遺産相続で行政書士の口座にお金を入れるのは弁護士法違反になるかにつて
この点は、行政書士の業務範囲と弁護士法第72条(非弁行為の禁止)の関係で慎重に考える必要があります。
🔹遺産相続に関連して
行政書士の口座に相続人のお金を一時的に預ける行為は、目的と扱い方によっては弁護士法違反(非弁行為)になるおそれがあります。
🔹理由は次のように考えます
行政書士ができること
行政書士は、
- 相続関係説明図や遺産分割協議書の作成
- 戸籍の収集
- 官公署に提出する申請書の作成
などの書類作成業務を行うことができます。
これらは「代理行為」ではなく「代書行為」です。
行政書士がしてはいけないこと
次の行為は弁護士法第72条により禁止されています。
- 相続人間の紛争を代理して交渉する
- 「誰にいくら渡すか」を調整するような法律事務の代理
- 相続財産や売買代金などを本人に代わって受領・保管・配分する行為
これらは、弁護士しかできない法律事務(代理・和解・受領代行)にあたります。
🔹したがって
行政書士が「相続財産の分配」や「預かり」を行う目的で自分の口座に入金を受けると、
👉 弁護士法違反(非弁行為)になるおそれが非常に高いです。
🔹例外的に許されるケース
以下のような場合は、単なる実費預り(業務委託契約上の性質)として違法にならないことがあります。
- 戸籍請求のための実費(証明書の交付手数料や郵送料)を預かる
- 官公署への手数料や登録免許税を委託者から預かる
- 行政書士報酬を支払うために口座に振り込む
ただし、「相続財産の一部」や「遺産分配金」などを預かることはこれに含まれません。
🔹安全な対応方法
- 相続人同士の金銭のやりとりは、直接当事者間で行う
- 行政書士はあくまで書類作成・手続代行のみにとどめる
- 争いや配分の相談がある場合は、弁護士に引き継ぐ