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日記

閉鎖中。

【身毒丸】

まなざしの
おちゆく彼方ひらひらと
蝶になりゆく
母のまぼろし
てのひらに
百遍母の名を書かば
生くる卒塔婆(そとば)の
手とならむかな

(呟き、誰にともなく、)

アノ、つかぬことを伺いますが、この近くに鉄道線路はないでしょうか。数日前、すぐ近
くで汽笛の音をきいたのですが、どう歩いても、線路が見つかりません。ぼくの乗る汽車
はもう発ってしまったのか、それともまだ来ないのか……。ねぇ、きみ、ぼくは迷子にな
ってしまったのか。ぼくは自分の乗る汽車が見たい。その汽車は死んだ母の許へとぼくを
連れて行ってくれる筈なのです。母のいる場所が、どんなところだろうとぼくは構わない。
死んだ母に一目会いたい……。ああ、また汽笛が……。

(うずくまる身毒丸。)