成田市議会9月(2019年) 一般質問 星野慎太郎

 

①子ども・子育て支援及び教育現場の福祉的課題について

1) 子どもの貧困対策の推進に関する法律の改正について

2) 総合的に子どもを支援する専門部署について

3) 第2期成田市子ども・子育て支援事業計画について

4) スクールソーシャルワーカーについて

5) フリースクールについて

②動物の環境・福祉問題について

1) 飼い主のいない猫の不妊手術及び去勢手術費補助金制度について

2) 公益財団法人どうぶつ基金の活用と愛護団体との連携について

 

 

本年612日、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」いわゆる「子どもの貧困対策法」の改正案が、参議院本会議にて、全会一致で可決、成立致しました。

本改正案は、従来の「子どもの貧困対策の推進」に加え、子どもの貧困の解消を目的とし、「児童の権利に関する条約」の精神にのっとり、子どもの権利を尊重し、子どもの「将来」だけではなく「現在」の生活などに向けても状況の改善を行い、子どもの貧困対策を総合的に推進することを規定すると共に、子どもの最善の利益が優先考慮されること、貧困の背景に様々な社会的要因があることなどが基本理念に明記されました。また、ひとり親世帯の貧困率、生活保護世帯の大学などの進学率を「貧困の指標」とすることなども、新たに盛り込まれ、従来の法律では、各自治体が行う「子どもの貧困対策計画の策定」については、これまで都道府県となっておりましたが、今回の改正により、市区町村にも努力義務として拡大されたことが、大きな改善点であり、地域の実情に合った対策の推進を目指すことと、されております。

千葉市では、2017年度から「子どもの貧困対策 推進計画」が、はじめられており、経済的困窮を理由として、教育機会が均等となっていない状況、または、心身ともに、健やかに育成される環境が、保障されていない状況にある子どもや若者とその家庭であれば、大学などを卒業し、自立に至るまでの概ね20代前半までを対象として、幅広く支援をおこなう、としております。親から子への「貧困の連鎖」を断ち切るため、行政が責任をもって見守っていく姿勢が強く表れております。

そこで、お伺いいたします。

1つめ、成田市はこの努力義務をどのようにお考えか、お伺いいたします。

2つめ、今後、努力義務遂行に向けての計画策定など、進め方についてお伺いいたします。

3つめとして、まずは、本市において実態調査を行い、「子どもの貧困対策計画の策定」、という流れになると考えますが、今後の実態調査の予定について、お伺いいたします。

次に、総合的に子どもを支援する部署についてお伺いいたします。

子どもの貧困対策は、教育支援から住宅・福祉支援なども含み、親への支援から子どもへの支援、現金給付から現物給付など、多岐にわたります。行政の縦割りを排除し、本人の立場にあった、総合的な支援が必要であるため、庁内において、窓口を一元化し、総合的な専門対策部署が必要と考え、既に動き出している自治体も増えております。その先進的な自治体のひとつに、大阪府 箕面市がございます。箕面市は成田市とほぼ同じ、およそ13万5千人の人口を擁しております。箕面市では、親から子への「貧困の連鎖」の根絶を重点課題として、教育委員会「子どもの未来創造局 子ども成長見守り室」という専門部署を設置しております。また、支援が必要な子どもの早期把握を目指して「子ども成長見守りシステム」を2017年度に導入しております。この「子ども成長見守りシステム」は、市内の0歳から18歳の約2万7千人について、生活保護の受給状況、学力や生活状況などのデータを集約し、年に2回、支援の必要性を判定しています。2017年の冬の判定では、重点支援が必要とされた小中学生が477人だったそうですが、このうち、212人は、教育現場においては、必要性を認識できていなかったようですが、その後は、子どもたちに、こまめに声を掛け、様子を見守るなどの対応をとることができたそうです。

また、東京都足立区では、子どもの貧困に関する指標を独自に設定し、この指標に基づき、子どもの状況を確認しています。沖縄大学の児童福祉を専門とする山野良一教授は、朝日新聞に「貧困状態にある子どもを見つけ、支援に繋げることは、市区町村にこそできることで、努力義務化した意義は大きい。」とコメントしております。

