Catalystモデリング。

 

 ええええーっと。

 今回は恥を忍んで久しぶりの〈演奏音源〉で御座います……。

 

 何故、今公開するのか。

 答え:発掘したから。

 

 いやね、お仕事で使う画像とか探していたら見つけてしまったんですよ。

 こんなんあったっけ? と頭の上にハテナが乱舞しましたけれども。

 んー。ものすごーく記憶が曖昧なんス。

 未公開だったかすら忘れております。まだ出してないよね? Xでも。んー。ないはず。なかった。ないといいな!

 取りあえず詳細は次で。

 そして動画は最後辺りにXのリンクを置いておきます。

 しっかしコイツ、ギターが上手くならないな!

 

 

 

 

 詳細。

 

 できるだけ記憶を浚ってみました。

 多分なんですけれど。

 

1)Line6 Helix/HXSTOMPが3.70になって興奮していた

2)そしてCatalystモデリング5種が思いのほか好きな音だった

3)その場でDAWを立ち上げて、単純なリズムトラックを打ち込んだ

4)超シンプルな刻みを録った

5)ベースも入れた

6)その後、アドリブソロその1 ミスった まあいいやの精神

7)続いてアドリフソロその2 ミスった まあいいやの精神

8)リズムトラック、刻み、ベース、ソロ×2をミックス

9)最終調整

 

 だったはず。元データを確認したら5トラックだったし。

 しかしドラムは単調。何を考えていたんだ……ッ。

 おっと。刻みもソロもCatalystモデリングのLine 6 Oblivionでした。

 ただプリセットはリフ用とソロ用で微妙に作り替えていると思います。

 

 動画は各機材で、モノクロ撮影した(はず)。

 ギターはラフなところへ置いて撮った(はず)。

 いや、本当に記憶が曖昧だわあ。

 

 

 

 動画では。

 

 ええーっと。

 動画ではサブの8弦とHXSTOMPが入っていますが、使っていません。

 これは確実。弾いたのはメイン8弦で、Helixでした。

 メイン8弦 → ボリュームペダル → Helix

 刻みもソロもそのまま8弦です。持ち換え、面倒っすからね。

 

 リズムトラック作成から5トラック録り終えるまで、20分くらいじゃないかなぁ。

 ミスってもやり直ししていないから、こんなもんです。

 一番時間掛かったのは、多分撮影と編集だったような記憶が。

 

 

 

 Catalystモデリングいいすね。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな曖昧さを持てあましつつ。

 Catalystモデリング、やっぱりいいですね。

 刻みはブーストパラメータを下げていたはず(また はず だよ)。

 ソロはブーストパラメータを若干上げて、EQも弄った音。

 ただし、ゲインはかなり下げています。2から3の間くらい。アンプ側ブースターだけではなく、ギター直後にブースターを入れていますが、それでもこれくらい歪むのです。

 

 ……とか書いていて気付きましたが、今使っている8弦メインプリセットとサウンド傾向がほぼ変わらない音なんですよね、これ。自分が好むサウンドを求めるせいか。はたまた、弾くヤツがド下手だと、音もそんなに変わらないってことなのか。

 

 っていうことで超絶番外編でした。

 掻いてこそ、恥。ふはっ。

 

 

 

 blogを書けと言われたので「スナップショットで8&6弦ギター用プリセットを切り替える」の話。

 

 blogを書けと言われたので「スナップショットで8&6弦ギター用プリセットを切り替える」の話です。

 

 今回もタイトル通りの内容になる予定。うん。最近タイトルが長いな。

 そして前回の続き、になると思います。

 楽器ネタでも良いから書け! ってスタッフは言っているのでいいよねッ!

 

 

 さて、今回。

 前に作った8弦&6弦用プリセットを利用しますよ-。

 Line6 Helix/HXSTOMPの便利機能「スナップショット」も使います。

 これがなかなか良い感じ、かも。

 

 

 

 プリセット・コンセプト。

 

 

 今回のプリセットにもコンセプトがあります。

 それは 8&6弦用プリセットをひとつにまとめる です。

 

 「ひとつのプリセット内に8&6弦用に設定したアンプを用意。スナップショットで各種パラメータを変更することで〈8弦リフ用/8弦リード用〉と〈6弦リフ用/6弦リード用〉の4種のサウンドバリエーションを作り上げる」訳っすね。

 

 ここ最近「8弦ギター1本で弾き倒す!」がテーマになっておりまして。

 変則チューニング以外、6弦レギュラーチューニングで演奏可能なケースだと持ち替えずに8弦で弾いています。1~6弦部分は6弦ギターと変わらない訳ですもの。……まあ、いちいち持ち換えるのが面倒臭いっすからね。

 

 当然ですが、Helix/HXSTOMPのプリセットは8/6弦用を切り替えます。

 例えば8弦ギターの7~8弦まで使ったリフは8弦リフ用プリセット。

 1~6弦を使ったリフは6弦リフ用。

 1~6弦を使ったリードプレイは6弦リード用。

 DAWで録音するときは、こんな感じにHX EDIT上で適宜切り替えます。

 音源に合わせて弾く場合はフレーズの隙間を狙ってフットスイッチを踏んで、プリセットを切り替えるパターンになります。

 

 が、なんとなーく〈1プリセットに纏めて、スナップショットで切り替えるパターン〉もあったら便利かなぁと考えました。プリセット切り替えだと音切れするときもありますからね。スナップショットなら音切れ知らず!

