カウンセリングの体験談をいただきましたので、掲載させていただきますね。
いただいたのはもっと前なのですが、私の方でどうコメントして良いかわからないところもあって、しばらく置いたままになっていました。
ひとつは、体験談を読んでみて、そんなふうに思ってくれていることに私はあまり気付いていなかったなあと思って、ありがたいというのと同時に、私は彼女の声を、一生懸命聴いているようで聴き取れていなかったのだなあという申し訳なさを改めて感じたりしています。
書いてくれたのは、Sちゃん。
最初に出会ったのは彼女が10代終わりの頃。
Sちゃんの結婚を機に住まいが遠くになってしまったこともあり、カウンセリングはだいぶ前に卒業しています。
でも、私がオフィスをかまえたのを応援するために、わざわざ体験談を寄せてくれました。
本当にありがとう。
Sちゃんは、色んな活動の責任者を引き受けたり、難しい資格試験に合格したり、スポーツに没頭したり、出来ることがいっぱいある人なのですが。
でも、すごく自分に自信がなくて、自分がこの世界の中にいていいのか、絶えず問いかけているようなところがあります。
それは、自分なんかが幸せになってはいけないという呪いを、いろんな体験から信じてしまったのもあるのだろうなと思います。
そして、呪いというのはとてもやっかいで、解こうとすればするほどに複雑に絡まっていってしまったり。
それでも、Sちゃんは、呪いを解く方法がわからなくても、否応なしにそれを共存しながら生きる術を一緒に模索していってくれました。
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『私の支え』
私は複雑な家庭に生まれて、そのせいで心に闇を持った。
さらにずっとイジメを受けたせいで、心の闇は膨らみ、自己嫌悪に満ちていた。
そんな私が、先生と初めて出会ったのは、大学の学生相談室だった。
たわいのない会話から学生生活の悩みを話す中で、この人になら自分の内心を話しても大丈夫じゃないかと思うようになった。
以前人を(心理的に)傷つけた経験から、誰にも話せずにいた自分の生い立ちや闇を、少しづつ話した。
そのカウンセリングは、解こうとすればさらに絡まる難解な知恵の輪を、解いていくようなものだった。
学生相談室で受ける内容では決してなかったのに、いつも真摯に向き合ってくれた。
卒業する時には、心の闇をコントロールし扱えるようになった。
社会人になっても、様々な理由で躓いていたけれど、カウンセリングを再開してくれたり、病院を紹介してくれたり、時には上司に会って話してくれたりと、先生はいつも力になってくれた。
結婚を迷っていた時、いつになく背中を押してくれたのを覚えている。
結婚して環境が変わると、今までの辛さから少しづつ開放され、しばらく落ち着いた生活を送ることができた。
しかし、産後再び心の病になった。
その病は一気に私を壊し始め、気が付いた時には、院内で暴れ叫び拘束されていた。
入院中、電話の向こうで、先生は「大丈夫だから」「絶対良くなるから」と、長い付き合いの中でも、聞いた事ない口調で励ましてくれた。
急な出来事に硬直していたが、その言葉で温泉でも入ったかたの様に身体がほぐれていった。
今も、病気の後遺症や子どもの発達不全等、悩みはあるけれど、ちょっと辛い時、先生の声を聴くと安心できる自分がいる。
どんな時も遠慮なく吐き出せる。
そんな人が存在するだけで、心が強くなれる。
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私が結婚を強く後押ししたのは、旦那さんとなる人が、Sちゃんがこれまで頑張ってきた道のりを、きっと感じてくれる人だろうと感じたからです。
深い孤独の中にあるからこそ、孤独さが共鳴するということが、人生にはままあるものです。
これまでにも、大学の先生たちや職員さんたち、お医者さんや看護師さん、たくさんの人が、Sちゃんを大事に思ってきていたし、私はそれを見てきました。
でも。本当の意味で孤独を癒すためには、とことん孤独の極まで行かなければいけない時もあるのかもしれないと思うことがあります。
正直その道のりは、他人には手出しできない時もあったりするのですが。
それでも、つながっているということがただただ大事なこともあるものですし、仮にもしこれから私がSちゃんともう会うことがないとしても、私はこれからも、Sちゃんの関係者のひとりであり続けたいと思っています。