20歳になると国民全員が国民年金に加入することになります。会社などで働き給与から厚生年金保険料を天引きされている人などを除けば、学生もフリーターも国民年金保険料を納める必要があります。

 

しかし国民年金保険料は月16,610円(令和3年度)であり学生が納付するには厳しい金額です。そこで学生については申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」があります。令和3年度分を申請できるのは令和2年度分の学生本人の所得が「128万円+扶養親族等の数×数+社会保険料控除等」以下の場合です。

 

国民年金制度はご存知の通り65歳に達した時から老齢基礎年金を受給できる制度ですが、万が一傷病を受け重い障害を負った時にはその後遺障害認定日から障害基礎年金を受給できる制度でもあります。例えば交通事故で重い後遺障害を負った学生が学生納付特例の申請をせず、国民年金の保険料を納付していなかった場合、未納と判断され、障害基礎年金を受給することができません。学生納付特例の申請さえしていれば、保険料納付が免除され、納付をしていなくても、障害基礎年金の受給対象となるのです。

 

この保険料免除期間は保険料納付済期間に合算できるため、障害年金受給申請時に保険料納付要件を判断するうえで重要な役割を果たすことになるのです。

 

障害年金制度の保険料納付要件は

①初診日の前日において

②初診日の属する月の前々月までの国民年金の被保険者期間のうち

③保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること

となっています。

 

以前障害年金のご相談で精神障害による受給申請を考えられた若い方の納付要件を調べたところ、学生納付特例を申請していなかったばかりに納付要件を満たせず、障害年金の受給申請を断念せざるを得ないことがありました。この方の症状は重く障害等級2級に該当しており、年金額は約78万円になる見込みでした。

 

このように国民年金制度は老齢基礎年金だけではなく、いつ起きるかわからない障害の年金もあることを忘れず、学生の方には住民票を登録している市(区)役所に学生納付特例の申請をしていただきたいものです。

 

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社会保険労務士 関口 龍太
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