「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(2014) 67点
史実もの、戦時ものというよりも
影の偉人、アラン・チューリングに焦点を置き、
マシーンのような冷静さを持ち合わせた天才の、
より人間臭い、数奇な人生を描いた本作。
今では当たり前となったコンピューターの生みの親。
そしていつの時代も、技術革新の裏には戦争がある。
国政は多額の費用をかけてそれを開発する。
それは分かっちゃいるんだけど…
こんな人間ドラマ、こんな苦悩があったんだね。
暗号を解読するのも難問、
それを解読したあとの使い方もまた難問。
いくら戦争とはいえ、解読できたら
さぞ達成感があったんだろうと思ったのに。
偉業を成し遂げたところで国家機密。
誰にも自慢出来ず、それどころか
どの情報を活かしどの情報を見逃すか。
イコール、誰を生かし誰を見殺しにするのか。
より重い責任を背負ってしまった天才。
「秘密を守るのは得意だ」と嘯く。
それはもっと前から、
ずっと大きな秘密を持っていたから。
この時代でなかったら…
もっと後世に生まれていたら…。
それでも天才はこれ程苦悩したんだろうか。
これ程までにコンピュータは普及してたんだろうか。
(……近い機械は発明されていただろうし、
いつの時代も天才は孤独だ。)
…だとしても、この名も無いヒーローの生涯には
胸が締め付けられた。
そんな中、ジョーンという女性の存在が唯一ほっとできた。
これ程までに想い合い、解り合える存在が
人生の中で1人でも居たということが、
人としては偉業よりも大事なことなんじゃなかろか。
(キーラ・ナイトレイが到底天才に見えないところがちと残念ww)
何よりもカンバーバッチのキャラが素晴らしい
一見冷酷で嫌味なのに憎めない、トボケた表情。
天才故の孤独と焦り。絶望。
こんなん演らせたら、いま彼の右に出る者は居なかろう。