 そこでサクッと作成したのが今回のプリセットです。

 8&6弦用プリセットをワンパックにしつつ、そこに「Helix/HXSTOMP両方で使えるよう、ブロック数を8に留める」ことも条件に加えました。どっちでも使えるのならそれに越したことがないっすからね。ええ。

 ただHXSTOMPはスナップショットが3つまでしか使えないので、4つめに設定した8弦リードは使用不可に(Helixで作成したスナップショット4つ入り・プリセットデータをHXSTOMPへインポートすると、自動的に1から3のスナップショットのみになります)。

 ま、ここは仕方ない部分ですので、スルー!

 

 

 完成したものがこちら。

 

 どこぞの料理番組みたいにお出しする。

 

 Helix/HXSTOMPを使ったことないと、何が何やらかも……。

 そこは無視して話を進めます。

 

 ブロックは全部で8つ。頭から説明すると

 

ギターシグナル直後部分

・ブースター(6弦リフ用と6弦リード用 2種のスナップショット。8弦は6弦リフ用)

・シグナル分岐(上段Aと下段B)

 

上段(Aルート)

・6弦用アンプヘッド(リフ用とリード用 2種のスナップショット)

・ボリュームペダル(100%と0%スナップショット)

 

下段(Bルート)

・8弦用アンプヘッド(リフ用とリード用 2種のスナップショット)

・ボリュームペダル(100%と0%スナップショット)

 

A/Bルート合流後

・ディレイ(オン・オフ 2種のスナップショット)

・キャビネット(6弦用と8弦用 2種のスナップショット)

・EQ(ミドルブースト)

 

 になります。おお。シンプルだけどちゃんと切り替わって効果大。

 

 

 ルートが代わっている/ブロックのオンオフ、各パラメータ設定が確認出来ますでしょうか? またスナップショットマーク(白いカメラマーク)もご確認下さい。

 

 しかしメタルサウンドからクランチまで野郎と思ったらイケる、かもしんない!

 

 

 

 大事なポイント。

 

 

 このルーティングで大事なポイントがあります。

 それはアンプヘッドの後、それぞれにひとつずつボリュームペダルブロックを置いていること。

 

 下の画像をチェックしてみて下さい。

 表示されているのは、どちらもAルートのボリュームペダルブロックパラメータですが、一枚目は6弦リフ用(Aルート)、二枚目は8弦用(Bルート)に切り替えた際の状態です。

 

 

 Aルート使用時は、Aルートのアンプヘッドブロック側のボリュームは全開。

 Bルート使用時は、Aルートのアンプヘッドブロック側のボリュームが完全に閉じられているのが、分かりますでしょうか?(当然、Bルートへ切り替えた際は逆の挙動をします)

 

 どうしてこんな面倒なことをしているか。

 それはそれぞれのアンプブロックを通るシグナルの管理をするためです。

〈アンプを完全に切り替えたいので、使わない方のシグナルを完全遮断!〉するには、Split設定だけだとそれが不可能なのですよ。

・使わないルートのブロックはオフ

・Splitで分岐

 この二つを行った上でも、使わないルートに置かれたブロックはシグナルが通ります。それだけではなく、ブロックをオフにしていてもシグナルが変化します。これは実機と同じく。

 結果、音を出したいアンプを通ったシグナル+音を出したくないアンプを通ったシグナル、両方がミックスされた音がミックスされた状態で出力されてしまい、意図しないサウンドになります。げげえ。

 

 対策として〈アンプブロックの直後にボリュームペダルブロックを使用し、任意で使わない方のアンプシグナルを0にして完全カットする〉仕組みを取り入れました。

 ボリュームペダルブロックでシグナルの管理/整頓する、って感じっす。

 Aルートのアンプを使うなら、こちらのボリュームペダルは〈100〉。Bルートは〈0〉。

 Bルートのアンプを使うなら、こちらのボリュームペダルは〈100〉。Aルートは〈0〉。

 スナップショットで同時切り替えを設定しておくのです。

 このときは筐体に装着されているエクスプレッションペダルや、外部取り付けのエクスプレッションペダルを紐付けしないほうがベターです。

 ボリュームペダルが使いたいなら、もうひとつボリュームペダルブロックを置き、筐体に装着されているエクスプレッションペダル/外部取り付けのエクスプレッションペダルを有効にさせればOKです。ただしブロック数を喰うので、HXSTOMPの場合は辛いかも。わたくしは実機のボリュームペダルを使っています。楽だから。

 

 おっと、話を戻しましょう。

 この「影響させたくないブロックシグナルをボリュームペダルで完全遮断する」方法は、他にも使いどころが多いはずです。例えば、ワウペダルブロック。置くだけで音が変化してしまうので、シグナル分岐させてバイパスさせるとか。

 そうなんです。このパターンを覚えておくと〈普段シグナルを通したくないブロックは基本的に遮断。使うときだけルートを切り替える〉などの応用がききます。

 

 

 因みに合流点はデフォルトのパラメータのままです。

 特に何もしていません。

 

 とはいえ、単体プリセットと比べると僅かに音が変わっているんですけどね。

 極々僅か、誤差的(?)な感じなので、問題なし! ということにしておきます。

 

 

 

 

 スナップショット。

 

 HXSTOMPではスナップショットが3つまでなので、こんな感じに。

 

 

 1が6弦バック用。

 2が6弦リード用。

 3が8弦バック用になっています。

 

 それぞれ、こんな設定になっています。

 

1)

ディレイオフ

ブースター(6弦リフ用パラメータ)

6弦用アンプ(リフ用パラメータ)

キャビ(6弦用パラメータ)

 

2)

ディレイオン

ブースター(6弦リード用パラメータ)

6弦用アンプ(リード用パラメータ)

キャビ(6弦用パラメータ)

 

3)

ディレイオフ

ブースター(6弦リフ用パラメータ)

8弦用アンプ(リフ用パラメータ)

キャビ(8弦用パラメータ)

 

 見えないところで結構パラメータが変わっているのです。

 リード用だと、アンプ側もゲインアップしつつMiddleを若干上げる、とか。

 スナップショット設定の詳細は、マニュアルやネットを参照下さい。

 

 

 変更せよ!

