日時:2020年7月2日(水) 18:00~19:30
アドバイザー:中谷常二先生
出席: 現地参加 社会人7名、Web参加 社会人9名
テーマ:コロナ下における対応について
概要
〇 基調報告:新型コロナ禍に関連する法律課題等
〇 事例報告:インフラ系企業
事前に継続必須の業務を一時休止可能な業務の仕分けを実施(鳥インフルの経験から)
・ 緊急事態宣言に対応してオフィス業務は「原則在宅勤務」。現場は目標数値は掲げないが、極力出社を抑制(6月から緊急事態宣言収束に伴い、「原則 → 可能な限り在宅勤務」に移行)。テレワークを基本とし、一部業務の休止、特別休暇等で出社人数の抑制に努力。
・ 常時対応が必要な職場の一部は出入制限、対面箇所への仕切り版設置、当直員の出退者バスを勤務場所ごとに別々とする等の対策を実施。
・ テレワークの急増により通信の不安定化が発生。緊急対応が必要となった
・ 電力需要は家庭用が微減、産業用は大幅減、業務用は業種によりばらつき
IT子会社の例
継続必須のシステムの保守・運用を最優先、開発案件は分社化・法令対応等を筆頭に
優先順位を規定
・ 緊急事態宣言に対応して4月8日から出社人数の抑制に努め、ソーシャルディスタンスを確保。間接業務は1~2割の出社。
・ システム保守、開発の現場は社員と委託先従業員がチームで働いているため委託先とも相談しながら可能な対応を模索(4月~GWまで)。スタンドアロンPCで可能な業務は在宅、それ以外は早番遅番等による交代勤務の導入等で50%未満の出社を実現。リモート設備を順次増強中。
所感
・ 今回の事象で在宅、リモートワークが急速に増加。社会の変化は不連続に起こることを実感。このトレンドにリバウンドがあるかが注目点。
・ 感染状況が日本より深刻な欧米・デジタル化で先行している中韓ではリモートワークがこのまま定着するのでは。一方日本は抑え込みに成功したことで、Web化の波に乗り遅れるのでは。
・ キャッシュ経済を精緻に作り上げたことでキャッシュレスに乗り遅れ、有線電話網の整備が速かったことで携帯電話の普及に後れを取った。同じ轍を踏まないようにしたい。
事例報告:グローバル系企業の例
・ 欧米、中国にも社員が多数在籍。
・ 2月21日から在宅活用開始
・ 2月末~緊急事態宣言まで、自主的に時差勤務・消毒等の徹底
・ 緊急事態宣言後オフィスは1~2割出社、生産現場は「できるだけ出社は控える」
・ 個人的にはこの3~5月は時折出社程度の完全在宅勤務
新入社員も在宅で研修
・ 6月からは基本通常通り出社、入社式も日程変更してホテルで実施
時差出勤、直行直帰、入退室記録等の対策を実施中。
・ 今後はこれまでの緊急対応に代え、在宅勤務等新しい勤務制度を制度化していく
・ トヨタ、日立等も在宅勤務の制度化を進めると発表
■ 海外出張をしないことで業務への支障は?
自分の関係では一年延期で対応。会社としてはWebミーティングで対応できている状態。
中期的対応としては年一回リアルのミーティングは必要と考える。
〇 事例報告:神社の例
・ 緊急事態宣言中は、閉門して外部を一切遮断した。HP申し込みによる通信祈祷は最近開始。
・ 大阪大阪の主な神社等は開放していた。完全に閉めていたのは四天王寺と住吉大社。神官は現在も月の半数は休務しているが、参拝客は増加傾向。
・ 個人的にはは実際に境内に参拝して参拝者が感じることが大切で、リモートは違うと考える。
〇 事例報告:鉄道の例
・ 鉄道は運航継続。3密を避けることと換気 直接手を触れるところの消毒・抗菌加工により乗ることへの不安を和らげる努力。
・ 換気のシステムをPRする等情報発信に努めた。
・ 客からの要請を受け、半自動ドアの列車を押しボタンを使用しなくてよい自動開閉化。
・ 職場ごとの取り組みを共有するサイトを構築。
・ 改札や駅の現場では客が近いので不安という声も従業員から出ていた。
・ 目に見えて客が減っていくということへのやるせなさの方が強く、戻ってきてもらうための努力につながっている。
〇 事例報告:ホテルの例
・ 稼働率激減。地区ごとに1店舗程度の開業としてあとは休業。社員も雇用調整助成金の要件を満たすために休ませる形。
・ 朝食バイキングを止め、個人別のプレートにする等の対応で、そもそも客が少ないこともあり、クレーム等はなかった。
・ 今後ホテルとして勝ち残るためには客の安心を形成するための消毒や工夫ととそのPRが大切だろう。タッチパネルに触れないでチェックインできるシステム等
・ テレワークプランは意外に好評
■ 株主総会ではコロナ関係で経営責任を問うような意見が出たか?
・ 出席者の企業等では特に出ていない
■ 大学はまだ全てオンライン授業
・ 施設を使っていないのに学費を満額取って良いのか議論はあった。早稲田大学では返還しないという決定。
・ 小、中、高はクラス単位のためコントロールできるが、大学は入室者をきちんと細くできないことと、某大学のクラスター発生でリスクが顕在化したことも理由
・ 研究室も含め基本的に入構禁止
■ 哲学者はなんと言っているか?
・ コロナ世代の前後で我々の考え方が変わるか、ということについては哲学者をはじめ様々な人々の関心だが、今はまだ収束していないので議論が始まっていない。
・ コロナを契機に働き方等が大きく変わって将来、今の時代がコロナ世代等名づけられる可能性はあるかもしれない。
■ 根幹が変わることはあるか?
・ 産業界やコンサルタントは変わるという意見が多い。コンサルは営業的側面もあるかもしれないが。
・ 国連ではBuilt back better という、より良い方向に変えていこうという方向。リモートやAIの利用進展についてAiによる人権侵害の防止と、コロナの影響を受けやすい弱者が特に被害を受けることから弱者救済の面も議論されている。
■ 業務上、Zoom利用の検討もしており、経験のために参加した。機会があればまた参加したい。コロナで東京の人間がどのように動いていくのかは注目している。
■ コンサルタント業であり、緊急事態宣言中は自宅にこもって資料作りをしていたが、一度集まって議論しながら資料作成をやってみるとやはり良いアイデアが生まれることを実感。持続化給付金等の質問を多く受け、ボランティアで回答したりしていた。
■ 退職しており個人的には影響はなかったが、この議論は楽しかった。
■ ずっとテレワーク中。日本人は感染者を責める傾向があるが、欧米では天災なので本人を責めることはしない。この点について皆さんの意見を聞きたかった。
以上(文責 北村)