どっこいしょ ―― ベイジ解放戦

 

 ファイブスター物語 連載再開!

 そして怒濤の永野護祭りが始まります。Fool For The City(12/24になってた。原盤からゲートキーパーズの左右が変わったのは視点変更なのか。それとも右左の意味を変えたのか)、ムック、そして来年の単行本(チラ見せ表紙)、そんでデザイン展。

 いやはや、2026も怒濤の展開ですね。

 

 怒濤と言えば、再開後の本編。

 ほのぼのモードに見せかけてかなりの怒濤の展開です(個人的には)。

 そんな感じに戯れ言妄想感想大会開始。

 

 

 

ヨーン君は弄られる。

 

 ヨーン君は弄られつつ、大物たちに褒められる展開。

 アイオ・レーンやジョルジュ・スパンタウンゼン(イオタ宇宙騎士団2代目団長・ワックストラックスのマスター)とかね。

 そしてフィルモア元老院・茄里からの「弟子」話。

 武道や武術だとメインの師がいて、関係者からいろいろ他にも学ぶ、なんてことがあります。(未だルーマー王女ということになっている)愛謝的には「そのメインの師なのだよ、私は!」という感じっぽい。「あのデコースに勝ったスゲエ騎士のヨーンは儂が育てた!」ってことなんでしょう。

 が! ヨーンを育て上げたのはエストなのです……。

 バーシャ=エストから学んだ後、調子こいていたらデコやんに負けた。からの放浪~実戦こそ師~学生生活、愛謝に拾われ、ですからね。

 ヨーン君の師はエストであり、デコやんが影の師であり、そして愛謝たち女性陣やミラージュの面々に更なる教えを請うた感じ。

 結果:大体女性に育てられた男・ヨーン ってことでひとつ。

 

 そしてヨーン君がデコースとの決闘で使った「無手からの燕返し」の燕返し部分は打ち上げ掌底だ! との説明から愛謝が「あれはどっこいしょ突き」発言も出てきました。女性騎士を中心に盛り上がりまくり、「どっこいカウンター(!)」として星団剣技に登録されてしまうと言う一連の流れは流石です。はぁー、どっこいしょー、どっこいしょー。

 

 で。

 どっこいしょ突きがどっこいカウンターになる、というのは「掌底打ち上げ=どっこいしょ突き」で「掌底打ち上げ+カウンター突き=どっこいカウンター」なのでしょう。どう見てもアッパーやスマッシュじゃないですし、予備動作から考えても〈捌いて打つ〉というより先読みで置いておくような感じ? 後の先っぽい技だし……あれ? 愛謝がヨーン君にぶちかまして奥歯折ったのって、打ち下ろし気味カウンターじゃなかった? 身長差あるときだったし。となると打ち下ろしだろうが打ち上げだろうが水平方向だろうが「カウンター掌底=どっこいしょ突き」ってこと? 

 因みに人体のある部位に対し打ち上げは……ってこの辺りで。

 

 しかしマドラの紹介とか、男の娘(誰だ。ニュー? マイティシリーズのヒトエフタエあるし。あ。豆大福&足首好きのアイツも雷丸で出てきたりして。あとジャコーの賽星も加わりそろい踏み……まではいかないかなあ?)とか気になる。

 

 

ガマッシャーンのナオ・リンドー。

 

 ナオ・リンドーの中身はアレですが。

 彼自身、長期の視点を持って立ち振る舞いをしていたことがこれで分かります。単なる軍師というより、もっと広い範囲を鳥瞰しているような感じかな?

 そして、戦争が収束へ向けて動き出しました。まさに怒濤の展開。……ナオ、大丈夫かしら? パートナーが令令謝つーのもね、気になるところ。

 

 クラーケンベールも大局を見ている――多分、ワスチャとの出会いで彼もまた変わり始めた。そしてダイ・グの生き様も無関係ではない――王です。この先、どんな未来が待っていても彼らが選んだ道は後の人々へ繋がります。ダイ・グが撒いた花の種をワスチャという鎹が繋ぎ、次代の人間達が歴史を作る。

 大団円にはならない険しい道のりは、カラミティ星のことやこれから起こり得る〈何か〉に対することなのでしょう。それが人の世での茨の道であり、また、与り知らぬ神との対峙だとしても。

 

 さて、ここに来ていない、或いは姿を見せていない面々で〈暗躍組〉がいるはずなので、ソイツらがどんな動きをしているのかが気になります。

 

 そしてこれは「魔導大戦」ですよ。

 バッハトマのブラックスリー、その残りの二人が「騎士以外の力も用いて」で蹂躙を始める可能性が高いです。騎士は制御されますし、GTMの装甲も意味がない攻撃をしてきますしね。

 更に神々への抵抗が目的であるなら、何らかの手を打っているはず。

 なんだかね、バッハトマの動向があっけなさ過ぎるんですよ。

 あの判断が速いバギィだからこそ投降・無血開城への流れを作ったのか、とも思います。が、それすら何らかの命令で隠れた狙いがある可能性が。

 だって「ノウランでバギィ投降」って伝聞でしかない上、「軍法会議物」で「次の仕官に響く」という振りが気になりませんか?

 バギィはデコースの信頼も厚い(それこそジィッドより)人物です。何かの密命を受けていて、突然反旗を翻す展開も考えられます。それに、ボスやんたちがトップですからね。操り人形化していて、捨て駒とか……改造とか……。怖ッ。

 

 バッハトマは最終的に天照たち〈神〉を引きずり出したら勝ちという思考で動いているような気もします。特にボスやん。ビューティー・ペール周りもいろいろ仕込んであるでしょうし。娘のメルもね。そしてビューティー・ペールは戦火を広げる黒幕の役目もアリマスので。

 

 ……そう言えばこれからの魔導大戦でもかなりの人が亡くなるとか。

 人気のキャラクターだとしても、容赦なく。

 だとすれば――。

 

 

ミス・マドラ、単騎でぶちかます。

 

 ええと。

 ミス・マドラが城内へ突っ込んで、人質は何とかするぜ!