 

 

 今回例に出したのは、個人的な8&6弦プリセットです。

 8弦ギター+外部にボリュームペダルを繋ぐ用の設定になっています。

 歪み量をボリュームペダルで調整する前提のものですね。だから、結構シンプルな構成なのです(余談ですが、わたくし、ギター本体もシンプルなものを好むようです。2ハム・ワンボリューム、セレクタースイッチ程度のヤツとか。トーンノブとかハーフトーンとかコイルタップとか、付いてたら使いますけれども!)。もしクリーンやクランチが欲しかったら、別途プリセットを組めば良いと考えています。もう少しブロックを増やして。

 

 そういった複雑化したルーティング、別の使い方をするのなら、この8&6弦用をベースに、ガンガン変更を加えても良いと思います。

 アンプヘッドは8&6弦用とせず〈ハイゲイン&クリーン〉にしたり〈クリーン系アンプ2種切り替え〉にしたりと、活用法は多いはずです。

 もちろん、ブースターやEQを取り去ってから、空いたところへ好きなエフェクツブロックを置くのもアリ。或いはアンプ+キャビブロックにしてキャビブロックを削るとか。

 HXSTOMPはブロック数が8と制限されますから、ここは工夫のしどころです。Helixなら余裕があるので、そこまで節約しなくてよいのが使うメリットのひとつになるでしょうねー。

 

 ともかく、このルーティングをベースに考えると、いろいろな使い方が出来るはずです。

 実アンプへリターン差しでも応用できるかと存じます。

 

 いろいろお試し下さい。

 きっと楽しいアイデアが浮かんできますよう。

 

 

 ――ってことで、Helixで応用したのがこれ。

 

 

 アンプはハイゲイン&クリーンクランチ系。

 ディレイ2種はシンプルなものと、モジュレーション系になっています(だから、それぞれのシグナルを遮断ルーティングにしています)。

 そしてスナップショットは8つバージョンにしました。

 6弦用パラメータとして設定し「ハードロックからメタル+クリーンクランチによるストラミングやらリードプレイやら想定したプリセット」になっています。

 歪み系エフェクツを足して使い分けたり、オクタ-バーやフェイザー辺りを加えて飛び道具サウンドにしたりなど、まだまだ拡張できそうです。

 テスト用ギターは前述の通り6弦ですが、CaparisonDellingerです。これはコイルタップできるのでシングルピックアップ風の音も出せます。だから、オールマイティ的なプリセットのテストにはうってつけ! センターピックアップ+ネック側ピックアップのミックスとか楽しいっす。

 しかし、Line6のAristocratアンプはいいなぁ。

 

 と言いつつ、基本的にハイゲインアンプかクリーンクランチ系アンプにディレイ付ければ十分な人間なので、コンプレッサーやらコーラスやらモジュレーションディレイを加えるのはなかなかのチャレンジです。というか、どれをどうしたらどうなるのか、よくわからなーい。

 そんな機材知識がないわたくしても、それなりに良い音が設定できるのがHelix/HXSTOMPの凄いところであります。

 

 ってところで締め。

 

 久田樹生ノ現地取材裏話ヲ書ケ。

 

 我が有能スタッフ陣と雑談しているとデスネ。

「ア、アンタァ、阿呆なんちゃうか!?」

 って哀れみを持った目で見られます(マジで)。

 理由は書きません。だってェ、他の人から見たらァ、阿呆そのものらしいンでェ。

 

 しかしスタッフ。

「(雑談で出た)取材の裏話なら書けるんじゃないですか? Blogに」

 嗚呼、やはり有能。こういう風にBlogを書けと責め立ててくる。ナイスですッ!

 

 てことでスタッフらと話していた取材の話をサクサクッと書きます。

 あ。取材内容については意図的にカットするのでよろしくぅ。

 

 

 

 逡巡。

 

 ある日の取材で御座います。

 その日はファミリーレストランで待ち合わせでした。

 時間は午後二時過ぎ。約束は二時半です。

 そしてその日、わたくしは昼食を食べておりませんでした。

(……クラブハウスサンドを食べちゃおうかしら)

 注文。品物の到着。気合いで早く食べる。うん。イケそう。

 しかし時間が微妙。時間より少し前に取材相手が到着したら「インタビュアーがインタビューイよりも早く何かを食べている図式」になります。そら失礼だ。

 しばし逡巡。うーん。いや。我慢だ。我慢。多分取材相手が軽食を頼むと思うから、そんときにクラブハウスサンドだ! ここのは美味しいんだぞう!

