~ 香りから色へ ~
「 春眠暁を覚えず 」
最近朝寝坊が多い座敷童子です
春たけなわといったところでしょうか
花屋さんの店先も賑やかになりましたね
春の花は 香りに始まり色へと移ってゆくように思います
立春の頃 まだ厳しい寒さの中 雪中四友の水仙や梅が
ほのかな香りで春の到来を期待させてくれて
その後 花の色が溢れ出します
その色の記憶をたどってみると たとえば
ふきのとう
早春の沖島 空き地一面に黄緑色のふきのとうが自生して
いました 「これだけあると天ぷらにしたらいっぱい食べられ
るのにな~」などと考えながら港に戻ると
その日は 伊勢大神楽の一団の姿がありました(獅子舞です)
港でのお神楽は風情があり ずっと見ていたかったのに時間が
迫り 後ろ髪引かれる思いで帰りの船に乗りました
最後まで見ていられなかったことが今も心残りです
・・・淡い黄緑色の記憶と共に
蓮華草
休耕田に敷き詰められた赤紫色の絨毯のような蓮華草
よく見ると蓮華草の花は複雑な形をしていました
どなた様の土地かも知らずに勝手に田畑を走り回り
泥だらけになって遊んだ子供の頃の原風景です
毎日毎日 遊ぶことだけを考えていました 笑
・・・赤紫色の記憶と共に
みなさんにも記憶に残る春の色があると思います
糀谷事務所のモリザップこと森さんのランキングを真似て
童子のベスト3をあげるとこんな感じです
☆こぶし木蓮
朝もやの中 ぼんやり行燈のような乳白色の光の色を感じ
よく見るとこぶし木蓮の花がぽっかりと咲いていました
しっかりしていないと奇しい世界へ心をもっていかれそうな
不思議な感覚がありました
☆☆藤の花
自転車で通り過ぎ はっと何か色を感じて振り返ると
いつもの藤棚には紫色の鹿の子模様が散りばめられていました
昨日まで感じることが無かったので今朝色付いたのでしょうか
「こんなにきれいに咲いているのになぜ振り向かないの?」
姸を競う美女に呼び止められたような・・・
強く艶やかでした 「童子 花に完敗す」の朝でした 苦笑
もう枯れてしまったのかと思うほどの細い幹から
毎年美しい花の房をたくさんつけることが不思議なのですが
それがこの花の強さ・生命力なのでしょうか
☆☆☆ さ・く・ら 桜
蕾のときはまさに桜色ピンク
満開の頃には白っぽくなり
そして 退色した白になり
そして 見事に春に雪を降らせて見せてくれます
こと桜についてこれ以上の語りは野暮なので止めておきます
思いがけずに自然の美しい色合いを目にすると
とても満たされた気持ちになります
この世界に花というものがあってよかった
祝福したり 励ましたり 慰めたり
心に寄り添ってくれる気がします
「 天に星 地に花 人に慈愛 」ということば
天に星があるからこそ 天は美しい
地に花があるからこそ 地は美しい
人に慈しむ心があるからこそ・・・
今 彼の地に慈しみの心はあるのでしょうか
感情を抑えて涙を拭う子供たちの映像には
胸が締め付けられます
子供は自己主張をして思いっきり泣くものなのに
あの子供たちが大好きなお父さんと再会できて
どうか笑顔の花が咲きますように
希望をもって祈りたいと思います
そして もう涙を流すことさえできなくなった方たち
いちばんたいせつなものを奪われた方たち
未来に記憶を紡いでゆくべき命だったはず・・・
せめてお花を手向け
心を込めて祈りたいと思います
「今しばし死までの時間あるごとくこの世にあはれ花の咲く駅」
詠み人 小中英之
切なく 正直で 美しい歌