総合的に子どもを支援するためには、本人の状況や家庭の状況を踏まえた、総合的な支援が必要と考えますが、市のお考えをお伺いいたします。

次に、「第2期 成田市子ども・子育て支援事業計画」について、お伺いいたします。

現在、本市では、2019年度までを計画期間とする「成田市子ども・子育て支援事業計画」により、①就学前児童の家庭への支援の充実、②学童期を伸びやかに育む環境づくり、③子育てを応援する環境づくり、という3つの基本目標に基づき、施設整備や各子育て支援施策を展開してきております。現在の「成田市子ども・子育て支援事業計画」の実績を踏まえ、また、昨年度行われました「ニーズ調査」の結果を反映するであろう、第2期計画の方向性について、お伺いいたします。

次に、スクールソーシャルワーカーについてお伺いいたします。

千葉県のスクールソーシャルワーク事業は、平成26年度に派遣型として、スクールソーシャルワーカー5名で始まり、本年度は39名へ増員されました。スクールソーシャルワーカー数は増えておりますが、勤務時間は現在も、ひとり、年間543時間、17時間45分以内とされております。これは、1週間に1日または2日という少ない勤務日数は変わっていない状況です。北総教育事務所管内の、美郷台小学校配置のスクールソーシャルワーカーは、成田市・富里市・八街市・酒々井町・栄町の5市町を担当しており、県内スクールソーシャルワーカーの総数は増えましたが、ひとりひとりの勤務時間数については、改善の必要性を求める声が、現場のスクールソーシャルワーカーからも上がっております。

私は、成田市独自で、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉等の専門的な知識・技術を用いて、支援を行うスクールソーシャルワーカーを配置し、専門的な分野から児童生徒の環境に働きかけ、教育相談体制を整備することを必要と考えますが、市のお考えをお伺いいたします。また、この場合、正規職員としての採用についても、併せてお伺いいたします。

次に、フリースクールについて、お伺いいたします。

 フリースクールとは、一般に、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設を言います。平成27年度に、文部科学省が実施した調査では、全国で474の団体・施設が確認されております。その規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性・主体性のもとに、設置・運営されております。

本年7月31日時点では、成田市内の小学校の不登校児童は14名・中学校の不登校生徒数は71名、合わせて85名の不登校児童生徒数となっております。教育委員会では、教育センターにある「ふれあいルーム21」を整備し取組んでおりますが、不登校の児童生徒数のすべてに対応する事は、難しいと思われます。

「フリースクール」と連携をとり、情報を共有し、取組んでいる自治体も増えております。東京都世田谷区では、公設民営のフリースクールが話題となっており、東京都葛飾区では、小学校の廃校を自治体から無償で借りる形でフリースクールとして利活用している民間団体もございます。

千葉県では、2003年にNPO法人東京シューレが、千葉県教育委員会と協働して、不登校の子どもたちのための新しい居場所づくりの活動として開設されました「フリースクール流山シューレ」などがございます。各自治体での取り組みが増えてきている中、成田市でもさまざまな理由や状況により、不登校になっている子どもたちに「学ぶ環境の選択肢を広げることが、子どもたちにとって必要」かと思います。フリースクールについて、本市のお考えをお伺いいたします。

 

次に、動物の環境・福祉問題についてお伺いいたします。

先月18日、千葉県弁護士会館にて「生活困窮者とペット問題」の講演会とシンポジウムがあり、参加して参りました。講演者及び参加者は、弁護士、獣医師、健康保険福祉センター、いわゆる、保健所の職員、千葉県中核地域生活支援センターの職員、千葉県動物愛護推進員、動物愛護団体の方々、そして地方議会議員も何名か参加しておりました。講演会では、生活困窮者が高齢や入院など、何らかの事情により、ペットが残された場合、あるいは、飼い主が法を犯して刑期を受けている期間の、ペットの保護など、誰が世話をするのかという問題提起から、実際の解決策などが紹介されました。体験談を紹介して下さった千葉県弁護士会の及川弁護士は、被弁護人が飼っていた犬2頭を動物愛護センターから引取り、新たに飼ってくれる里親を見つけるまでの費用35万円は、自費でした、とお話しされていました。この度のシンポジウムにおいては、飼い主のいないノラ猫についての問題も含め、これらは「動物の保護問題」社会全体の「福祉の問題」「環境問題」であるということに達しておりました。そして、民間ボランティアだけでは解決することは難しく、民間ボランティアと行政との連携が必要不可欠という、お話しでございました。