 

 んで、予想通り約束の時間前に取材相手がいらっしゃいましたよ。

 オーダー。「ドリンクバーで」。

 こうなるとわたくしだけ何かを食べるわけにもいかぬ。

 

 はい。ご想像の通りです。

 わたくしの腹の虫がグーグー鳴り始めまして。

 そのときは店内も静かで……っていうより、尋常じゃない腹の音でしたよ。喧しすぎる。

 これは周りにも聞こえているよねぇ、でも素知らぬ顔で、なんて思っていたら。

「あの、何か召し上がったら?」

 お相手に気を遣って頂きましたよ。いや大丈夫です、珈琲とカフェラテをがぶ飲みして誤魔化しましたとさ。

 

 次にその取材相手に会ったとき、開口一番。

「何かお食事はされました?」

 

 

 

 捜索。

 

 

 小説のための取材中でした。

 詳細は省きますが、大自然の中です。

 

 時計を見れば、午前十時くらい。いえーい、良く晴れて最ッ高だゼッ!

 っていうシチュエーションでした。

 そしたら何処からか携帯の呼び出し音が。

 バイブのむーむー音じゃなくて、ぺんぺろぺんぺんぺん! ってメロディのやつ。

 割とハッキリ聞こえているので、さほど遠い場所じゃないことは分かりました。

 着信音だなぁ、まさか自分のかなぁ、でもそんなに近くないんだよねぇ、まあ念のためスマートフォンを取り出して確認。でもロック画面のまま。それ以外何もない。

 じゃあ、この音は何処だ。誰か居るのかと見回しますが、人っ子ひとり居やしません。

 どういうことか。

1)誰か隠れていて、わたくしに熱視線を向けている

2)スマートフォンが落ちている

 まあどちらにせよ、探したろやないけ、ワレェ! 落とし物やったら届けてやるのが人情ってもんや、そうやろ? あと熱視線の相手がおったら、お話伺わせてもーらおうっと! ってなことで早速の捜索開始。

 

 しかし。

 音がする方へ行っても何にも見つかりませんでした。物はまあアレとしても、人が隠れられるとこ、そんなにないンすけど。木の陰くらい? それに途中、音が移動しているんですけどね。その度に方向変換したのが悪かったのかなぁ。それとも……あ。そうか。理解した。

 これは妖怪現象だな。或いは精霊のイタズラだ。

 妖怪。精霊。とっても大好きさ。ニコニコしながら(妖怪さぁん、精霊さぁん、出ておいでぇ)って内心でネットリ呟きながら追いかけ始めた途端、音はフッツリ消えましたとさ。

 

 あれから時間が経っていますが、今はこんな結論を導き出しております。

「大自然の中にスマートフォンが落ちていて、たまたまあのタイミングで着信して、それが切れた。そして暗愚なわたくしには見つけられなかった」

 発見できなくて大変申し訳ない感じでした。持ち主ならGPSかなんかで探り当てられるでしょうけど。でも、その方が拾えているといいなぁ。

 

 因みに取材場所から出たとき、何だか厭な臭いが纏わり付き始めたのもあったな。

 ええ。気合い+××××であっち行けしたらスカッと雲散霧消!

 厭な臭いってえのは、消せるんですよねえ。ぐへへへ。
 

 

 抱擁。

 

 

 取材。それも夜中。

 真夏の夜の現場取材は、実に心地よい――何て言いたいのですが、まあそうとも言えないことも多々ある訳で。

 蚊や蠅(ん? そう言えば○○。なんであそこ、あんなに蠅が居たんだろう)などの虫や、湿気を纏った生ぬるい夜気など、不快なものも多数あるのです。

 

 でも、涼しい夜風が通る場所なら、過ごしやすいときもあります。

 否。肌寒くなることも。

 そんなときのため、真夏でも薄手のアウターを用意しておくのです。ウインドブレイカー的なのとか、フーディーとかさ。長袖だと虫除けにもなるしね! ヤブ蚊はそんな薄手の生地などぶち抜いてくるけど。

 

 その日の現場は、高所にある某所。

 事件現場だとか、そういう場所でした。

 その割りに開放的なスペースで、外灯も幾つか設置されています。

 うーん。犯罪現場にはそぐわない気がする。まあ、それは前段階で調べているのでよし。

 

 現場の地べたに座っていると、八月なのに肌寒くなってきました。僅かに風が吹いているようです。気化冷却されている? 持ってきたシャツを羽織りましたが、まだ冷えます。

 時計は午後十一時を回ったところで、まだ一時間も経っていません。

 あと二時間はここに居ないといけません(理由は割愛)。

 うーん、この冷えをどうするかと悩みながら腰を下ろすと、お尻やてのひらにほんわかした地面の熱が伝わってきます。地面に打たれたコンクリには、日中の熱が留まっているようでした。

 お。ってことは、だ。

 寝っ転がって設地面積を増やせば、寒さをしのげるじゃん!

 バシィッと仰向けに寝ました。狙い通り温かい!

 これで寒さも怖くないー、とほくほくしていたら、これがまたね。

 背中からお尻に掛けての温みがね、もう大地に抱きしめられたような安心感。 

 うへへへーい。これええわあ。

 って思っていると、そのままね。寝落ちしましたよ。すかーっ、と。

 目が覚めたらすでに午前一時過ぎ。

 寝汗まで掻いていました。何故なら、めっちゃくちゃ暑くなっていたから。まさに熱帯夜でしたねぇ。風もなくなっていましたし。さっきまで冷えはなんだったんだ。

 ただ、何にも調べられてない! ってことで別日に再調査となりました。二度手間!