 ……なるんかいな? 不安しかない。

 戦闘力で言えばデコピン一発でこの時代の騎士(!)程度ならぶち殺せてしまうであろうミス・マドラですから、殺さず無力化しながらってのも大変そう。

 何らかの意図を持ってエフィー(みつこ)&ベルクトを伴いますが……。

 みつこ曰く「攪乱用の秘密兵器」アリとか何とか。御菓子かしらと直感的に思いましたが、どうなんだ? ろくでもないものらしいから、〈FSS的に人道にもとるような酷い〉もんだろうなあ。

 

 問題は木刀を持っていかなかったこと。

 リーチの差で負ける、や、助けられない展開はないよね?

 ……懐園剣とか別の武器が呼び出されるパターンもあり得るか。

 

 そんでマキシが素直に。

 剣聖を貰える約束のせいか、それともマドラへの信頼か。

 でね、ヒトエフタエの中にいる〈マキシの表情〉が分からないの。

 コクピット内でニタリとして「わかった! お母さんをお願いマドラ!(まあ、なんかやらかしたるぜぇ)」のような返事だけ良いパターンかも知れないし。ほら、これも子供っぽいというかね。これ、絶対なんかやらかす前振りですよ。唐突にGTM降りて突進とか、GTMで人も神も真っ二つ~の無差別大暴れとか……。

 そんで「魔導大戦でヒトエフタエ1号機大破!」は約束されているからねぇ。

 

 妄想ですが「背徳のジィッド……ではなく、アララギ・ハイトを触媒にして一瞬戻ってきたカイエンが乗ったデムザンバラに対し、直感的に〈アイツはカイエン!〉と察したマキシが暴走。周囲に被害を与えまくり+マザーズを殺してしまう。暴走を止めるため、デムザンバラがヒトエフタエを破壊」からの44分間の奇跡かもなー、と。もちろんデムザンバラにはアウクソーが乗っている……かな。

 

 44分間の奇跡のトリガーはアウクソーだと思うんですよね。

 彼女は天照から「おまじない」を聞いていますから。

 その瞬間、何が起こるのか。

 超弩級未発表デザインのなんかが出てきてジャジャジャジャーン!

 なんて生やさしいもんじゃないかも知れない。

 

 

 

二日間の奇跡(多分、奇跡じゃない)

 

 背徳のジィッドが何やらやらかして〈ミースと三条を拘束〉しつつ、城の占拠を続けております。二日間。

 アウクソーもいるはずですが、何か事が起こってミースたちは城内へ囚われたはずです。その辺りの説明が次回語られるような気がします。

 それ含めてバッハトマの策略でジィッドは降伏もせずにこんな行動を取っているのかしらん? 背徳の名に惑わされずに想像してみるとねぇ。バギィたちの行動含め、この先の謀に繋がるのだろうか。もちろん、ジィッド含めボスやんとビューティー・ペールが何かの手を下していることも想像に難くありません。

 

 しかし三条はボコられて手錠(騎士の力を封じるパラライズ機能つき)まで掛けられています。不意打ちか、交換条件で無抵抗を強要された結果か、ボスやんか何かの攻撃せいかなあ? ジィッド程度なら勝てるでしょうし。大門がいないのは隔離?

 ミース自身は落ち着き払ってジィッドを見詰めています。

 彼女がこんな態度を取ることが何かあったんでしょうね。

 あとアウクソーがいないのはデムザンバラに搭載されてしまったからか。AF・ニナリスはその場にいるのですが……。

 近くにアララギ・ハイトもブルって立っていますから、彼が「甘い言葉で騙された」結果、こんな事態を招いたのではないだろーか。

 

 ミス・マドラは彼らを殺さないでしょうけれど、他の人間が手を下すんだろうなという気がしないでもない。

 

 そんでジィッドの「背徳」は44分間の奇跡でも星団史から消えないのか。

 怒らしちゃいけない相手を怒らせたから、なのかね。

 しかしジィッドに関して徹底的に小物の悪役然とした描写がされています。でもジィッド当人のことを考えるとこの小物ムーブもおかしくないんですよ。

「人は立場で変わる。良い方にも、悪い方にも」ですから。

 ジィッドは、後者の「悪い方」に引っ張られました。

 騎士団長・デコースから剣聖のデムザンバラを与えられたとき、彼は「権威と権力」の一部を手にしましたが、ここから自意識が暴走していきます。

 デコースから信頼の厚いバギィに対しても下に見始めました。更に自分の実力のなさの理由をニナリスに押しつけ、更に剣聖のアウクソーがあれば、と勘違いも加わります。オメェ、針の穴を通すようなピーキーチューニングのGTMコントロールできへん程度の騎士やんけ! ということにも自ら気付かず。

 そしてデコースですらいつか……なんて大それたことも考え始めるのです。

 そのデコースが亡き今、ジィッドの肥大した自尊心は何処へ向かっているのか。

 

 このように「権威と権力を得たが為に豹変する」人間は少なからずいます。

 そんな相手でも対外的に見れば大物や好ましい人間と思われることも多々あります。が、大体に置いて本質は小物というか、何と言うか。見る目を持った人から即看破されちゃうタイプ。それでも更に勘違いして大物ぶったりしてね。

 ジィッドに関して言えば上記に加え「自分だけが可愛くなってしまった、小さな普通の人間」という表現を重ねられたキャラクターだと感じています。

 だからこそ単なる悪党、悪役として配置しただけではないはず。

 彼の最後がどう描かれるか、楽しみです。

 

 

 

護’Sギター&ベースを出せば良いのに。

 

 永野護センセ関連は様々なアイテムが出てきます。

 が! 何故かバイクや車、楽器はない。皆無。

 あれだけ好きな物だから出さないのか。

 

 バイクや車は置いておいて、楽器は出していい気もするんですよ。

 永野護シグネチャーギター&ベース。

 あとアンプとペダル。拘りが詰まったヤツを。

 国内の小回りが効く楽器メーカーとコラボレーションしたら行けるはず。

 でもそんな話が出ない。いや、来ているのかも知れないけれど、そんなアナウンスはこれまで耳にしたことがない。

「完成されたデザインを弄るわけあるか、ボケェ!」だからかも知れないけれど。

 

 なら、FFTCのビートリズマーやメロダー辺りを実際に使える楽器として再構築して出しちゃうとか。いや、永野センセなのであのまんまでも問題なく使えるデザインだし、そのままいっちゃえ。

 勿論、アンプに繋いで大音量! ではなくライン出力しか出来ないシンセ音源のトリガー仕様で。あ。勿論今までも単なるトリガー的な楽器はありましたから、その延長線上になるのかもね。ちゅうかぶっちゃけある意味「ギタープロセッサ」が同じような使い方になる、のか?

