「黄金のアデーレ 名画の帰還」(2015) 65点

有名なクリムトの名画「アデーレ・ブロッポ=バウアーの肖像1」
その肖像画を巡る、約1世紀にわたる物語り。

「あれは叔母の肖像画だから、唯一生存している身内の自分に返して欲しい」
そんな老婦人マリアの訴えを荒唐無稽と鼻で笑ったのは、駆け出しの弁護士やオーストリア政府だけじゃない。
この作品を見ている我々も、はじめは絶対に無理だと思ったはずだ。

正確に言えば、史実に基づいた話なので結果は明らか。
だがワタシはこの結末も経緯も知らなかった。

なので、ストーリーがひも解かれるままに、その絵画の歴史、マリアとその家族の歴史、オーストリアの負の歴史を見せつけられた。

常に気丈で上品なマリアが「故郷のオーストリアには二度と帰りたくない」と子供のようにダダをこね怯える辛い過去…胸が締め付けられる。


親戚だからというだけの理由で呼ばれた新人弁護士ランディ。
この血筋が後にターニングポイントになり、人生を懸ける大仕事に腹をくくる。
その表現も説得力がある。

あの金ピカ
で派手な絵画の裏に、辛く苦しい悲劇があったなんて…皮肉だ。
でもあの艶やかさが人を惹き付け、国の象徴やプライドとなってしまったんだろう。

オーストリアで情報提供・協力する地元記者にダニエル・ブリュール
画家クリムト役は「es エス」(2002) のモーリッツ・ブライブトロイ

若きナチス将校ハインリッヒ役に「コーヒーをめぐる冒険」(2012) のトム・シリング

同じルーツを持つ二人が力を合わせ、巨大な敵と常識に立ち向かう。
時に挫折し打ちひしがれ、励まし合い、信頼できる戦友となってゆく様子も感慨深い。