 

 んで、再取材の時、面白いことを発見しました。

 こちらはいつか本で書きましょうかねー。

 

 

 

 ってことです。

 

 

 ってことで取材中の話はとりあえずここまで。

 Blogで書いても問題ないかなぁってことでお出ししました。

 今回は特別編ってことで。

 次回からまた楽器のことを書くぞ! (おい)

 

 しかし読み返すとホント、阿呆文章からわたくしのダメさが滲み出しているような。

 コンナ 大人 ニ ナッテハ イケナイ。ああああ(枕に顔を埋めて、呻く)。

 

 

 

 blogを書けと言われたので「8弦と6弦ギター用Helix/HXSTOMPプリセット」の話。

 

 blogを書けと言われたので「8弦と6弦ギター用Helix/HXSTOMPプリセット」の話です。

 ていうかー、スタッフから「楽器ネタ でも いいからBlogは沢山書け」って言われましたー。だから楽器ネタでござんす。

 

 おっと。元に戻そう。

 昨今、多弦ギターは一般的な楽器になりました。

 かのスティーブ・ヴァイが7弦ギターをIbanezから出し「誰にでも買えます、演奏できますよ」と提示してから長い時間を経て、遂に市民権を得た、ってぇ感じですかねェ。

 現在楽器市場に溢れる多弦ギター用リグなんぞを目にしていると、隔世の感すら覚えます。

 

 しかし、ネット及び周辺の声を聞く限り「多弦ギターの音作りはどうすればいいのか」なんて悩みは尽きないようです。

 7弦ならまだ6弦に近いので、これまでのセッティングを応用できるような。

 8弦以上になると6弦とは別物になるので、考え方を変えなくてはなりません。

 

 ということで、機材に明るくないわたくしが、体感したことをベースにちょいとセッテイング案を書いてみようと思います。

 短い上、しっちゃかめっちゃかな内容になりますし、全く参考になりませんが、御容赦を。

 

 

 

 

 そもそも、どうして。

 

 そもそも、多弦ギター、殊に8弦以上になった場合、どのような理由でセッティングが難しくなるのか。どうしてこれまでの6弦セッティングが通用しなくなるのか。

 まずはこれらについて考えてみましょう。

 

 まず〈8弦以上の多弦ギターは6弦とは別物の楽器である〉

 これなんです。

 6弦で通用していたミュートや他の奏法が通用しないことも多く、これまでの弾き方では対応できない点が多々あります。それこそ初期は脳が混乱しました(これに関していえば、脳を8弦仕様に切り替えることでクリアできます)、

 

 更に楽器の構造がベースギターへ近付くためか、サウンド特性もベースに引っ張られていくようです。この辺りは各メーカーが対策を練って「多弦ギターはベースギターではない。あくまでもギターとして作り上げる」ようになっています。ありがたや。

 お陰様(?)で7弦の音程感は6弦の延長線上っぽいですし、8弦もきちんと分離してくれます。7~8弦を短音やコードにも用いても、きちんと成立しますもんね!

 

 ―― しかし。

 それでも6弦のセッティングだと合わないことも多く起こるのです。

 理由は多分、7~8弦の太さと、各周波数帯域への影響。

 逆に言えば、この二つをどうにかすればよいと言えます。

 否。しないといけないのですッ。

 

 

 実アンプでの8弦。

 

 

 リハスタの大型アンプ、或いは自宅用の小さな出力のアンプ。

 どちらを使うときでも、8弦だとちょっとだけコツが必要になります。

 

 まず大事なのは「Bassを下げない」こと。

 意外ですが、これがポイントっす。

 多弦ギターなのだから、低域を削れば分離の良いサウンド、ボワつかないサウンドになるだろう、なんて考えていた時期もありましたが、これが逆効果でした。

 Bassをある程度上げてやらないと、音から芯が失われます。

 あとはMiddleは12時方向。トレブルは適宜調整。あればPresenceで微調整するとよいはずです。また、実アンプの場合はゲインを12時方向を基本に始めた方がよいかもしれません。

 これらはクリーン系でもハイゲイン系でも同じです。

 例えば「クリーンクランチ系アンプで強く弾くと軽く歪む」ようにしたいなら、ゲインを12時、(チャンネル)ボリュームも同じく12時に設定し、音出しをしながらこの二つを弄ります。

 ゲインを下げつつ、ボリュームを上げるとクリーンへ。逆だとクランチ方向へ変化します。これは6弦でも同じですが、8弦の場合は7~8弦の歪み具合をみなくてはなりません。そこにご注意下さい。

 ハイゲイン系も12時方向からゲイン調整を始めます。

 実アンプの場合、個人的にブースターなどは繋ぎません。アンプのみで音を設定するようにしています。ただし、アンプ側にブースターなどの機能があるなら、それも活用します。

 実アンプ、それもフルチューブの場合だと割合ゲインを上げ目にしても大丈夫でした。とは言えフル状態だと歪ませすぎになるケースも……。

 

 もしアンプの手前にブースターやオーバードライブ、ディストーションを置くのなら、エフェクターとの兼ね合いを見ながらゲインの上げ下げをしましょう。

 

 

 

 いよいよHelix/HXSTOMPでの8弦。

 

 

 えーっと。まずはこちらを。

 

 

 わたくしの場合、基本はハイゲインアンプでプリセットを作ります。

 アンプ本体のきめ細かい歪みが欲しいからです。

 

 で、ポイントは三つ。

 

・ハイゲインアンプで、ゲインを抑える

・Bassは4から5周辺まで上げる

・TrebleとPresenceで最終調整

 

 こんな感じ。ただし、前段にブースターを噛ますことが前提のものです。

 7~8弦の太いゲージだと歪みやすい(?)ので、ゲインは上げすぎないようにしましょう。加えて、ゲインアップ過多だと今度は1~6弦の分離が少々悪くなることもありますので、その対策も含んでいます。

