キャリアパス導入前夜 | 介護経営お助け塾~介護の経営は必ず改善できるんです~

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キャリアパス要件の発表が近づいてきました。3月5日の全国介護保険・高齢者保険福祉担当課長会議にて提示されるとの見方が一般的のようです。キャリアパス要件とは、昨年10月から導入された介護職員処遇改善交付金の今年2月から始まった第二期以降の交付金支給の要件であり、この要件を満たさないと交付金は減額されるとされています。そして、この第二期の介護職員処遇改善交付金の申請はやはり低調のようです。


さて、キャリアパス要件については個人的な予想では職員数、事業者数によって段階を踏むと考えています。例えば、正職員の介護職員がサービス提供責任者(以下、サ責)1名で、あとは時給で直行直帰の登録ヘルパーという一般的な訪問介護事業所にキャリアパス要件を導入すると言っても、事実上意味を成さないのです。仮に勤続3年以上もしくは介護福祉士を取得すると正職員として雇用し、サ責として主任扱いとするなどという給与規程を作ってキャリアパス要件に適合させても、その事業者の利用者が増加して雇用される登録ヘルパーの人数が、法令で定められているサ責一人当たりの上限数を上回らない限りは当該事業者にとっては意味のない賃金の上昇と経営負担増以外の何ものでもないのです。従業員10人以下の事業所は就業規則を届け出る規程は無いのですから尚更のことです。仮に一律で要件を規定した場合は今後の介護職員処遇改善交付金の申請が激減することは明確です。


施設系および一定規模以上の訪問系、通所系、地域密着系の事業所は4月以降にキャリアパス要件を満たすための就業規則、給与規程などを見直しと作成が必要となります。個人的な推測で、今年の9月一杯が猶予期間ではないのでしょうか。


一言で就業規則、給与規程などを見直しと言っても、事はそう単純ではありません。キャリアパス要件を反映される場合は基本的に昇給が伴います。介護職員処遇改善交付金の受給目的だけで簡単に給与規程を作ったとします。H24年3月で現行の介護職員処遇改善交付金は終了しますが、その時点で給与規程を元に戻すことは並大抵ではありません。減給を伴う就業規則、給与規程の改正は多くの問題を引き起こします。


キャリアパスの本来の目的は「事業経営の安定と成長」です。確かに職員の処遇改善やモチベーションの向上が期待出来ますが、それは二次的なもので、本来の介護事業経営を伸ばさないと給与も処遇も改善することが出来ないのです。繰り返します。キャリアパスの目的は「事業経営の安定と成長」です。


キャリアパス要件を満たす場合、一番大切なことは「経営理念と経営計画に沿ったキャリアパス」を導入することです。貴方の介護事業所の存在意義は何か。それを満たすためにいつまでに何をすれば良いのか。それが「経営理念と経営計画」です。その実現のために、職員に求める経験や資格は何かを明確にして、その早期実現のためにキャリアパスを導入して就業規則、給与規程を見直すのです。それは、各々の介護事業者によって千差万別です。間違っても今後出てくるであろうキャリアパス要件に添った汎用の雛形を使って届け出る事だけはお止めください。


また、全てを社会保険労務士に依頼することも厳禁です。可能な限り、コンサルティングが出来る税理士、介護経営コンサルタント、社会保険労務士および介護施設、事業所の経営者、幹部職員とプロジェクトを組んで「経営理念と経営計画」を時間を掛けて組み上げてください。それによって初めてキャリアバスを導入する意義があります。


キャリアパスは、職員にとっての「キャリアの道(パス)」である以上に、介護経営にとって「安定と成長の道」なのです。