「コロンブス」と「契約理論」 | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

尾張エクセルの「日々精進ブログ」

木曽の清流に映え、心触れ合う躍動都市;愛知県一宮市に活動拠点を置く、尾張エクセルです。保守政権を応援しつつ、経済・社会・軍事防衛まで、地域や国内、海外の気になる出来事や話題を、独断と偏見溢れる一味違った目線でブログ提供します。

日経新聞の10月12日付け朝刊一面コラム「春秋」に、こんな素敵なコラムを見つけたので

今回のブログで一部加筆訂正の上で引用して紹介する。

 

 

“今日は世界史を変えた日である。1492年の10月12日、大西洋を渡った「コロンブス」は

陸地を見つけた。「黄金の国;日本はすぐそこだ」と思い込み、島を「サン・サルバドル(聖救

主)」と名付けた。「新大陸到達」を機に欧州との新しい航路が開け、世界は様変わり。

冒険家は企業家でもあった。航海事業に投資をした「スペイン~イサベル女王」とは 「サンタ

・フェ契約」を交わしている。こんな内容である。

見つけた大陸や島で『総督』になれる。交易で手に入れた金銀や宝石・香料などの10%を

無税でもらえる」という内容だ。契約を通じ投資家と企業家が利益を分け合う。この仕組みは

時代を経て、いまの株式会社につながっていく。

 

2016年のノーベル経済学賞は、米「ハーバード大学のOliver Hart氏」と、米「マサチュー

セッツ工科大学のBengt Holmstrom氏」が共同受賞。授賞理由は「契約理論への貢献」。 

Holmstrom氏は1970年代後半、「プリンシパル(例;株主)」が「エージェント(例; CEO)」

の行動の一部を把握できない場合に、「エージェントとの最適な契約をどのように作成すれ

ばよいのか」を実証した。Holmstrom氏の「インフォーマティブネス原則」は、「契約」がエー

ジェントの実績に関連する情報と報酬額をどのように結びつけるのかを正確に説明した。

その後、Holmstrom氏はこの原則をより現実的な条件に適用できるよう一般化した由。 

 

現代の経済は無数の契約により結び付けられている。Hart氏とHolmstrom氏は契約理論

を基礎研究の肥沃なフィールドに変えて、「利害の対立する双方に利益をもたらす最適な

契約の決定方法」は、様々な分野での政策決定における知的基礎となっているとのこと。

 

 

今年のノーベル経済学賞は「契約理論」を確立した米国の2人の教授に決まった。投資家

である株主と経営者がどんな契約をすれば、会社組織がうまく回るかを研究した。面白い

のは「契約が万能ではないと分かった」ことだ。すべてを具体的に決めておくのは難しい。

「想定外」は起きる。「そのとき、誰が対応するか」が重要だそうだ。

 

コロンブスは想定外に苦しんだ。住民との争いや熱病の流行で植民地経営に失敗する。

契約と違って、行政権を奪われ失意の中で没する。

他方で 東京オリンピックの「契約」はどうか。総費用が3兆円超にまでも膨らんで、計画を

見直したい。だが、「国際公約とどう折り合いをつける」のか・・・。「誰が収める」のか・・・。

へたをすれば「歴史に残る研究例」になるのかもしれない。”