行政書士は、原則として労働者災害補償保険法に基づく保険給付の申請書(労災様式第8号を含む)の提出代行を行うことはできません。
労災保険に関する提出代行業務は、社会保険労務士(社労士)の独占業務とされています。
👨⚖️ 提出代行の専門性について
労災保険給付の申請手続きは、労働者災害補償保険法に基づいています。
- 行政書士:
- 行政書士法に基づき、官公署に提出する書類(他の法律で制限されているものを除く)の作成及び提出手続きの代理を業務とします。
- しかし、労災保険給付申請書類の提出代行は、社会保険労務士法により社労士の独占業務と定められているため、行政書士が業として行うことはできません。
しかし使者であれば可能です
行政書士が労災申請書類(労災様式第8号など)を提出する際に、「使者」として行動することについては、行為の性質上、可能であると解釈されています。
しかし、行政書士が「業として(報酬を得て反復継続的に)」その行為を行うと、社会保険労務士法に抵触する可能性があるため、注意が必要です。
🧍 「使者」としての提出とは
- 「使者」の定義:
- 使者とは、本人が作成し、本人の意思で提出すると決めた書類を、単に運搬し、提出するという事実上の行為を行う人を指します。
- この行為には、法律的な判断や意思決定は含まれません。
- 行政書士の立場:
- 行政書士は、他の法律で制限されていない限り、書類の提出手続きの代理を行えますが、労災申請は社会保険労務士法の独占業務です。
- ただし、使者として書類を労働基準監督署に持参し提出する事実上の行為自体は、法令によって一律に禁止されているわけではありません。
⚠️ 重要なポイント
1. 業としての提出はできない
行政書士が報酬を得て、労災申請書の作成や提出を依頼人に代わって反復継続的に行うこと(業として行うこと)は、社会保険労務士法違反となります。これが最も重要な点です。
2. 書類の作成・相談はできない
- 書類の内容の検討、加筆・修正、提出方法の相談など、専門的な判断を伴う行為は、社労士の業務範囲です。
- 行政書士が労災申請について内容面に踏み込んだ相談に応じたり、書類を作成したりすることはできません。
結論
行政書士が依頼人に頼まれ、単に書類を運んで提出するという**「使者」の行為は、事実上可能ですが、報酬を得てその提出行為自体を反復継続的に行うと、実質的に「提出代行」**とみなされ、社労士法違反となるリスクが高いです。
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