THAKの久田樹生です。

 今回、学校図書向けに「47都道府県 本当にあった怖い話」を上梓する運びとなりました。

  参加メンバーについては先日、別項にてお知らせしておりますが、「専門家で大人の先輩たちが、子供たちに語りかける」というものがメインコンセプトとなっています。

 もちろんそこには「不思議で怖い話」がベースとして存在します。

 参加メンバー全員が見聞きしたことを、専門的な目を持って書く・描く。

 だからこそ、様々内容になり、子供たちの興味を引くものになっているはずです。

 

 また、私個人の考えで恐縮ですが、〈小学生から大人まで読める〉ものとしてチューニングしました。

 もちろん文体は中学年の子供たちに理解できるよう、整えてあります。

 が、内容や雰囲気に関して、どちらかというそこから背伸びしたような――硬質な感触のものへ舵を切りました。

 ここにはある狙いがあります。

 

 ひとつは「本当の意味での、異年齢集団内で使える本」にすること。

 異年齢集団とは「異なる年齢の子供たちが揃った集団」を指します。

 異なる年齢の子供たちが行動を共にすることで、そこはコミュニケーション能力やリーダーシップ能力が育っていく場となるのです。

 ところが今は核家族化が進んだことと、異なる年齢の子供たちが一緒に遊ぶことは少なくなりました。もちろんそこには少子化も関係してきます。

 とはいえ、今も様々な年齢の子供たちが集う場がなくなったわけではありません。

 そんな場面で、この「47都道府県 本当にあった怖い話」が活躍するはずです。

 年齢が違う子供たちが共通の話題、遊びのひとつとして利用できる本なのですから。

 子供たちが怖い話を語り合う場面を見たことはございませんか?

 彼らは本当に不思議や怖い話を読み、教えあうことが大好きなのです。

 そのための「ネタ本」として利用できますし、上の学年の子供が下の学年の子供に読み聞かせするのにも使えます。もちろん逆に年下から年上に、本書のことを質問することも想定しています。

 その中で子供たちそれぞれが、自分なりの活用法を見つけるはずです。

 そして読書の楽しみも発見するでしょう。

 

 そしてもうひとつは「正しくない意味での、異年齢集団の架け橋」にすることです。

 本書は、大人から子供、子供から大人の間で自然にコミュニケーションを取るツールとしての役割を持たせています。

 大人と子供、全く違う年齢の間で「不思議や怖い話」という話題で話し合える状況を作り出すのが狙いです。

 もちろん、この本を読んだことで、子供たちが他県に住む祖父母へ連絡(メールや電話、或いは手紙)を送るきっかけにもなりますし、学校や図書館などにいる大人たちへの「話を訊く」ための一助となることでしょう。

 

 加えて、本書には「実用書の側面」を持たせています。

 この実用書の意味ですが、多岐に渡っています。

 前段に書いた「二つの異年齢集団」に関することも含んでいますが、一言で「ここが実用だ」と言えません。

 逆に、様々なパターンの実用が込められている、とも言えます。

 何故、実用書の要素を足したのか。

 近年、学校教育と家庭内教育が姿を変えてきています。

 また、子供たちを取り巻く環境も思うより早く変化しています。

 そこで〈体験・体感〉が必要となるのです。

 この体験・体感において、本書が果たす役割を考え、実用部分を含めた構成を行いました。

 

 もし近隣の図書館や、子供たちが通う学校に配本されたのなら、一度手に取り、内容を確認してみて下さい。

 百聞は一見にしかず、ですので……。

 

 沢山の子供たちと、大人たちの手と目に触れますよう、切に願います。

 THAK 久田樹生