 また、実機アンプより一部を除いてパラメータを若干下げ目に設定します。例外はTrebleとPresenceで、この二つだけは数値を多めにします(現物合わせで)。

 

 ブースターはディストーションではなく、ゲインを下げたオーバードライブかブースターに。このようにアンプ前段にブースターを置くと音に張りが出ます。なくても結構好みの音まで持って行けますが、おまじない的に置いちゃう癖ができました。

 

 また、キャビネットですが、こちらの最重要パラメータはマイクです。

 マイクを変えるだけでかなり出音が変化するのでいろいろお試し下さい。

 

 キャビの後に置いたEQは味付けです。

 8弦をギターらしく鳴らすには、ギターの美味しい周波数帯を持ち上げてあげることです。ただ、アンプのパラメータで上げると若干思った方向に行かないときがあるので、こうして最終的な調整としてEQを加えます。いわゆるミッドブースター的な感じ?

 各楽器の美味しい周波数帯に関して、ネットで検索すると具体的数値が出てきますので、是非参考にして下さい。

 

 どのハイゲインアンプを選んでもこんな風にセッティングしておりますが、実際の所〈使う8弦でかなり音が変わる〉こと、そして選んだアンプヘッド/キャビネットブロックでパラメータの聞きが違うケースが多々あるので、やはり現物合わせがベストです。

 

 

 

 

 おまけの6弦。

 

 6弦も基本は同じです。

 

 

 8弦と違うのはゲイン量でしょうか。

 7~8弦がないので、多少上げちゃっても大丈夫なんです。と言っても5.0以下くらいなんですけどね。やはり上げすぎ禁物です。

 またこのアンプモデリング(Line 6 Oblivion)にはPresenceがありません。

 そこでブースターパラメータ数値をを少し上げることにしました。もちろんPresenceと同じ効果ではありませんが、全体的に増幅されるので丁度良い加減になるはず。

 

 で、8弦も6弦も歪み量は〈外部ボリュームペダルでゲイン量変化がきちんと分かる程度〉にするよう、心がけています。

 アンプだろうがエフェクト追加だろうが、多めにゲインアップしたら気持ちよい音が出るんですよね。それこそザクザクとしたミュートリフとか、軽く弾くだけで音が出るとか、長いサステインとか、本当にナイス。

 代わりにどのギターを使おうが、どういう弾き方をしようが、似た音しか出なくなりまして……。おまけに8弦だと予想もしないようなタッチノイズが乗ることもありました。これはミュートが下手なだけなのでしょう。が、やはり弾きづらさを感じます。

 やはり、ゲインを上げすぎると余り良い効果が出ない……過ぎたるは及ばざるがごとし、なのでしょう。

 現在は常々ゲインは控えめに、がパターンになりました。

 ギターに搭載されるピックアップのハイパワー化が進んでいますから、アンプ側でそこまで歪ませなくても良くなっているのかも知れません(もちろん、ローパワーなピックアップも存在しますが)。

 

 ひとつ申せば、現代のテクニカル系多弦ギタリストが行うHelix/HXSTOMPの音作りだと、様々なエフェクトブロックや効果、スナップショットを用いています。テクノロジーの恩恵を最大限に活かし、現場で良い音を出している、と言っても過言ではないでしょう。

 

 

 

 プロに学ぶ。

 

 ということで。

 Helix/HXSTOMPで多弦ギターのプリセットを作る参考は、わたくしのようなド素人ではなく、その道のプロが公開している動画などを参照するのが良いはず。ここまで書いたことを全否定しておりますが、真実。悲しい。

 

 

 

 

 

 

 他にも沢山ありますから、是非探してみて下さい。

 

 

 

 

 これからの8弦用プリセット。

 

 

 ハイゲイン系アンプを使って8弦用プリセットを組んできました。

 と同時に、以前からクリーン系8弦プリセットも作っています。

 Fenderのアンプモデリングをメインに、コンプレッサーやコーラス、ディレイ、リバーブを加えたものです。6弦用として作ったものをベースに、8弦用への微調整を始めました。

 基本的なパラメータはハイゲイン系と似ています。

 ただ、コンプレッサーやコーラス、リバーブなどは基本オフに設定。

 アンプ+キャビ、そしてディレイ。時々薄くコーラスやコンプをかける程度が実に気持ちよく弾けるように感じたからです。

 っていうかー、エフェクツやアンプ知識がないからシンプルにしか組めないだけともいう。なんてこったい!

 

 それでもトライ&エラーでいろいろプリセットを試していく所存なり。

 だってHelix/HXSTOMP+HX EDITって便利ですもんね。

 

 近々8弦用プリセットの話をもうひとつくらいアップするかも。

 内容はご多分に漏れず役立ちませんし、期待はしないように!(ビシィッ!)

 

 よし、20分ちょいで書いた! 頑張った!