 出たらガイーンからの「俺のリズマーが!」とか「んぺんぺ、すぺっぺ!」をやっちゃうだろうなあ。いや、やるね。きっとやる。

 

 ちゅうことで思いつくままに書きました。

 他に気付いたことがあったら適宜追記する……かも。

 

 

 

 

「HX EDIT はモバイル的に活用出来るか?」の話。

 

 仕事柄、ノートPCを持ち歩くことが多いです。

 短い文章を打つ、原稿を書く、写真などを一旦取り込む。資料メモや写真を閲覧する、メールチェックする、文章/計算ソフトを使う、などで大活躍……なのですが、それは「持ち歩いているとき」に限ります。

 基本取材やら現地調査やらだと手ぶらが基本なのです。

 両手を空けて身軽にしておかないと、危険な場面が沢山ありますからね。高所から落ちかけたり、川の早い流れに持って行かれそうになったり、突っ込んできた暴走自動車に跳ねられかけたり……とかとかとかとか。そんなとき自分の身を守るため、荷物は持たない、例えそれがバックパックやボディバックでコンパクトなものでもだッ! カメラとかスマホも持ちたくないぞッ! 落として壊すから! でも撮影しなくちゃいけないときは仕方なく持つぞッ!

 しかしだ。ルポなら分かるんだけど、何故小説を書いているときの取材で「高所から落ちかけたり、川に流されかけたり、自動車に跳ねられかけたり」するのか。謎。

 まあそれでも全部回避してしまう辺り流石自分だ、と自画自賛。

 

 

 そんなわたくしですから、持ち出し用のノートPCは小型軽量なものを選びます。まあ渋々だけれど。本当はそれすら重いわ! と思いますし。だからディスクドライブなどはなし。HDDだと衝撃に弱いのでSSDに(いや、マジでノートPC落としましたが、SSDのお陰か壊れませんでした)。液晶やアプリ/ソフトは必要最低限でオゲ! だってそんなにスペック必要なことに使わないしー。

 

 しかしですよ。

 実はこのお仕事用ノートPCって、Line6 Helix/HX Stomp、BOSS KATANA-Head MK2  のTONE STUDIOとも相性良いんですよ。

 小さくて薄いから、取り回しが良い=リハスタとかにギタープロセッサと併せて持ちこんで、編集ソフト・HX EDITを使うと現場での細かい音作りなどにイージーオペレーションで活用出来るので。自分んちでプリセットを作り込んでから保存、本体だけ持って行ってあとは筐体側で調整するのも簡単なのですけれどね。いや、基本そっちなんですが、リネームや微調整、深い階層にある機能はPCのほうで弄るのが簡単です。色々な情報を表示させられて処理しやすいですし。

 

 ってことで、今回はHX EDITについて少しだけ書いてみます。

 

 

こんなことが簡単。

 

 まずはインプット関連。

 

 

 このようにインプット部分の各種設定に即アクセスできます。

 ゲートのオンオフ、スレッショルド、ディケイなどサクサクと弄くれます。

 あ。プリセットネームは間違えていて、後から修正しました。

 

 今後はアウトプット。

 

 シンプルですが、こちらもいろいろ設定できます。

 

 

 各ブロック関連。

 

 

 

 

 選ぶのも、各種パラメータを変えるのも、フットスイッチやスナップショット割り当てもサッと出来ちゃいます。

 この「いろいろなところで右クリック」やショートカットを活用していくと、各種機能へのアクセス/設定が楽になりますので要チェック。

 例えば「ワンプリセットでクリーンでジャズ、クランチでロック、歪みでハードロックからメタル」をスナップショットで切り替える設定とかするときに便利ですよ。

 あ。そうそう、

 

 

 スナップショットの設定やリネーム関連もPCなら楽々です。

 このように選択して、あとはキーで打つだけですから。

 筐体側でやると結構手間なんですよね……。

 

 

 今度はコマンドセンターとグローバルEQ。

 

 

 

 筐体でも調整可能な部分ですが、こうして画面上で把握するといいですね。

 

 あと、各種ブロックをグラフィカルに表示も可能。

 

 

 

 

 元ネタが分からなくても、このグラフィカルなアイコンで理解出来ま……あ。Line6オリジナルだと少々分かんないなあ、ってのがありますけれども。それはそれ。大体こんな機能があるじゃろう、って予想は可能。

 

 あと、プリセットの全ブロックを右クリック選択で一気に削除出来ます。

 ルーティング表示部分のライン上やインプット、アウトプット、ブロックの上で右クリックするとこのようなコマンドが出てきます(あと一部ショートカットとかもこれで分かりますね。ユーザープリセットリストでも同じショートカットが使えます。プリセット全体をコピーは〈Ctlr+C〉で〈Ctlr+V〉でペーストです)。

 

 

 下画像になったら、イエスかノー。

 当然イエスで全消しです。

 

 

 下のようにHX Stompの最大ブロックの8つを並べていても、即全消しできます。

 

 

 ガーッとブロック置いて、音を出しながら微調整していて「ん?」ってなった場合、全消しして最初からプリセット組み直した方が早いことがあるので便利、かも。

 

 

 

