聞こえるのは微かな息遣い。スピーカーからのノイズ。
が、唐突に会場遙か後方から「ふひゅっ」という漏れ出す声が。
「わしも、そーおもう!」
意気揚々と指摘する私。そこへ当たるスポットライト。
激しいSEと共に後方扉が激しく押し開かれ、光が差し込む! そこへ飛び込んで来る、浅黒く、背中に冷蔵庫を背負ったようなつややかなマッチョたち。
彼らに連れ去られる観客を尻目に、会場は(もう笑ってもいいんだ)と安堵に包まれていく。
が、しかし、私はそれを許さないのです。
すかさず「ライブにらめっこ!」
おい。まて。これ、どんな状況だ?
そもそも何のトークショウだ?
〈いきなり〉そんな妄想語られたって、だ、読者は置いてけぼりだぞ?
よし。いきなりというワードを出せました。
今回はここまで!