葛飾北斎の「富嶽三十六景」全作品;5億円超で落札 | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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江戸時代の浮世絵師「葛飾北斎」の代表作「富嶽三十六景」の全46作品が3月19日、
米ニューヨークの「クリスティーズ」でオークションにかけられ、355万9千$(約
5億3500万円)で落札された。
「クリスティーズ」によると、全作品が揃ってオークションにかけられるのは 約20年
ぶりのことである。落札者は明らかにされていない。

「富嶽三十六景」は、富士山を背景に立ち上がる波を描いた「神奈川沖浪裏」や 赤富士
を描いた「凱風快晴」などを含む北斎の代表作として知られる。
出品者は、インド出身で「米ペンシルベニア大学ウォートン校の教授」を務めた70代
男性であり、北斎が描く富士山に魅せられて2013年から収集を始めた由。
約300万$を費やして 2023年1月に全作品の収集を完了した。「世界に存在する
完全なコレクションは10にも満たないだろう」と報じている。
北斎の作品は 世界的に評価され、「クリスティーズ」のオークションでは、2023年
3月に、「神奈川沖浪裏」が276万$(約4億1500万円)で落札されている。
 
小生が愛読する日経新聞3月23日付けの朝刊コラム;【春秋】から、一部加筆の上で
引用して紹介する。

ゴッホは弟で画商のテオあてに、膨大な数の手紙を書き送った。

その中にこんな一文がある。「もしただ正確な色彩とか、ただ正確な素描とかで描いた
だけならば、そうした感動を引き起こさないだろう」と。
江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の作品の魅力を伝える言葉だ。

浮世絵の明るい色調やモチーフの思い切った単純化、斬新な構図がかつて西欧の芸術家

を驚かせたことはつとに有名だ。

とりわけモネやゴッホなど、「公式の『サロン』(官展)から閉め出された前衛的画家
たち」(高階秀爾著「西欧絵画の近代」)に大きな影響を与えて、美術の歴史に新たな
一ページを開く起爆剤になった。

そんな日本の絵師の一人である葛飾北斎の「冨嶽三十六景」が、米ニューヨークで 競売

にかけられて、5億円を超す金額で落札された。

高い国際評価は貧しさに耐えながら、様々な流派の技法を取り入れ続けた画業の成果だ。
そしてシンプルな線で豊かな世界を描く技は、現代の漫画やアニメの表現の核にもなり、
いまもなお生き続ける。

「日本はスゴイ的な安易なノリ」には、ときに違和感を覚えることもある。でも芸術家が

心から発した賛辞なら素直に受け止めて、人の心を震わす創造のバトンを未来へつなぐ力

としたい。

ちょっと面はゆくもあるが、最後に再びゴッホの手紙から。「日本人がその作品のすべて
のものにもっている極度の明確さを、羨ましく思う」。