 こういう感じにノートPC+HX Stompを使うと、現場で素早くプリセットを「組みやすく」なります。と書いていて思ったけれど、筐体だけでも位置からプリセットを組める上、サクサクなのでPCまで要らんちゃー、要らん。

 という全てを台無しにする言葉で締め。

 

 

 

 

 

blogを書けと言われたので「大穴牟遅神」の話。

 

 「ばけばけ」効果で島根県を訪ねる方も増えたと思います。

 ということで今回も出雲の神様の話です。

 

 大穴牟遅神。

 おおあなむぢのかみ、と読みます。

 大国主神の別名ですね。

 

 古事記で初登場した際、兄神たち・八十神に付き従い登場したときのお名前です。

 この時、兄神たちから荷物を押しつけられた大穴牟遅神は大きな袋を背負っていました。この大きな袋を持った姿から、同じく大きな袋を持っている〈大黒様(大黒天)〉に似ているとされて同じ存在にされたという説がありますし、建速須佐之男命から命じられて名乗りだした「大国主神」の大国が「だいこく」と読めるから習合したという話もあります。

 なので、大国主神が祀られている神社へ行くと、大黒様も同じくいらっしゃるケースが多々あるのです。そして童謡にも歌われるようになりました。

 

 しかし、初期の名前である「大穴牟遅神」。

 少しだけ深掘りしてみようと思います。

 

 

大穴牟遅神。

 

 大穴牟遅神。

 大は美称(褒めて呼ぶときに使う)で、牟遅はむち、貴であり尊称になります。

 問題は、穴。

 おおなむぢのかみ、なので「な」と読みますが、地を表すとも言います。

 ところが古語では大地のことを「なゐ(ない)」としており、単独の「な」だと少々地を表すには難しくなるようです。※因みに「なゐふる」で地震を表す古語になります。大地が振られる、振る、からのようです。

 では穴は何なのでしょうか?

 もうひとつの読み方「おおあなむぢのかみ」で「あな」であるなら、鉱山の穴、火山の火口などを示している説も提示されています。

 出雲の神話には「八岐大蛇」や「草薙剣」などで鉄が強く関係してきますので、この説はかなり説得力を持っている気がしますね。

 古代では製鉄できる=強大な武力を持つという意味があります。

 青銅剣や矛、鎧よりも鉄の剣や矛、鎧のほうが強力な武具になりますから。

 また鉄剣や鉄鏡による〈祭祀〉も重要でしたので、そう言った呪術面からしても鉄をふんだんに用いられるクニ、及びそのクニの支配者は強大な存在でした。

 だとすれば、大穴牟遅神は大国主神へなっていく前から首長であったということになります。これは出雲の勢力が拡大して行くにつれ、大穴牟遅神から大国主神になったというエピソードを表したものでしょう。

 

 因みに古代の鍛冶師は〈かぬち〉と称されていました。

 おおなむぢ……おおなむち……おおかぬち……大鍛冶師……。

 かぬちを統べる大いなるもの、とかそんな妄想。

 

 

しかし、大穴牟遅神。

 

 大穴牟遅神という名前を考えていくと、ふと考えることがあります。

 大国主神の別名全てが事蹟を表した諡号(貴人などに死後送られる名前。おくり名・諡)の一種ではないか、と思うのです。

 当然これらは自然現象を表す名前以外の神々にも言えることです。

 

 大穴牟遅神のような〈出雲地域の豪族、首長〉を美称・尊称込みで表現していると思われる場合、実名が別にあったのではないでしょうか?

 例えば、出雲を支配していた豪族・王族――仮に言えば、出雲族――などが持っていた名です。この豪族・王族は荒神谷遺跡/加茂岩倉遺跡に銅矛・銅剣・銅鐸を埋めた者たちであったのでしょう。後に国譲りをしていく一族でもありますが……。

 もしかしたら出雲の古い地名に名を残している可能性はあります。

 出雲は風土記がほぼ完本で残されていますから、そこから調べて見ると良いかもしれません。

 

 

 

何故、大穴牟遅神は大クニの主となったのか。

 

 大穴牟遅神が出雲の一地方の王であったと仮定します。

 八十神の兄神たちは出雲の別の豪族や王族で、ある種の血族であったのかも知れません。大穴牟遅神と八十神らは八上売比を娶る=八上売比の一族が持つ地域の支配権を得ることを目的として行動していた、と前提してみましょう。

 そうなると結果的に大穴牟遅神が八上売比を娶ったことで新たな支配域を得たと考えられます。この時点で大穴牟遅神はかなりの有力豪族・王族となったことは想像に難くありません。

 その後、建速須佐之男命の娘を娶ったことで大国主神となりました。

 要するに建速須佐之男命の後を継いで、出雲地域の殆どを統べる存在となったのでしょう(となると、建速須佐之男命は出雲地方の支配権を持っていた、とも考えられますがそれは別の機会に)。

 と同時に、大穴牟遅神が〈死と再生の先に大国主神になった〉ことにも大きな意味がある、そんな可能性も考えられます。例えば、大穴牟遅神の氏族が「代替わりしていく」ことを表している。或いは大穴牟遅神の氏族が合議制により首長を決めていく様を語っている、等でしょうか(もちろん他の仮説も成り立ちます。書いてないけれど。いろいろあるんですよね)。

 この辺りも興味深いところです。

 

 さて、大穴牟遅神が大国主神となったあとですが……。

 大国主神は日本海側の〈各地の豪族・王族と婚姻関係を結びながら〉支配地域を増やしていきますが、途中で出雲へ帰還します。

 これを持って、支配地域を増やすことを止めたと見るか、それとも支配権を失っていったことを表していると考えるかで大きく変わりますが……。

 この婚姻による支配地域の拡大は各地の巫女と祭祀を取り込みつつだったのかも知れません(男性は武力、女性は呪力で同等の地位であった可能性があります。これは各地の遺跡・遺構からも読み取ることが可能です)。

 

 この〈各地の巫女との婚姻〉こそ、大穴牟遅神が大いなるクニの王となる道筋、方法だったのかも知れません。そう。仮にそうだとした場合、クニの支配権を左右していたのは巫女=女性だった、と言っても過言ではないでしょう。