成田市においては、民間の愛護員と環境衛生課で、民間と行政の連携が行われており、「飼い主のいない猫の不妊手術及び去勢手術費補助金制度」がございます。

この「補助金制度」は、3年目を迎え、環境問題への対策としても、とても画期的な制度でございますが、千葉県浦安市では、2011年度から飼い主のいない猫の繁殖を、より一層抑制するために、全額助成を行っています。現在の成田市の補助金制度では、愛護員の方が不妊手術の一般手術費用2万円から25千円を全額支払った後に、市から補助金をいただく流れとなっており、愛護員の方の負担が大きいと言えます。今後の活動を広げていくためにも、

全額助成についてどのようにお考えかお伺いいたします。また、全額支給への方向性が整うまでの期間においては、手術費用を支払う際、あらかじめ、補助額を差し引いた額で費用負担ができるよう、愛護員の負担軽減についても、お考えいただきたいと思いますが、お考えをお伺いいたします。

 

最後に、「公益財団法人どうぶつ基金」の活用と愛護団体との連携についてお伺いいたします。

動物の適正な飼育法の指導・動物愛護思想の普及等を行い、環境衛生の向上と思いやりのある地域社会の建設に寄与することを目的とする「公益財団法人どうぶつ基金」という組織がございます。このどうぶつ基金は、全国から集まった寄付金を利用し、飼い主のいない猫の不妊手術費への全額援助を行っております。

「飼い主のいない猫」の不妊手術 及び 去勢手術時に利用したい場合には、あらかじめインターネットで登録し、チケットを申請することで、有効期限つきの無料チケットがいただけます。ボランティアの方は、そのチケットをもって、あらかじめ予約しておいた指定動物病院へ、捕獲した猫を連れて行き、無料で手術を受けることができます。

しかし、成田市内には、その無料チケットを使用できる動物病院がございません。私は、先日、本市において飼い主のいない猫を捕獲した方が、公共の交通機関を使って、捕獲された猫を、松戸市にある指定登録動物病院まで連れて行く、とのご相談を受けましたので、私の自動車で、その方と捕獲ネコと一緒に行って参りました。

病院でのノミ駆除費用は、捕獲された方の自費となりますが、およそ2万五千円の手術費用は、チケットにて無料となりました。捕獲された方にとっては、負担が少なく済みました。今回は、猫を捕獲された方が個人で、「公益財団法人どうぶつ基金」に登録し、チケットを請求致しましたが、実は、このどうぶつ基金には「行政枠」という申請方法もございます。自治体が行政枠で申請を行うと、申請枚数も個人申請よりも多く確保できます。自治体によっては、ボランティアの方々のために、上手に利用されているところもございます。千葉県我孫子市では、この行政枠を活用し、2018年度は70枚、2019年度は100枚の無料チケットを取得し、ボランティア団体に渡すことで、ボランティア団体の活動をサポートしております。民間ボランティアと行政が連携し協力し合うことで、大きな成果を出しているようでございます。成田市においても、このどうぶつ基金のチケットを行政枠で取得していただき、ボランティア団体と連携できないかと考えます。

 行政枠で取得したチケットは個人で使用することはできず、必ずボランティア団体が必要となります。

これまで本市においては、ボランティア団体がなく、ほぼ、飼い主のいない猫を捕獲された方は、不妊手術などを自費で支払っております。

しかし、先月、成田市在住のボランティア有志が集まり、猫の愛護団体がスタートいたしました。

ボランティア団体と連携し、どうぶつ基金のチケットを行政枠で取得し、動物福祉及び環境問題解決に向けて、今後サポートしていくことについて、本市のお考えをお伺いいたします。

 

成田市 市議会議員

星野慎太郎