第33回 Nゼミ関西メモ
日時:平成27年2月27(金) 18:00~19:30
場所:中之島関電ビル
アドバイザー:中谷常二先生・岡部幸徳先生

課題図書:

『三酔人経綸問答』中江兆民 光文社古典新訳文庫(~P76)

○ 世襲制は良いか悪いか
  ・ 早くから選抜し、帝王学などを学ばせることは効果的。
  ・ ナッツリターン事件や、金沢の前田家などの例があり、一概に良い悪いとは言えない。
  ・ 自分さえよければいいという考えから世襲制が破綻する。
  ・ 経営者になる覚悟があるかどうか。
  ・ 実際はトップの周りに利権があり、トップが起こした問題は周りがカバーする。
  ・ 政治とビジネスを被らせて考えるのも面白い。

○ 国民としての意識について
  ・ 自分の身のまわりのみに気を遣うようになると、思考しなくなる。
  ・ 官僚がしっかりしていれば国民は幸せなのか?

○洋学紳士の話について
  ・ 専制より立憲制のほうがいいとされている。
  ・ シロだと思ったこともクロだと言わなければならない。
  ・ 日本でこのような意見は当たり前だと思われているので、先駆性はない。今本書を読む意味は?
  ・ 洋学紳士は同じことを繰り返し言っている。
  ・ 自由な企業がいいのか?
  ・ 芸術家が芸術のことばかり考えて何が悪いのか?
  ・ なんとなくわかるようでしっくりこない話が多い

○愛国心はあるか?また愛国教育はいいか?
  ・ イスラム国(自称)は国の枠組み(宗教や経済圏など)を壊している。
  ・ 歴史上の過ちを繰り返しているのか、未だ見ぬ新しい道を進んでいるのか。
  ・ 歴史を繰り返している。生まれ持った違いを考えるべき。洋学紳士は違いを無視している。
  ・ 情報の距離感が技術の進歩により近くなった。
  ・ 個人の意見が反映されやすくなる民主制がもてはやされる。
  ・ 思想的なコミュニティ
  ・ 国境によるトラブルはあるか?
  ・ 大陸で国境を接しているヨーロッパにいくと明らかに島国である日本人の国境観と異なっている。
  ・ 国境にこだわらないヨーロッパの国々の仲が悪いのは?
  ・ 国境が無い分、意見がダイレクトにぶつかりあうから?
  ・ 第二次世界大戦に日本が突入したのは、日露戦争の勝利に対して朝日、東京日日(現毎日)などの新聞が「大勝」と国民を煽ったため。この国民の熱気に押されて軍部が引くに引けなくなった。
  ・ 権威主義的な組織であればあるほど不祥事が起こりやすくなる(岡本浩一 東洋英和女子大学教授「権威主義の正体※」他)。
  ・ 人間は白黒つけたがる性質がある。きっぱりと白黒つける人が出でくると人が群がる。小泉元首相や橋本大阪市長のような人がマスコミにもてはやされ、抵抗できなくなる。現実はそんなに単純なものではないが、そういった現実論を言う政治家はあいまい、態度がはっきりしないなどと不評で人気が出ない。 → 権威主義につながりやすい構図。
  ・ 投票率が下がるのは、政治に対するマイナスイメージから。
  ・ 人は極論に動きがち。
  ・ そもそも民主制は正しいのか?
  ・ イラク戦争はアメリカの民主制を押しつけた結果。
  ・ 人は何を求めているのか?(平和?暴力?宗教?)
  ・ 教育がうまくいく前提で物事を考えすぎている。
  ・ 広報戦略がうまくなりすぎている。人は自分の意見を持っているのか?
  ・ 政治について国民一人ひとり考える必要はある。
  ・ 考える力の底上げは必要。けれど教育はどうしても偏りがある。真っ白な教育はできないことを自覚した上で、論理的に考えるプロセスを鍛える必要がある。
  ・ 国民の知識量や考える力と(民主主義)制度が釣り合っていないことが問題。
  ・ アメリカ軍隊長の言葉→今の世界はVUCA(Volatility 不安定さ, Uncertainty 不確実さ, Complexity 複雑さ, Ambiguity 曖昧さ)
  ・ 今までのフレームワークがひっくり返されている。新しい秩序が必要。
  ・ 軍隊は柔軟性・適応力のある人を求めている。企業が求める人と同じ。
  ・ では柔軟性・適応力とはなんなのか?


■ 次回課題図書 「三酔人経綸問答」 中江兆民 (光文社 古典新訳文庫) 後半

なお、「国際政治 恐怖と希望」 高坂正尭(中公新書) も併せて読むのがおすすめです。

三酔人経綸問答 (光文社古典新訳文庫)/光文社
¥1,123

権威主義の正体 PHP新書 330/PHP研究所
¥799

国際政治―恐怖と希望 (中公新書 (108))/中央公論新社
¥713