 王=男性、巫女=女性の二人で政を担っていたのなら当然でしょう。

 ※まあぶっちゃけると、今も昔も男なんて女性に護られてますからネ。

 

 大穴牟遅神の立身出世(?)はこうして行われた、のかも知れません。

 

 

 

大穴牟遅神の神社は。

 

 大穴牟遅神=「大国主神」ということで、大穴牟遅神が祀られている神社は基本的に大国主神が祀られている神社になります(少々乱暴ですが)。

 もちろん出雲大社が筆頭ですし、ご利益も大国主神に準ずるはずです。

 大国主神の別名は沢山あるのですが、あんまり難しく考えなくていいような気もしますが、上記のように名前が変わっていく過程ごとに何らかの意味があるのなら……なんて思ったりもします。

 

 が、ここ最近いろいろ調べ物をしている中で「?」が沢山浮かんでいるのですよね。いや、単なる妄想の延長線上ですけれども。

 それに関しては今回書きませんが、もしかしたら結構面白い内容かも知れません。

 やはり本にすべきなのかもなあ……などという感じです。

 

 皆様がお住みの地域にも大国主神・大穴牟遅神が祀られている神社さんが沢山あると思います。すっかり冷えてくる時期ですが、是非足を運んでみては如何でしょうか?

 のんびり散歩がてら、や、参拝後に美味しいもの食べる、などでもいいですよう。

 お参りの際は、今年一年のお礼。

 そして来年の自分の事もしっかりお参り! しましょう。

 一年の締めとしてお薦めです。

 

 

 

 

スーパーストラトは好きですか?

 

 スーパーストラト。

 Fenderのボルトオンネック/ダブルカッタウェイを持つギター・Stratocasterをベースに、各種アップデートを行ったエレクトリックギター。

 ハイテクニカル系ギタリストと楽曲に対応したスペックを備えたものである。

 JacksonのDinky/SoloistやIbanezのRGなどがそれに当たる(今は亡きクレイマーなど、複数のメーカーからも提供されていた)。

 

 デザインの基礎はStratocasterにあり、基本的にそこから逸脱したアウトラインは描かない。ただし、ヘッド部は各メーカー独自のものが多く、ボディはややサイズダウンされている(※全長がやや長いモデルも存在する)。フレット数も22から27以上とされ、カバーできる音域を拡大させた。ネックシェイプ/ネックジョイント部も運指がしやすいように数々の試行錯誤が行われている。

 

 ハードロック・ヘヴィメタル全盛期にはこのスーパーストラトが市場を賑わせた。

 が、時代の趨勢とも言うべき「ブルースをベースにした楽曲への回帰」、「グランジ・オルタナティブの流行」によりスーパーストラトを使用するギタリスト及び、バンド、楽曲は失速。同時に使用される楽器はオーセンティックなモデルへ回帰し、スーパーストラト生産は縮小することとなった。

 

 その後姿を消したスーパーストラトのメーカーも多いが、大手による買収や時代の沿ったモデルへの変換をして命脈を保った会社/ブランドも幾つかある。

 流行の移り変わりにより再びスーパーストラト系統のギターは息を吹き返す。そして7弦以上の多弦スーパーストラトも一般化していった。

 更にバーサタイルスタイルのギタリストが使用するギターは各ジャンルに対応できるものであるが、これは再定義されたスーパーストラトと言えるかも知れない。

 

 現在もスーパーストラトを好むギタリストは多く、未だ新モデルが発売され続けている。そして、その進化は留まることを知らない。

 

スーパーストラトな。

 

 ってことで少々お堅い感じに始めてみました。

 

 ぶっちゃけ、スーパーストラトなんてものは「テクニカルぶん回しの為にスーパー弾き易く&ハイパワーにしたストラト」って感じです。うわあ、乱暴なまとめ。

 そんで、わたくしはスーパーストラトなんて称してないッス。

 しかしスーパーストラト。略してSS。超サイヤ人もSS人と略しますが、マジで使わないなあ。FRT搭載ギターやCaparison、Jacksonなどメーカー名+モデル名で呼んでるッス。でも便宜上、本エントリではスーパーストラト表記にしておきます。

 

 賞味の話、スーパーストラトはハイテクニカル系ハードロック・メタルギタリスト/バンド/楽曲以外でも使われています。ファンクでもブルースロックでもポップでも、ジャズでも何でもです。プレイアビリティという面で、どんな局面でも活用できますからねぇ。トーンも結構自由自在だし。でも「このジャンルにはこの楽器だ!」なんて固定観念に満ちあふれた意見も多く聞かれますけれども……ジャンルなんて本当にただの足枷にしかならないよなあー、とも思います。

 

 そもそも弾いている側からして見れば自分が好きな、或いは使いやすい・そのとき使いたい楽器をプレイしているだけでしょうし。

 外部から「それスーパーストラトじゃん」と言われて、指摘された側が改めて「儂のギター、スーパーストラト? そうかな? そうかも……」と認識する程度じゃないでしょうか。それくらい一般的になっていると思うんですよ、スーパーストラト。現在だとそれくらい普通のスペックのギター。

 多数あるギターの中の、その選択肢のひとつでしかない訳です。

 

 

スーパーストラトのメリット・デメリット。

 

 当然ながら、どんな楽器にもメリット・デメリットはあります。

 ヴァイオリンのストラディバリウスは「音は最高に素晴らしいが、値段が高い」。

 グランドピアノは「音は最高に素晴らしいが、値段が高いし場所を取る」。

 極端なことを書きましたが、そんな感じ。

 

 スーパーストラトのケースだと……。

 デメリットから言えば「FRTが乗っていると弦交換、チューニング、調整が面倒臭い。また、独自部品が採用されていることが多く、壊れた場合の部品交換が難しいケースも数多くある」などがあります。

 ええ。ホントに。特に独自部品! キサマは駄目だ! ロックナットのナットキャップやブリッジのスクリューがやられたとき、どうしようもないッ。ちゃんと供給を続けて欲しいッ。でもそれはそれで難しいのは理解しているッ。だから困るんだよねぇ、色んな意味でさ。

 

 おっと。

 じゃあ、メリットは?