 こんな感じで、ひとつ。

 

 blogを書けと言われたので「卯」の話。

 

 blogを書けと言われたので「卯」の話です。

 

 4月と言えば、卯月

 卯の花が咲く時期だから、うのはなづき。でウヅキだとか。

 ただし、これは旧暦でのことです。卯の花は5月から6月が時期ですから。

 とは言え、今は4月が卯月。

 

 こういう点からも、太陰暦と太陽暦の違いが浮かび上がってきますよね。

 

 

 

 

 卯とは。

 

 卯には幾つか意味があります。

 時刻だと、午前5時から7時。或いは午前6時。

 そして当然ながら、干支の卯。兎。

 

 

 古事記で兎と言えば、出雲神話に出てくる〈稲羽(稲葉)の白兎〉です。

 

 

 ってことで、出雲の神話=現在の島根県の物語、となっています。

 が、本当は因幡の話ではないかも、とか。

 古事記表記だと、因幡=稲羽。

 ここらは出雲神話の成り立ちが関係するようです。

 建速須佐之男命からの流れで、島根県を舞台にせざるを得なかった。

 

 なんて言いつつ、実は違う理由があるのではないかと思います。

 最初から島根の神話であった可能性の方が高いように感じるのです。

 神話の元になったものがあって、出雲地域の出来事と融合されたのではないか、と。

 この辺りは格と長くなるので割愛。

 

 

 

 古事記での表記。

 

 一度、古事記でのエピソードを見てみましょう。

 

 

故 此大國主神之兄弟 八十神坐
然皆國者 避於大國主神
所以避者 其八十神 各有欲婚稻羽之八上比賣之心 共行稻羽時 於大穴牟遲神負岱 爲從者率往

於是到氣多之前時 裸菟伏也
爾八十神謂其菟云 汝將爲者 浴此海鹽 當風吹而 伏高山尾上
故 其菟從八十神之教而伏
爾其鹽隨乾 其身皮悉風見吹拆

故 痛苦泣伏者、最後之來大穴牟遲神 見其菟言 何由汝泣伏
菟答言 僕在淤岐嶋 雖欲度此地、無度因

故 欺海和邇(此二字以音、下效此)
言 吾與汝競 欲計族之多小
故 汝者隨其族在悉率來 自此嶋至于氣多前 皆列伏度
爾吾蹈其上 走乍讀度
於是知與吾族孰多
如此言者 見欺而列伏之時 吾蹈其上 讀度來 今將下地時 吾云 汝者我見欺言竟 即伏最端和邇 捕我悉剥我衣服

因此泣患者 先行八十神之命以 誨告浴海鹽 當風伏
故 爲如教者 我身悉傷
於是大穴牟遲神 教告其菟 今急往此水門 以水洗汝身 即取其水門之蒲黄 敷散而 輾轉其上者 汝身如本膚必差
故 爲如教 其身如本也
此稻羽之素菟者也
於今者謂菟神也

故 其菟白大穴牟遲神 此八十神者 必不得八上比賣
雖負岱 汝命獲之

 上に貼ったリンクの内容と思って頂いて差し支えありません。

 こちらでも一度意訳的なものを書いてみます。

 いろいろ足してますが、御容赦を。

 

 さて、この大国主神には沢山の兄弟神がおりました。
 彼らは大国主神を国から追いだしてしまいます。
 それは、稲羽の八上比賣を娶りに向かう道中、大穴牟遲神(大国主神。まだ国造りをしていないので、大国主神ではない時期になります)を荷物持ちとして使うためだったのです。

(大穴牟遲神より先んじて)兄弟神が氣多(稲羽国 氣多郡)を通りがかったとき、皮を剥かれ倒れ伏せている兎に出会いました。
 兄弟神たちは兎に教えます。
「お前は、この海の水を浴びること。そして高い山の上に横たわり、風に当たることだ」
 神々の言葉を信じ、兎は言うとおりにします。
 塩を含む海の水が乾くにつれ、兎の皮が突っ張ってきます。それでもと我慢していると遂には皮膚が裂けてしまいました。

 兎が痛みと苦しさに泣き伏せっているところへ、大穴牟遲神が遅れてやって来ます。
「兎よ、お前は一体どうした訳で泣いて伏せっているのだい?」
 苦しい息の下から、兎は答えます。
「わたくしめは、淤岐島におりました。ですが、この地に渡りたかったのです。しかし渡る方法がありませんでした。そこで海の和邇(わに。鮫のこと)を騙してやれば、と思ったのです」

 それはこのような話でした。
 浜へ渡りたかった兎は和邇に声を掛けました。
「わたくしの一族と、あなたがた和邇の一族、どちらの数が多いのか比べてみませんか? あなたの一族がこの島から氣多の浜まで並んでくれたら、その背を踏みつつ数を数えてあげます。そうやってわたくしの一族とどちらの数が多いか調べられますよ」
 それは明暗と和邇たちは海の上に並びました。
 兎はその背を跳びながら、一応数えていきました。
 あと少しで浜へ辿り着く刹那、兎はうっかり口を滑らせてしまったのです。
「和邇の皆さんは騙されたのですよ。ふふっ。わたくしはただこの浜へ渡りたかっただけです。そのためにこうやって数を数えるためだと背を踏んで――」
 騙されたことに気付いた最後尾の和邇は、兎を捕らえ、その衣服(皮)を剥ぎ取りました。

「――皮を剥かれ苦しんでいるわたくしを哀れに思ったのか、通りがかった沢山の神々が〈海の水を浴び、高い山の上で風に吹かれればよい〉と教えてくれたのですが、その通りにしたところ余計に傷が悪くなったのです」
 大穴牟遅神は兎に助言を与えました。
「すぐにそこの河口へ降り、真水で体中を洗いなさい。河口近くに生えている蒲黄(ほおう。蒲の花粉。止血効果など薬効がある)を敷き詰め、その上に寝転がるのです。そうすればお前の身体の皮膚は治るよ」
 教えられたとおり、兎は真水で身体を洗い、蒲黄の上に寝ました。
 すると身体が元通りになったのです。
 すっかり回復し、元の白兎となったこの兎。今では兎の神となりました。

