「雪が降る前に」(2013・ノルウェー/ドイツ/イラク) 67点
Før snøen faller / Before Snowfall (Kurdish / German)
2/15 ユーロスペース/トーキョーノーザンライツフェスティバル2017


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イラク出身、ノルウェーで活躍するヒシャーム・ザマーン監督作を2作続けて鑑賞。

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イラクの山村で暮らすクルド人の少年、シアール。
隣村の金持ちと姉の縁談を受け入れ、結婚式も間近に迫ったある日、姉が失踪する。
本当に愛する人と一緒に居たいと、家族に隠れて付き合っていた男と逃げたのだ。
若くして父親を亡くし、一家の長として責任ある立場のシアールは、一族の名を汚した姉を見つけ出して殺すと誓って村を出る。

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姉の消息を追い国境を越え、トルコ、ギリシャ、ドイツ、ノルウェーを旅するうち、スラム街でスリや窃盗を生業とする少女と出会い親しくなる。

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本作は“名誉殺人”がテーマらしいんだけど、少女と出会うことによって少年の目的がちょっとブレる。
初めは姉の行方を追って密入国を繰り返してるんだけど、途中から少女を密入国させるのが目的、みたいになって。

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最初の目的からはブレてるんだけど、その辺りで少年がやっと人間らしくなって来る。
少年は初めて自分の意志で決断したことによって、姉の気持ちを理解し始める。




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シアール少年の眼力が凄い。そして常に無表情。何を考えてるのか分からない。
一族の…更には村の名誉を背負った刺客となるのは、16歳の少年にとってはかなりの重圧であったろうに。

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冒頭の、ラップでぐるぐる巻きになり石油タンクに潜って密入国するシーンが印象深い。
もうここから、良い結末になる気が全然しない。
実の姉を殺したとしても、殺さなくても、その責任を…想いを一生背負うんだろうな、と。

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村を旅立った時から、一歩も後には引けない。
いや、そもそもあの村に生まれついた時から後には引けない運命だったのだな。
エンディングでそんなことを思いながら、一族の行く末に胸が締め付けられた。