 ……そりゃもう、各プレイヤーが「いい!」と感じた部分ですよ。

 だってスーパーストラトって仕様が多岐に渡っているので、モデル事にメリットが変わるから。そもそもネックシェイプひとつとっても「薄くて良いッ」とか「ある程度厚みがあってグリップしやすいのが良いッ」とか「幅広で良いッ」とか「幅が狭くて良いッ」とか……いろいろありますわね。だから一様に「これがメリットである」なんて書けないんですよ。おまけにFRT搭載ギターでよく言われる「FRT特有の金属的なトーン(とされるもの)」っていうのも、プレイヤー側がそれを是としたらメリットに転じますから。だからデメリットとメリットってトレードオフでもなんてもなくて「その人の感覚によるところが大きい」のです。

 

 こうなってしまうと、個人的には「自分が好きなデザインがこのスーパーストラトだから、それがメリット」って感じです。雑!

 

 

しかしまあ、見てみれば。

 

 わたくしンちのギター、見事にスーパーストラト系統が多いッス。

 CaparisonのDellingerやC2 Horus 、JacksonのDinky、IbanezのRG……。

 Les Paulコピーモデル以外はほぼスーパーストラトの系譜を継ぐモデルばかりですねぇ。なんてこった。

 

 ※Caparison C2 Horusタイプ

 

 ※Jackson DK-2

 

 ※Ibanez RGタイプ

 

 まあド下手くそなので、スーパーストラトを持っていてもそんなに意味がないンすけどね。ふへへへ。……なんていう無駄。

 

 画像は上から「Caparison C2 Horusタイプ」

 真ん中が「Jackson DK-2」

 下が「Ibanez RG」

 似ているように見えて、それぞれ個性があるモデルです。

 よくよく考えてみれば、Caparisonは元Jackson/Charvelのデザイナー・菅野到氏が采配を振るっているので、Jackson/Charvelの流れを汲むスーパーストラトですね。

 IbanezのRGはロードスターから始まり、RGへ辿り着きました。

 全てのベースとなったのはエディ・ヴァン・ヘイレン辺りから始まった「ストラトを改造する」思想からであるようです。※ただし、エディ以前に改造ストラトを使っていたマイケル・ハンプトンという存在がアリマス。

 エディが作り上げた初期の改造ストラトは「Stratocasterのプレイアビリティ+Les Paul(など)のハムバッカーピックアップのトーン」を目的としており、その思惑は現在だとPRSの理念と同様のような気がします。「俺が考えた最強のストラト」を地で行く発想とも言えそうですが……。

 しかしエディ晩年のシグネチャーモデル「EVH ウォルフギャング」を見ると完全に求めるスペック/トーンがStratocaster+Les Paul Custom(!)になっていました。

 

 ……とここまで書いて思いましたが、スーパーレスポールと言うべきものも存在しておりますよね。Les PaulにFRTやサスティナー載っけているやつ。そう。ロバート・フリップが使っているギターとか。それにLes Paulシェイプに近いけれども、プレイアビリティを高めたテクニカル指向ギタリスト向けモデルもありますし。

 何処まで行ってもStratocasterとLes Paulはギタリストに愛されているモデルである、ってことなのでしょう。

 

 これらスーパーストラト/レスポールを含む、全エレクトリックギターへ通じる〈ギターの原型〉は、ハープ(後に竪琴タイプへ変化)から始まりました。そこからウードやリュートなど現代のアコースティックギターへ繋がる形状へ変化していくのです。これは演奏者側が求めたものですが、進化といっても差し支えないでしょう。

 では、これからのスーパーストラト/レスポールはどのような進化をしていくのでしょうか? 

 そんなことを考えたとき「ギターの不完全な部分を取り去る」ことと「構造上不可能であると思われていることを覆す」方向へ行くのではないかと思いました。

 前者はギターが抱える〈ナットとブリッジ、フレット位置によるイントネーションの不具合〉などに当たります。

 ギターという楽器は開放弦でチューニングを合わせた場合、押弦したときにイントネーションが狂うことがあるのです。オクターブチューニングなどで弦長を調整することである程度妥協できますが、そのレベルなんですよ。特に3弦などがキツいようです。だからエディ・ヴァン・ヘイレンたちは耳で合わせた特殊チューニングを用いるのでしょう。コードを押さえたときに最適化する形として。

 この問題に対して、各メーカーはサークルフレッティングやバズフェイトンなどで対策を打ち出していますが、完全な解決には至っていないのが現状です。各弦ごとに分割したor歪曲したフレットを正しい位置に撃ち込むことでイントネーションの不具合を解消したギターもありますが、まだ一般的ではありません(各システムごとにチューニングメソッドも違う)。

 そもそも現状の各対策・構造を見る限り、プロ以外のアマチュアプレイヤーが「好きなギターと弦を選び、どんなセッティングをしてもイントネーションが整っているギターシステム」にはまだまだの部分がありますから。

 逆に言えば〈ギターの押弦時のイントネーション問題を完全に解消し、誰でも気軽に扱えるシステム〉ができれば、とんでもない発明になるでしょう。

 後者の「構造上不可能であると思われていることを覆す」にも繋がりますよね、これ。もちろん構造上不可能だと思われていることはまだ他にも多々ありますが、それもまたギターの進化を促す起爆剤になるはずです。例えば、「FRTギターでフローティングセッティング時に弦が切れたとき、他の弦の全くチューニングが狂わない」とか。一応ゼロポイントシステムとかトレモルノとかありますが、不完全です。トレモルノは使い方を間違えるとシャフトが曲がったり、壊れたりするみたいですしね。そもそも気軽にアームアップやダウンができないのは辛い……。

 今後に期待!