 白兎は大穴牟遅神に申し上げます。
「あの沢山の神々は八上比賣を得られないでしょう。荷物持ち(袋を背負った姿)だとしても、比賣はあなたを選びます」

 

 ということで、兎の言うとおり八上比賣は大国主神を選びます。

 ある種預言的ですよね。

 で。

 当の八上比賣は「八十神(大国主神の兄弟神)たちの言うことは聞きません。わたくしは、大穴牟遲神を選びます」と明言しちゃうんですね-。

 兄弟神の面目丸つぶれです。何故かって? それは単なる荷物持ちとして国から追いだした大穴牟遲神に全てをかっ攫われるんですから。

 当然この後、怒り心頭の兄弟神に大穴牟遲神は酷い目に遭わされます。

 その度に大怪我を負ったり、死んだり(!)する大穴牟遲神ですが、女神たちの力添えもあって再生を繰り返します。

 それだけではなく、その後も大穴牟遲神の周りには危険と助け、そして薬や治療という要素が大量に絡んでくるのです。

 

 そう。

 稲羽の白兎のエピソードから始まる大国主神の物語には〈死と再生。知恵と薬〉が深く関わってくると言っても過言ではないでしょう。

 そしてそれだけではなく、大国主神には沢山の女神たちが味方します。

 

 

 

 女神と大穴牟遲神。

 

 詳細は省きますが、大穴牟遲神を助けるのは大体に於いて、女神です。

 後にスクナビコナが大穴牟遲神に合流して国造りを共に行います。

 性別的には男性神のようです。大穴牟遲神を助ける存在に男性神が関わってきました。が、存在時代が謎というか結構特例的というか。もしかすると――これもまた調べがいのあるテーマになり得ますね。

 

 さて、女神。

 八上比賣は「八十神(大国主神の兄弟神)たちの言うことは聞きません。わたくしは、大穴牟遲神を選びます」と言いました。

 これはちょっと面白いことだと思います。それは何故かと申せば、八十神らは八上比賣の言うことを素直に聞いちゃうんですよ。あれだけ多人数で押しかけていたのにもかかわらず。

「あんたらのモンにはなりません。自分が選んだ大穴牟遲神がいいんです!」って八上比賣から無碍に袖にされたら、それを渋々ながらも受け入れている。

 物語のパターンとして、断った相手を武力などで制圧し、無理矢理にでも言うことを聞かせるとかあるじゃないですか? でも、神々はそれをしない。ある意味平和的に対話で物事を決めていると言えます(その後、大穴牟遲神に対し、結構ウルトラバイオレントな行動に出るけれどもだ)。

 彼らが逆らえない理由は多数考えられますが、ここでは割愛しましょう。

 ただし、兄弟神が大穴牟遲神を殺害しようとしたのは妬みだけではなく「大穴牟遲神を亡き者にすれば、我々にも機会がある」なんて目論んだからじゃないかなぁ。

 

 そうそう。

 八上比賣は稲羽の豪族の娘かつ、巫女だった説もあるんです。

 古代、巫女は神の声を聞き、王へ伝えました。

 王はその神託により政を行います。

 だから巫女は結構重要な役回りです。王より権力はないにせよ、何らかの決定権は持ち合わせていたのではないでしょうか?

 大穴牟遲神を選んだことに対し、他国の八十神は逆らえなかったのは巫女・八上比賣の発言だったから、なのかも知れません。

「於是八上比賣 答八十神言 吾者 不聞汝等之言 將嫁大穴牟遲神(八十神たちの言うことは聞きません。わたくしは、大穴牟遲神を選びます)」と古事記内ではサラッと表記されていますが、これだけではなかった可能性も。

 

 で、王と巫女。

 古代「男は武力で女性を護り、女性は呪力で男を護る」と言われていました。

 王と巫女の関係性に少し似ています。

 また、大穴牟遲神のエピソードには随所にそれを感じさせる場面が出てきます。

 男は身体が丈夫で力も強いわけですから、物理的に皆を護る、或いは力仕事を主に行う。

 女性は呪力が強いので、目に見えない力で皆を護りつつ、各種仕事をこなす。

 もちろん全てがその通りだったわけでもないのでしょう。

 ただお互いに「自分がやれることをやって、相手を護る、思いやった」結果のような気がします。

 現代においても、大事なことだなぁと思います。はい。

 あ。現代も女性の呪力についての話がありますですヨ?

 これに関しては、そのうちどこかで語るか、本で書くかなぁ……。

 

 

 

 新年度がやって来た。

 

 

 ってことで4月。

 社会では新年度の始まりです。

 旧暦だと2月にお正月でしたが、4月もある意味で新しい年の始まりなのでしょう。

 

 去年が卯のうさぎ年で、今年は辰年。

 わたくし個人的な感覚だと、兎のジャンプ力から龍の飛翔で〈大きな飛躍〉の流れになっている、ということにしています。

 

 卯月であるこの四月。

 春の始まりですから、思い切っていろいろ飛び出してもいいのかも知れませんね。

 え? わたくし?

 今年は沢山出かけることを心がけていこうと思います。

 いやー、ほら。まあ。ねえ?

 ……いろんな所へ遊びに行きたい……ッ。

 だけですけれども!

 

 えーっと。新年度からも久田樹生をご愛顧下さいますようお願い致します。

 皆様の応援あってこそ、小説を書いたり、取材に行けたりしています。

 いつもありがとう御座います。

 

 より一層頑張ります!