Nゼミ第63回勉強会メモ

日時:令和元年8月23日(金) 18:00~19:30
アドバイザー:中谷常二先生
出席:社会人14名

課題図書:フリードマン 「資本主義と自由」日経BPクラシックス
     10章~結論

第10章 所得の配分
〇 生産に応じて所有するとうのは自明のようだが、実は難しい。生産手段を提供したことへの対価をどう考えるか、社会インフラなど各人のものとは言えないものをどう考えるか。
〇 累進課税でも抜け道が多いとか、自由の観点から問題がありもっとシンプルにすべきというのは納得できるが、相続税や贈与税は100%でもいいと思う。
 ・ フリードマンは機会の平等を重要と考えているが、大きな資産を相続した金持ちと、相続しない人とでは機会に不平等が生じてしまう。これは論理矛盾ではないか。
〇 現金だけが相続の対象であれば単純だが、不動産も相続できないとなると国に使えない財産がたまってしまうという現実問題もあるのでは。

第11章 社会福祉政策
〇 年金は国が強制力をもってやるのがいけないのか?
 ・ 自助、共助、公助という考えがある。役割分担があれば良いのではないか。
〇 自由は、市場を信頼するのか政府を信頼するのかのバランスの問題だと思う。
段階的に自由にして試しながらやるのがいいのでは。
〇 人によるばらつきを考慮していない。自由にしてしまうと浪費しつくしてしまう人がいるところを救わなければならないのでは。
〇 既成の制度について再度自由という方角から考えてみる機会を与えてくれた。
〇 最低賃金法や保護関税など、現代社会を見通していたかのような議論はすごいと思う。
〇 年金制度も事実破綻しかけており、自己責任に移行しようとする方向性もフリードマンの議論と一致する。

第12章 貧困対策
〇 貧困者に現金を渡すということを認めると、フリードマンの議論全体と矛盾するのに、わざわざここでこの議論を出したのはなぜだろうか?
 ・ この時代はアメリカが最も反映していた時代でもあり貧困者の数が少数だったこともあるのか。
〇 現代の制度が複雑になりすぎているし選択も自由度がないことから、フリードマンの単純な理論が見直されている一つの理由かもしれない。

第13章 結論・全体をとおして
〇 CSRを否定するフリードマンに対して現在の議論は多数のステークホルダーに対応することが会社にとって長期的な利益になるという議論になっていると思うが、これからのCSRはどういう方向に行くのか?
 ・ フリードマンはもっとすっきりさせて、それぞれが自由に、シンプルにした方がうまくいくと言っているのでは。
 ・ 環境問題等複雑で長期的な問題になってくると最低限のルールだけ守ってあとは自由にすれば良いというのでは結局あとで後悔することになるように思う。
〇 時代背景の違いが大きいと思う。フリードマンが現代に生きていたらどういう考えを持つかとても興味がある。
〇 CSRもSDGsも現実には会社の価値を高めようとしてやっていることが多く、そういう意味ではフリードマンの議論にあっているのかも。
 ・ プラスチックごみ規制も矛盾だらけではないか。結局は誰かの利益で操作されているように思えてしまう。

〇 生活保護受給者でも実際にはけっこう贅沢している人もいる。すり抜けを防止するために調査費用をかけるか、多少のすり抜けは許してしまうのか考えるところ。
現金を支給してもギャンブルに使ってしまう人も往々にしているのでは。

〇 いままでこうだからということで、議論なくものごとが進む組織にいると、この本を読むことで得た新しい見方、考え方は大きな武器になると思う。

(文責 北村)