母親との関係に悩む人に,よく信田さよ子先生の著書を勧めます。お勧め本は以下のものです。
・母が重くてたまらない
・さよなら,おかあさん
・ザ・ママの研究
だれでも嫌いな人,苦手な人なら付き合わないようにしますが,これが母親となると,遠ざけることが難しい。
お母さんからの価値観に縛られ,お母さんにほめられること,非難されないことを優先させてしまい,どうしても自分がしたいことができない人がよくいます。
私はDV(配偶者間暴力)の被害者の方とお会いすることも多いですが,暴力的なパートナーから逃げられるかどうかは,実家がどのように受け入れてくれるかに関係しています。
「そんなひどい夫から,早く逃げていらっしゃい」と言ってくれるか。
それとも
「お前には悪いところがあるんじゃないの」と言うか。
「帰ってこられても困る」「女が合わせるものでしょう」などと言われる。
親はあくまでも子どもの側に立ってくれるかというと,必ずしもそうでもないようです。
時として,仕事の愚痴や夫の愚痴,義理の実家の愚痴を子どもにこぼす親がいます。
たまにではなく,毎日のように。
これを毎日,聞かされる子どものことを「ヤングケアラー」と言います。
ヤングケアラーは,他にも定義はありますが,親子関係が逆転し,子どもが親のめんどうをみている状態です。
こうなると,子どもは安心して親を捨てて自立していけません。
健全な親子関係は,思春期を過ぎたあたりから,子どもは親から離れ,友だちの方が大事になり,恋人を作り,つまり重要な他人との関係を構築していきます。
ですが,いつまでも親が子どもにしがみついていると,子どもは親を見捨てることができません。
こうなると,正しい自立ができないのです。
密接な親子関係であればあるほど,親から離れることが難しくなります。
お母さんを捨ててもいいのです。
そこからどうするかは,お母さんの問題であって,娘や息子の責任ではないからです。