 

 おっと、わたくしンちの話へ戻します。

 わたくしの場合、ギターを選ぶときはデザインと色で選んでいるのですが、そこに「FRT、可能なら24F以上、ブリッジ側ピックアップはハムバッカー」というスペックが満たされていたら良いじゃん! って感じなので……まあ、Caparison、Jackson、Ibanez、鉄板のラインナップになりますわな。

 とはいえ、ネックに関して言えば、極薄じゃなくても問題ありません。

 FRT付きがマストなのは、ダブルロックによるチューニングのズレが最小に押さえられることからです。いえね。意外とアームを使うのですよ。下手糞なのに。

 あとハムバッカーはほら、ローノイズだし、ド下手くそでも割と肝要に受け止めてくれるし。上手い人なら更に美味しいトーンを弾き出せるのだろうけれどもだ。

 出来うるなら、ピックアップはダイレクトマウントがデザイン的に好きです。Les Paulはエスカッションありがいいけれどもだ。

 うん。やはりデザイン優先指向だわ、自分。

 

 しかしわたくしのスーパーストラトシリーズを目にした友人知人曰く。

「ハイテクニカルハードロックとかプログメタル専用機って感じねぇ」

「ゴリゴリのメタルギターやね」

「これでテクニカルメタルやんないのは嘘だわ。このドヘタ!」……。

 ごめぇん! 本当にごめぇん! ごめんごめん!

 好き勝手な用途で使っていてごめん!

 ハードロックもメタルもテクニカルメタルも無視してスーパーストラト弾いてますわあ。だってクリーンでもクランチでも良い感じなんだもの。

 あとデザインが好きだから。

 デザインで選んで弾いたギターの音源は以下の通り。

 ポスト内でも書いてますが「恥のかきすて」ッス。

  そして再掲ばかりで申し訳ない。

 

 

 

 

 

 ってことで全くもってスーパーストラトの無駄遣い……なのかどうかは分かりませんが、楽しんで弾いております。

 

 アマチュアなんだから、楽しければそれでよし。

 なっ?

 

 

blogを書けと言われたので「ダウンチューニングでも楽したい」の話。

 

 最初に書いておくと永野護先生の『Fool For The City 2025 Edition』は2025年12/10発売だゾ。今回は楽器解説とか増えているらしいゾ。

 ってことで永野護ファン以外の楽器ファンも買いましょう。

 

 

 さて。

 基本的にものぐさなわたくし。

 リハスタとかイベントとか、出来るだけ荷物は少なくしたいタイプです。

 もうぶっちゃけ、手ぶらで行きたい。レンタル機材あればそれで済ませたい。

 それくらい楽したい。

 

 でもねぇ、何だかんだで機材は持って行かなくちゃならないッ。

 それに、たまにあるんですよ。

「レギュラーチューニングと半音下げチューニングの両方をやんなくちゃいけない」シチュエーションが。ってなると、ギターは2本必要になります。ええ。例えFloyd Roseのダブルロック方式じゃない、フィクスドブリッジのギターだとしても。何故なら、半音下げる間に時間が掛かるから。その間の気まずさって言ったら、ねぇ。

 

 あ。レギュラーチューニングギター1本で半音下げの楽曲を弾く方法として「半音階下げたポジションで弾く」などもあります。1フレット分ヘッド側へズラして、っていう。が、これだとチョイチョイ問題も出てきます。開放弦絡みのフレージングを代替ポジションでやろうとしたら、もの凄く忙しい動きになったり、響きがおかしくなったりとか。 そら困る。

 

 Q:なら、なんかのボタン一発で瞬時にチューニングダウンでけへんのん? 

 

 A:はい。出来ますよ。

 

 実はLine6 Helix/HX Stompを使えば、一部の特殊変則チューニング……例えばDADGADみたいなの以外なら、レギュラーからダウンチューニングが一瞬で可能になります。いやマジで。

 

 詳細は次項。

 

 

Simple Pitchがあるじゃない。

 

 Line6 Helix/HX Stompにはいろいろなピッチシフトが入っています。

 ピッチシフトとはその名の通り「ギターやベースの、音の高さを変更する」エフェクトです。音の高低/ピッチをシフトするぜ! ってヤツ。

 同系統のエフェクトには疑似カポタストとして使える「Poly Capo」とかも御座います。カポがないときに便利ですよね。エレアコではないアコギに使いたいときは、Helix/HX Stompにマイクを繋いで、その入力信号に疑似カポというパターンも考えられます。そう。Line6のギタープロセッサはギターやベース以外にも使えるのです。エレクトリックヴァイオリンとかね。あとマイクで取れるなら他にも色々。ボーカルもですが、金管木管楽器もいけるんじゃないかなあ。それに意味があるかどうかは、使う当人次第で御座います。はい。

 

 おっと。話を戻します。

  そのピッチシフトモデルを使えば、ダウンチューニングが瞬時に行えるのです。

 使うのは「Simple Pitch」

〈Pitch/Synth〉のところに入っています。紫色のブロックのとこ。

 といっても、カポと同じく疑似ダウンチューニングなんですけどね。

 ギターから入ったシグナルをエフェクト/デジタル的に下げてしまう、と言うヤツ。

 これは以前から色々なLine6使用プレイヤーが語っていたことで、割と有名な活用方法です。が、一応、具体的な使い方を振り返ってみましょう、と。

 

 以下の画像で説明しますと……。

 基本はここから始まります。この状態だとレギュラーチューニングです。

 ポイントはプリセットのド頭に置くことと、Mixを100%にしておくこと。

 ギターやベースから出たシグナルを最初に変換してから各ブロックへ通すことで掛かりが良くなる/他のエフェクトの影響を受けにくい、ということでしょうか。

 また、MiXを100%にすることで、元のシグナルのピッチ(音の高さ)を消し去った状態の出音になります。50%だと「元ピッチ+変換されたピッチ」が同等の音量で混ざってしまうので、チューニングダウンされた音に聞こえませんからね。

 

 因みにピッチシフト系はDSPをかなり喰うらしく、HX Stompだとブロック構成によってはかなり制限が掛かりますのでご注意を。

 

 

