レジメ(植田さん作成)
 (7章~エピローグ)
 第1~6章
5人が繰り広げるエロス論 当時の様々な「エロス観の展覧会」→エロスについて考える多様な視点の提示(解説 P254)
      パイドロス~パウサニアス~エリュクシマコス~アガトン
 
第7章 ソクラテス、アガトンとの対話
ソクラテスの基本スタンス:前章までのように、エロスを「賛美するつもりはない。」「エロスの本当の形を語る」(P110)
 
アガトンへの質問
「エロスは、なにかのエロスなのか?」、「なにかを欲しているのか?」(P113)
何かを欲するものは、欠如しているからであり、「エロスは、美しさを欠き、よいものを欠いていることになる。」(P119)
 
第8章 ソクラテスの話
ディオティマ(エロスを始めとする様々な事柄に精通する賢女性、ソクラテスにエロス道を伝授)から聞いた話の紹介
 
(欠如した性質を求める)エロスは、美しくもよくもないものか?=醜く悪い?(P121)
 
エロスとは、「人間と神の間にある偉大なる精霊、人間と神の思いを翻訳者」(P125)
 
 美しい ←←←(中間)→→→ 醜い
 よい  ←←←(中間)→→→ 悪い
       精霊-ダイモン-
          ||
  神  ←←← エロス →→→ 人間
 
アフロディテ(愛・美・性を司る神)の誕生の祝いにおいて、、、(P126)
 ┌エロスの父:ポロス(知恵の女神の息子)
 ├───────エロスはアフロディテの従者・下僕となり美を求める?
 └エロスの母:ペニア(物乞いの女性)
 
両親の性格を受け継ぎ、エロスは貧乏、硬くひからび裸足で家なし。同時に勇猛果敢で情熱的。(P127)知恵と愚かさの間にいる。(P128)
→エロスは、美しいものを求める。そしてよいものを所有することにより幸福になる。(P131)
  美しいものを求める →→→  ?
  よいもの を求める →→→ 「幸福になる」究極の答え。
 よいものや幸福を求める一種類の愛に熱心に行動するものだけが、、、(P134)
 手段[金儲け・スポーツ・知恵]に熱心なのはエロスではない。
   → 後で登場するアルキビアデスに興味が無くなった理由?
○エロスはよいものを永遠に自分のものにすることを求めている(P135)
 
○エロスは、どのように追いもめるのか?(P136)
(前提)人間は子を宿しており、時が満ちると(美しいものの中で)子をなしたくなる(P137)
→子をなすこと(男女の交わりにより、子をなす。とりわけ美しいものに対して。醜いものに近づくと萎える。)(P138)
 
○人間以外の動物も、永遠で不死であることを求める(P141)
→同一の人間であっても、構成要素は同じでなく、毛髪、肉、血、も絶えず新しいものになる。心(習慣、性格、思考、欲求、快楽、苦痛、不安)のありようも同じ。
 
○不死を求める人は、女性に関心を持ち、子供を作ることを通じて、不死や記憶や幸福を、未来永劫に所有すると考えている。同時に徳、知恵についても。(P144)
→美しくて気高く、素質の優れた心に巡り合えたならば、その人物を教え導きたい欲求が生じる。=少年愛?(P146)
少年愛で生み出される不死に近い子(人間のかたちではない)を一緒に育てる。=名声?
 
○エロス道の秘儀、究極にして最高の奥義(P147)
→「美の梯子」 個体の美しい体→すべての美しい体→美しい心→美しい知識→美しい言葉と思想
→エロスの道の終着点:永遠の美、絶対的な美 
 すべての苦労はこれを見るためのエロスの道の手ほどき(P148)
→正しい少年愛とは、美しい体から出発し、かの美を目指して、梯子を使って上るように、たゆまぬ上昇をしていくこと。(P151)
 一つの体~二つの体~全ての体~振るまい~知~かの知=美それ自体=不死なる存在
 
 
第9、10章 アルキビアデス登場~ソクラテスに関する賛美話
○酔っ払い集団(アルキビアデス)の突然の乱入、当初はソクラテスの存在に気づかず。
 アルキビアデスはエロスへの賛美ではなく、ソクラテスの賛美をすることを提案
 微妙な雰囲気の中、ソクラテスの本当の姿を語ることに。
 
アルキビアデスによると・・(P165.6)
 ソクラテス ≒ シノレスの置物 ≠ シノレス  ・・・中に知恵が詰まっている
      ≒ マルシュアス(笛の名手)    ・・・言葉だけで憑かれた状態に
 
○アルキビアデスのソクラテスに対する複雑な感情(一方では強く惹かれるが、他方では恐れ避けたい気持ち)→ソクラテスは意地悪(P166)、胸が高鳴る(P168)、自分を恥ずかしいと感じ、離れて逃げたい。(P169)
 
○ソクラテスに対する誘惑、お誘い(P172)~自分の若い魅力を活用して、ソクラテスのすべてを聞きたい。
→食事に誘う、夜がふけるまで話しする、二人っきりで隣で寝るなど
→結果的に、何も進展は無し、「なにも特別なことは起こらなかったのだ」(P179)
→侮辱されたと思うと同時に、「素質と節度と勇気に驚嘆の念を抱く」(P179)
 
○ソクラテスの忍耐力(ポティダイアの戦いでの経験話)(P180)
→食料不足に耐え、どれだけ酒を飲んでも酔わず、冬の寒さに耐え、一晩中立ち続ける。
 
○(ソクラテスの恋人である)アガトンに対し、「だまされてはいけないよ」との忠告(P188)
 
エピローグ(P189)
○ソクラテス「真の目的とは、ぼくとアガトンの仲を引き裂くことだ」(P189)
○アガトンとソクラテスの熱い語らい「誰も、ぼくときみの仲をさくことはない」(P190)
  ・・・またいつもどおりの展開か・・・
○再度、酔っ払い集団の乱入(P192)、そこいらじゅうが喧騒に包まれ、秩序は失われた。
→しかし、アガトン、ソクラテス、アリストファネスは、夜明けまで語り続ける。
ソクラテスは翌日も普通に過ごし、夕方帰宅し、眠りに就いた。(P193)