健康保険の被保険者が私傷病で労務不能な状況になったときに、休業補償をしてくれるのが傷病手当金です。業務上の傷病で休業した時には労災保険の休業補償給付があります。
今回の法改正により、3日連続の休業待期期間を経過した後の報酬のない労務不能期間に対して、その支払日から起算して通算1年6か月に達する日までが支給期間となります。昨年までは1年6か月の期間の中に一時的に健康が回復して就業した期間があると1年6か月に含まれていました。うつ病など精神障害で休業、就業を繰り返していますと1年6か月の支給期間であっても、実際の支給対象となる期間が短くなることがありました。
傷病手当金の支給期間が1年6か月あるのに実際の支給期間が短くなる人がいるのは不公平という意見があり、令和4年1月1日より改正され、「支払日から通算1年6か月に達する日までを支給期間とする」ように変更となりました。
対象は今年から傷病手当金を受給される方だけではなく、令和2年7月2日以降に支給が開始された方も対象になっていますので、該当される方にとってはうれしい改正です。
精神障害だけでなく、中高年層ではガンなどの治療も働きながら行う人が増えてきており、治療のスケジュールに合わせ、傷病手当金を柔軟に利用できるようになっています。
ご参考
※1日あたりの支給額=支給開始日以前12か月間の標準報酬月額を平均した金額÷30日×3分の2
※法律名称「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」
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社会保険労務士 関口 龍太
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