 下はHalf Step Down。

 半音下げですが、Intervalに注目。

 マイナスワン(-1)でHalf Step 下がります。半音です。

 

 

 なので、Two Whole Step Down(2音下げ)だと、マイナスフォー(-4)になります。Whole Step Down(1音下げ)ならマイナスツー(-2)ですね。

 SNAPSHOTに設定しておけば、フットスイッチ1から3を踏み分けて〈Simple Pitchオフ、オン&Half Step Down、オン&Whole Step Down〉すら可能になります。

 

 

 さて、ここで音源をチェックしてみて下さい。

 使用ギターはCaparison C2で、ミディアムスケールのネックです。

 通常、ミディアムスケールでチューニングを下げるといろいろな不具合が起こります。最たる物は、ストリングステンションでしょうか。チューニングを下げれば下げるほどだるんだるんになって音の張りがなくなり、更にピッチが狂いやすくなります。そんなときはヘヴィゲージを張ることで対策しますが、それも面倒ですよね。場合によっては弾きづらくなるし。ところが、デジタル処理なら元の弦のままストリングステンションを保ってチューニングダウン出来ます。※動画内で英語短縮ミスしているとこがあるのはスルーで。

 

 

 このように各チューニングダウンが一発で変換可能になります。

 極端なことを言えば、「一曲の中でレギュラーからフットスイッチ一発で2音下げに瞬間変更が可能」になる訳で、同一ポジションを弾きながら阿呆みたいなインターバルの転調が出来る! とも言えます。弾いている方が混乱しそうですが。

 あ。あとヴォーカルが「ゴメン、キー下げてくれる? 歌いにくいから」というときに利用すれば、ギターやベースはポジションを変えずに弾けますね。

 

 また、Interval設定は+1ごとに半音上がりますから……2音下げチューニングのギターが+4でレギュラーチューニングへ早変わり! すらオッケーです。元が低いチューニングからピッチを上げるのもデジタルなら問題なく行えます。こちらも弾いている側が滅茶苦茶混乱しそうですけれども。

 これを利用すると「1音下げチューニングのギター1本だけを使ってライブ。時々あるレギュラーチューニング曲のときだけ+2でピッチを上げることで対応」が可能になります。

 

 しかし前述の通り特殊変則チューニングには変換出来ません。特殊じゃないけれど、ドロップDもですね。フィクスドブリッジならその場で6弦だけ下げればいいのですが、Floyd RoseだとDチューナー+アームダウンオンリーセッティングじゃないといけませんから面倒。出来ればこういう特殊変則系も何とかしたいところですが、そうは問屋が卸さないぜ! って感じ? デジタルも万能ではありません。

 Line6 Variax(生産完了しているLine6のギター)ならいろいろいけるらしいですが、ここではあくまでも普通のエレクトリックギターやエレアコに、ってことでご承知下さい。あくまでも「元のギターのチューニングをデジタル的にピッチの上げ下げができる」程度とお考え頂けると幸いです。もちろんドロップDやDADGADチューニングにしておけばそこからインターバルを上げる・下げるは出来ます。

 

 注意点は「ピッチシフトすると、ちょいトレブル成分が多くなるorミッドローがやや削られた感じになる」ことでしょうか。もし気になるのなら、SNAPSHOTを活用しましょう。SNAPSHOTで〈各ピッチシフト+アンプやEQのパラメータ同時切り替え〉を設定していまえば良いわけです。もちろんご自身の使用ギターや環境を加味して調整を。

 

 ただし、このやり方でチューニングを変えると「自分の手元で鳴っている音とHelix/HX Stompを経てスピーカーから出てくる音が違うので、脳が混乱を起こす」のですが……。特に小さな音でスピーカーを鳴らしていると、非常に違和感が。思わず手元を覗き混んだりして。

 出音を大きくする、またストラップで下げて立って弾けば問題は軽減されます。だって、元のギター生音が聞こえづらくなりますからね。

 或いは「気にせず出音のみ聞いておけばいい!」です、はい。

 

 

荷物は減る。

 

 このようにLine6 Helix/HX Stompを使えば、レギュラーから一部のダウンチューニングまで1本のギターで対応できます。

 だから最低限のリグで移動が出来る、と。いいっすね。

 

 仮に「レギュラーチューニングのギターをメインに使い、Half Step Downの曲が少々あるケース」だと……。

・ギター1本(レギュラーチューニング)

・ギターケーブル適宜

・ピックやウェスなど、あといざというときのための換え弦と工具?

・Line6 HX Stomp+電源

 でオッケーになります。うん。少ないぞ。

 チューナーはHX Stomp内蔵のものを使いましょう。

 

 いや、本当にHX Stompは便利ですよ。

 リハスタなんかのアンプがアレなときや、アンプはなくてPAしかないとことかでも全部対応できますから。更に、その場でプリセット組み替え~微調整まで! ぶっちゃけ、ルーパーカマして独りジャムを疲労することすら可能っす。

 おっと。リグ運搬の苦労を軽減できることがこれで伝わったでしょうか?

 

 そうそう。

 一応、某バンドのHalf Step Down楽曲に合わせてピッチシフトした状態で弾いてみましたが、目立つズレもなかったです。あと2音下げも同じく。

 ※問題があるとしたら、元々のチューニングが特殊なケース。例えば、エディ・ヴァン・ヘイレンのようにA=440HzではなくA=445Hzでチューニングしているパターン(或いは弦ごとに微妙にチューニングをズラしている。エディはコードを弾いたときに綺麗に響くよう、ギターのピッチを調整していた節がある)。ダイムバック・ダレルはA=431Hzだとか。もしこういった「元のチューニングピッチが違う」場合はそれに合わせてチューニングしてからピッチシフトしないといけない。

 ただ、もし自宅などでレコーディングするのなら、ギター側でチューニングをしたものをピッチシフターをカマさずに弾く方がベターだと個人的に思います。

 

 ダウンチューニングが一般化した現在、このような方法で対応してみるのも一興かと存じます。是非、ご活用下さい。かしこ。